半導体メーカーの雄、インテルは「AI時代のビジネスPC」をどう描くのか「優れたAI PCは、優れたPCから」

PR/ITmedia
» 2025年04月04日 10時00分 公開
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 「インテル入ってる」――このフレーズを聞かなくなってからどのくらいになるだろうか。「IntelのCPUが入っているビジネスPCを選ぶのがベター」という考えがPC選定担当者にすっかり浸透し、Intelは半導体メーカーの雄としての地位を築いたかに見える。

 そんな空気を一変させたのが「生成AIブーム」だ。「ローカルAI」「GPU」「NPU」「AI PC」「Copilot+ PC」といったキーワードが続々と登場し、この波に乗ろうとする半導体メーカー各社が攻勢に出た。PC選定担当者は、ビジネスPC選定基準の再考を迫られている。

 これに対してIntelは「優れたAI PCは、優れたPCから」と訴える。インテルで執行役員を務める上野晶子氏は「ビジネスPCは数年間使うものです。AI対応チップを搭載したPCを今から使い始める企業とそうでない企業の間で、差が確実に生まれます」と強調する。

 Intelは、AI時代にビジネスPCをどう進化させようとしているのか。PCメーカーや販売パートナーを対象にした同社主催のイベント「Intel Commercial Client 内覧会」(2025年3月)の内容から、Intelの戦略を解き明かしてこれからのビジネスPCをどう選べばいいのか考える。

photo Intelの最新チップを搭載したPCが会場内に展示されていた

「PCの選定基準は価格が先行」 AI PCで付加価値を押し出す

 AI PCは、PC内部でAI処理を完結させられる性能を備えたPCを指すことが多い。AIのローカル処理を得意とする専用プロセッサー「NPU」(Neural network Processing Unit)を搭載したPCも登場していて、AIアシスタントやAIアプリケーションの実行を支えている。

 「ChatGPT」に代表されるクラウド型のAIサービスは高性能な半面、データ転送や処理に時間がかかる。AI PCは、AIをローカル処理するのでタイムラグを減らせる。データを外部に送信しないので機密データを扱える、というのもビジネスPCにとって重要な点だ。

 「AIをローカル処理できるということは、AI PCにデータがたまって自社の資産になるということです。これまではデータが集まるプラットフォーム事業者だけが成長していました。しかし、一般企業がローカルAIを使うようになれば、日本企業の競争力をもっと高められると考えています」(上野氏)

photo インテルの上野晶子氏(執行役員 マーケティング本部長)

 AI PCへの期待に加えて、「Windows 10」のサポート終了が2025年10月に迫っていることもあり、PCリプレースの需要が高まっている。2025年のPC市場におけるAI PCのシェアが、グローバルでは40%を上回るとIntelは見込んでいて、拡大する需要を全力で取り込む構えだ。

 「PCの選定基準は価格に目が向きがちです。特に中堅・中小企業はコストを抑えるために低価格なPCを選ぶことが多いのですが、AI PCは価格に見合う魅力を備えていると伝えたいですね」

 AI PCを普及させる鍵が「キラーアプリケーション」の存在だ。AI処理が得意なPCがあっても、それを「使いたい!」と思わせるAIアプリケーションがなければ価値が減少してしまう。Intelは、ソフトウェアベンダーと協力してAI対応ソフトウェアの開発に取り組んでいる。それらを実行するデバイスの一つとしてIntelが特に期待を寄せているのは、Microsoftが提唱するCopilot+ PCであり、同PCにはIntelのチップも搭載されている。

AI PC向けチップ「インテル® Core Ultra プロセッサー」は何がすごいのか

 Intelが掲げる「優れたAI PCは、優れたPC」というコンセプトを実現するのが、同社初のAI PC向けチップ「インテル® Core Ultra プロセッサー」だ。2023年に発表されたチップブランドで、搭載されているCPU、GPU、NPUでAI処理を分業することで処理の高速化と低消費電力化を両立。CPUは3種類のコア――高性能な「P-コア」、高い電力効率を誇る「E-コア」、低消費電力が売りの「LP E-コア」から成る。

photo インテル® Core Ultra プロセッサーのラインアップ(提供:インテル)

photo インテルの太田仁彦氏(IA 技術本部 部長)

 インテルの太田仁彦氏は「Intelは高性能だけどバッテリー消費が速いという声がありましたが、そのイメージを覆します」と意気込む。インテル® Core Ultra プロセッサーの第2世代に当たる「インテル® Core Ultra 7 プロセッサー 268V」 は、2022年に発表された「インテル® Core i7 1280P プロセッサー」に比べて処理性能が約10倍、バッテリー駆動時間は約2倍にアップしたという。

 「『充電器を持たずに外出しても1日使えるAI PC』を成り立たせる技術です。バッテリーライフが長くても、性能が低いのでは元も子もありません。性能のベースアップを図りながら、AI機能に対応できるアーキテクチャにしています」(太田氏)

 AI PCの前提となる「優れたPC」の条件について、太田氏は「いつでもどんなAIアプリケーションでも動かせることです」と説明する。AI PCのチップはもちろん、高速データ転送規格に対応した構成やWi-Fiモジュールなどを自社開発しており、AIの処理に欠かせないデータの入出力や高速通信をサポートする。

 AI PCのユーザー体験を向上させるべく、AI対応ソフトウェアの開発支援にも乗り出している。インテル® Core Ultra プロセッサーを効果的に使うための技術協力を惜しまず、世界150社以上の企業が400以上のAI対応機能を提供。2025年中にAI対応ソフトウェアの約30%がNPUをサポートするようになるとIntelは見込む。

