未来をひらく次世代のビジネスパートナー「AIエージェント」について学ぶ

PR/ITmedia
» 2025年03月21日 10時00分 公開
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 AI技術の進化は著しく、企業の業務効率化や競争力の向上に大きな影響を与えている。その中でも新たに注目を集めているのが「AIエージェント」という技術だ。AIエージェントは単なる自動化ツールにとどまらず、次世代のビジネスパートナーとして期待されている。この技術はビジネスにどのようなインパクトを与えるのだろうか。

 アイティメディア主催のオンラインイベント「ITmedia AI Boost」で、デル・テクノロジーズの増月孝信氏(データワークロード・ソリューション本部 シニアシステムエンジニア AI Specialist/CTO Ambassador)が講演した内容を基に、AIエージェントの特徴や活用事例、AIエージェントを最大限に生かす方法を解説する。

これからのDXの要「AIエージェント」とは何か

デル・テクノロジーズ 増月孝信氏

 増月氏は、AIエージェントとは「人間の介入をほぼ必要とせず、自律的に意思決定を行い、目標達成のために行動を起こす能力を持つAIシステム」であり、従来のルールベースのチャットbotや生成AIと一線を画す存在だと説明する。複雑なワークフローの自動化も可能で、企業の業務プロセス全体を根本から見直す力を持つため、今後のDXにおいて重要な位置を占めると期待されている。

 生成AIとはどのような違いがあるのか。生成AIは既存のデータセットからパターンを学び、新しいコンテンツや記録を生成することに特化している。AIエージェントは自立した意思決定と目標達成に焦点を当てて設計されている。稼働時のフィードバックを基に学習と改善を繰り返すため「AIエージェントの学習能力にはリアルタイム性が要求されます」と増月氏は語る。

 生成AIは文書や画像の作成に適しており、AIエージェントは顧客対応や業務プロセスの最適化、ロボティクス制御など、よりダイナミックな業務に適用される。ロボット工学や、自律走行など、複雑で動的なシミュレーションにも使用可能だ。一度決めたルールに縛られることなく、稼働時の実績に基づいて学習して、自身の動作を最適化することで、常に最新の状況に適応する。従来のLLM(大規模言語モデル)単体では対処が難しい複雑な問題も、AIエージェント同士が連携することで対応可能となる。

AIエージェントとは(出典:デル・テクノロジーズ提供資料、以下同)

 チャットbotのような従来型のアシスタントとも、実行できる業務の複雑性に大きな違いがある。チャットbotはあらかじめプログラムされた回答しか提供できなかった。AIエージェントを活用した場合、ユーザーのフィードバックを受けて柔軟にプランを改善し再提案するなど、パーソナライズされたサービスを提供可能だ。フライト予約などのシナリオを実行した際に「その便は使いたくない」「座席は通路側が好み」などの反応に基づいて出力を改善できる。

 しかし、フライト予約などの単一のタスクを実行する「シングルエージェント」のみでは自動化の範囲に限界がある。そのため、今後は複数のエージェントが分散環境で連携する「マルチエージェント」が主流になると増月氏は語る。複数のエージェントがそれぞれの専門領域で独立動作すると同時に相互に情報を交換して協調することで、複雑なワークフローが可能になる。あるエージェントがデータの収集を担当して、別のエージェントがそのデータを解析し、さらに別のエージェントが最適なアクションを決定する、といった連携体制が構築される。一部のエージェントに障害が発生しても、他のエージェントがそのタスクをカバーできるため、システム全体の堅牢(けんろう)性と信頼性も高まる。

従来型アシスタントからエージェントへの進化

 こうしたシステムは、例に挙げたフライト予約だけでなく、ホテルやレンタカーの予約、レストラン情報の提供など、多様なサービスを一元的に管理・提供することで、ビジネスにおける競争力を大幅に高める可能性を秘めているという。

 「総合窓口に営業に関する質問が来れば営業のAIエージェントが対応し、カスタマーサービスに関する質問が来たらカスタマーサービスのエージェントが対応するというように、複数のエージェントが総合的にサービスを提供できます。人間同士のコミュニケーションと同じように、自然な対応が実現するでしょう」

 続いて増月氏は、従来の生成AIに情報検索機能を組み合わせたエージェント型RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)について説明。従来のRAGは、学習済みの知識を基に応答を生成するが、エージェント型RAGは複数のエージェントが連携して、リアルタイムで必要な情報を検索/取得する仕組みを採用している。これにより、最新のデータや状況に即した回答が得られるため、特にビジネスの現場では状況の変化に迅速に対応できる大きな利点となるという。デル・テクノロジーズのシステムは、このエージェント型RAGを活用して、膨大な社内外データをリアルタイムで解析。これにより、従来の枠にとらわれない柔軟な意思決定が可能となり、業務効率と競争力の向上を実現している。

デル・テクノロジーズのAIエージェント活用事例 成果へのつなげ方は

 デル・テクノロジーズは、AIエージェント技術を自社のさまざまな業務プロセスに積極的に取り入れて実用性と効果を実証している。

 まずは、顧客向けチャットbot「プロダクトアドバイザー」だ。オンラインでPCを販売している同社は、顧客に対して効率良く製品に関するアドバイスができる仕組みを、AIエージェントで構築した。製品選定の際に「どのオプションを選ぶと自分の目的に合った最適な環境が得られるのか」といった相談が多く寄せられることから、AIエージェントを「パーソナライズされたプロダクトアドバイザー」として活用。顧客がセルフサービスで疑問を解消できる仕組みをつくることで顧客満足度の向上、コンバージョン率の改善を目指している。過去の在庫管理の統計データを基に、選んだオプションに対するレコメンデーションも提示しているという。

 AIエージェントを活用し、トラブルに対する最適なアクションの提案も行っている。「画面に何も表示されなくなった」などのトラブルの解決策を、生成AIとAIエージェントを使って提示する仕組みを構築。これによって問題解決までの時間を短縮し、ユーザーエクスペリエンスの向上に大きく寄与することが期待できる。ビジネスの成果としては、リピートの削減、顧客満足度の向上、コール検出などが挙げられるという。

 テクニカルサポートにおける顧客対応チャットbot「デジタル・アシスタント」も業務効率化に大きく貢献している。従来のチャットbotよりも踏み込んだ支援ができるため、問い合わせ削減やサポート強化、解決にかかる時間の短縮に役立っているという。開発部門と連携させることで、製品開発時の参考情報としても利用できる。サポート部門と開発部門のコミュニケーション強化により、サービス改善にもつながっていると増月氏は語る。

自社の経験に基づきソリューションを提供 「Dell AI Factory with NVIDIA」

 自社で培ったこのようなAIエージェント技術の実績を基に、デル・テクノロジーズは外部にも先進的なソリューションを提供している。その中核を成すのが、デル・テクノロジーズとNVIDIAが連携して提供する「Dell AI Factory with NVIDIA」だ。

Dell AI Factory with NVIDIA

 「各種データ活用のアセスメントや、効率的なデータパイプラインの設計を含む実践的なソリューションスタックを『Dell AI Factory』として提供しています。これは単一のソリューションではなく、さまざまなユースケースに合わせた複数のソリューション群として展開しており、企業が直面するさまざまな課題に対応するための基盤となっています」

 このDell AI Factoryをできるだけ簡素化し、サイジング済みのTシャツモデルとして提供しているのが「Dell AI Factory with NVIDIA」だ。ハードウェア、ネットワークデザイン、ソフトウェアスタックを含む一連のガイドラインに基づいており、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広いニーズに対応可能なテンプレートとなっている。

 では、Dell AI Factory with NVIDIAを活用するには、エージェント型RAGをどのように組み合わせて、どのコンポーネントで構成したらいいのだろうか。その疑問に対して増月氏は、同社が提供するホワイトペーパー「Agentic RAG on Dell AI Factory with NVIDIA」を紹介した。ハードウェアのデザインだけでなくソフトウェアスタックも含めた構成を詳しく解説している。SLM(小規模言語モデル)のマルチエージェント化に関するレポート「Insights from Multi-Agent Experiments with Small Language Models」を参考にしてほしいと語る。

 マルチエージェントは複数のエージェントを活用する分負荷がかかりやすく、入力から出力までのタイムラグが生じる可能性がある。そのため出力に精度や品質を求める場合は効果的だが、リアルタイム性が重要視されるユースケースへの適用は避けた方がいい場合もあるという。先述のホワイトペーパーは、エージェントフレームワークを導入する際に検討すべき内容やエージェント開発のベストプラクティスについて細かく解説している。

 デル・テクノロジーズは、ユーザー企業がデータのセキュリティやプライバシーを確保しながら、効率的にAIエージェントを活用できるように支援している。同社の大手町オフィスの「AI Innovation Lab」には、保険業界向けAIエージェントを含め、さまざまな業種ごとのAIデモ環境やAIインフラのシステム検証環境も整備されている。AIエージェント活用を検討している企業はぜひ一度同社に相談してほしい。

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提供:デル・テクノロジーズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2025年4月15日