 「優れたPC」の条件がもう一つある。「安心安全なPC」だ。Intelは、PCのセキュリティ管理機能を備えた「Intel vPro® プラットフォーム」を約20年前から提供している。ファームウェアやデータの保護機能、PCの電源がオフでも使える遠隔管理機能などを備えており、情報システム担当者のトラブルシューティング業務を効率化できると太田氏は紹介する。チップに起因する問題の修復に当たるセキュリティ専属チームがあるので、問題の早期解決が可能だ。

 情報システム部門の手間を減らすという点で、既存のPCからAI PCに移行しやすいという点も重要だと太田氏は述べる。

 「業務アプリケーションやデータといった過去の資産を生かしながらAIを使えるということが大切です。x86アーキテクチャを採用しているIntelのチップは互換性が高いので、AI PCに移行しても従来の業務アプリケーションなどが不具合なく動作します」

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Windows PC史上、最速のAI PCが「AI時代に重要な役割を担う」

 PCの進化を語る上でMicrosoftの存在は外せない。同社を創業したビル・ゲイツ氏が「世界中の全てのデスクにPCを」という目標を立ててから半世紀がたち、Microsoftは2025年に創業50周年を迎える。同社の現トップであるサティア・ナデラ氏は「全ての製品にAIを」という方針を掲げ、AIブランド「Microsoft Copilot」を展開している。

 同方針から生まれた新たなクラスのWindows PCが、Copilot+ PCだ。「Windows PC史上、最も高速でインテリジェントなPC」をうたっていて、AI PCの中でも特にハイスペックなPCを指す。Copilot+ PCを名乗るには次の要素を満たしている必要がある。

  • 40TOPS(1秒当たり40兆回の演算処理)以上の性能を持つNPU
  • 1GHz以上で動作する複数コアのCPU
  • 16GB以上のメモリ
  • 256GB以上のストレージ

photo Copilot+ PCを構成する要素。NPUをはじめとする高性能チップをベースに、クラウドを介さずエッジで生成AIを利用できる(提供:日本マイクロソフト)

 インテル® Core Ultra プロセッサーを搭載したモデルも登場しており、これだけの性能があれば「処理落ちして作業ができない」といった困り事は起きにくいだろう。Copilot+ PCは、セキュリティを重視したMicrosoftのコンセプト「Secure Future Initiative」に基づいて強固なID管理やCPU内蔵型のセキュリティチップ「Microsoft Pluton」に対応している。

photo 日本マイクロソフトの小澤拓史氏(デバイスパートナーセールス事業本部 業務執行役員 事業本部長)

 「AI時代において重要な役割を担うPCです。小規模言語モデル『Phi Silica』を組み込んでおり、AIを高速にローカル処理できます。インターネット接続がない場所でも生成AIを利用可能です」――こう解説するのは日本マイクロソフトの小澤拓史氏だ。

 Microsoftは、Copilot+ PCをエッジAIの要に位置付けている。同社はクラウドAIとして「Microsoft 365 Copilot」を提供しており、「Microsoft Excel」「Microsoft PowerPoint」といったOfficeアプリケーションと連携させて生成AI機能を使える。エッジAIとクラウドAIを適材適所で使い分けるハイブリッド利用が効果的だと小澤氏は勧める。

 「インテル® Core Ultra プロセッサーを搭載したCopilot+ PCやIntel vPro® プラットフォームに対応したモデルが登場しています。Copilot+ PCが主流になれば、企業の生産性向上やコスト削減につながるでしょう。ご期待ください」(小澤氏)

AI PCの価値を伝えるために、良い製品を出し続ける

photo インテルの安永真理子氏(マーケティング本部 コマーシャル・キャンペーン・マネージャー)

 インテルで広告戦略を担う安永真理子氏によると、AI PCに対するユーザー企業の反応として「Intel製という安心感がある」「バッテリー駆動時間の観点でNPUに関心がある」などの声が上がっている。その中で「『最新のCPU』というシンプルなメッセージが特に響いているようです」として、「CPUやPC全体の進化を伝えながら、付加価値としてAI機能の魅力を届けることで、AIに対してまだ親しみの少ないユーザー企業にもAI PCのメリットを訴求できると考えています」と安永氏は話す。

photo AI時代にIntelが見据える展望(提供:インテル)

 こうしたIntelのメッセージを、PCメーカーや販売パートナーに伝えることがIntel Commercial Client 内覧会の目的だ。同社のビジョンをパートナー各社に共有した上で、エンドユーザーにAI PCを広めていきたい、と安永氏は力を込める。

 「AIやチップはバックグラウンドで動作するので、メリットが伝わりにくいことが悩みです。それでも、Intelが良い製品を提供し続けることでAI PCの価値がPC選定担当者に届くとうれしいです。他社に先駆けてNPU搭載AIチップの第2世代をリリースしています。AI PCが標準になる世界で、私たちがAIの進化をリードします」(上野氏)

 上野氏は「今のうちにAI PCを導入すれば、従業員がAIを使い慣れるまでの時間を確保できます。身に付けた“AIスキル”は、企業の競争力につながるでしょう」とアドバイスする。AI PCの機能アップデートやAI対応アプリケーションの提供が増える中で、AI PCを先行して使うアドバンテージは大きい。

 上野氏は「AI PCの定義や求める性能は、業種や職種によって異なるでしょう。自社に合うものをご選定ください」と結ぶ。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2025年4月11日