「自然言語の指示で動くロボット開発」「組織横断的なレポートの自動生成を通じた商品企画時間の大幅短縮」「生産性の向上」――。生成AIによる成功事例が各種メディアでさかんに報じられるようになった。大手や先進企業にけん引される形で生成AI活用が加速していることは、IT関係者であれば誰もが肌感覚で理解しているはずだ。
一方で生成AIを活用した成果の創出に苦労している企業も多い。各種調査でも導入効果について「期待を下回る」という回答が散見され、投資に見合う成果を収めている企業はほんのわずかだという報告もある。
「多くの企業が生成AIを駆使して事業成長につながる“新たなインサイトを獲得したい”と考えているはずですが、現状の生成AI活用を概観すると、文案の作成やアイデアの壁打ちといった利用が多く、そこに至っていません。例えば売上予測を確認する際、生成AIに『この商品の売上予測は?』と尋ねるとその答えが返ってくる――。生成AIを活用してインサイトをクイックに得られる環境の構築こそ、“データの民主化”につながるはずです。このような生成AI活用はすでに現実のものになっています」
こう話すのは、セゾンテクノロジーの福泊晶氏だ。出力した帳票から今後の戦略を立てる際、勘と経験に頼ることが多く、経験の浅い従業員であれば「その情報をどう読み取るか」判断しかねる場合がある。この課題も、セゾンテクノロジーの豊富な知見を基にした生成AIのアプローチで解消できるという。
福泊氏はそのユースケースとして、食品メーカーの売り上げ分析を紹介する。
「複数の工場において異なるマスターで商品を管理している場合、同じ『バター風味のソフトビスケット』であっても、期間限定のコラボパッケージや容量が異なる商品など、分析軸によってさまざまなグラフが出力されます。ソフトビスケットの“どの風味”が売れているのかを把握するためには、味別にマスターを分類・統合する必要がありますが、商品の類推が難しいマスターも多く、結局はマスターに登録された『甘い』『ミルク』『ココア風味』などのキーワードを基に人が都度判断して集計しなければなりません」
これに対するセゾンテクノロジーの提案が、マスターの記載内容に基づく「生成AIによる自動分類・統合」と、売り上げなどの「実績データとマスターを突合させた自動集計」だ。
一般的に、マスターデータの整合性と一貫性の確保にはマスターデータ管理システムを用いる。しかし、部門横断の大規模な取り組みとなるため容易には着手できない。対してセゾンテクノロジーの提案であれば、既存システムに一切手を加える必要がないため着手しやすい。
ユースケースで示したように、同一であるべきマスターがシステムの個別最適化や運用ミスなどによって分散している企業は多い。この手法はさまざまな企業で適用が見込めるはずだ。
「データドリブンの広がりを背景に、現場主体のデータ活用を目指す“データの民主化”の重要性に対する理解が進んでいます」と語るのは、セゾンテクノロジーの川田容志氏だ。とはいえその道のりは平たんではない。
最初に挙げられる課題が「多様なシステムによるデータの分散管理」だ。社内のどこにどのデータがあるのかを把握できず、これがデータの民主化の足かせになっている。
データをどう分析するかという「ロジック構築」も厄介だ。小規模ならば「Microsoft Excel」でも分析できるかもしれないが、大規模な分析となると専用ツールによるデータ処理が必要となる。となると専用ツールに精通したIT部門に協力を仰がねばならず、ロジックの構築から処理の完了までに多くの時間を要してしまう。もちろん、その間にもデータの鮮度は低下する。
生成AIの活用はそれらの課題を打開する可能性を秘めている。「生成AIは、プロンプトによって『どのデータが何を意味するのか』を定義付けできます」(福泊氏)。裏を返せば、生成AIに尋ねるだけで、求めているデータの場所を誰でも把握できるということだ。マスターデータを定義して生成AIの利用を積み上げるほど社内データの可視化が進み、それがさらなるデータ活用につながるという好循環が生まれる。
先述した通り、データ分析による価値創出の鍵を握るといわれてきたのは、担当者の属人的な“分析センス”だ。対して生成AIによる分析軸の自動提案は、組織の分析レベルの底上げが期待できる。生成AIが「味」「年代」「パッケージの種類」といった分析軸ごとの売り上げ傾向を抽出して、レポートを作成する。
生成AIによるレポート生成で必要な作業は、自然文のプロンプトによるロジックと集計の指示だけだ。つまりIT部門の力を借りなくても現場主体で分析を推進できる。「自然言語で作業指示を出せるため、思い付いたアイデアをすぐ試せます。分析サイクルは着実に高速化できます」(福泊氏)
セゾンテクノロジーのデータ活用のコンセプトは、システムの「クイックな疎結合」と、そこで得られたデータによる「インサイト創出」、インサイトに基づく「社内データ利用」のサイクルの高速化だ。これによってデータの価値創出の極大化を目指す。
そのために不可欠なのが、社内外のシステムやサービスに格納されるデータへのアクセスを可能とするデータ連携基盤の整備だ。その支援策としてセゾンテクノロジーが提供しているのが、iPaaSの「HULFT Square」だ。累計で約25万本の出荷実績を誇るファイル連携ツール「HULFT」とデータ統合ツール「DataSpider」の機能を基に開発された。
iPaaSとは、クラウドやオンプレミスで利用するシステム間の連携を可能とするプラットフォームサービスのこと。データ連携の“ハブ”として機能することで、個々のシステムをメッシュ構造で連携させるよりもシンプルにできて工数を抑えられる。
「現状、各生成AIサービスの機能の優劣は明確になっていません。HULFT Squareを利用すれば、その時々の判断に応じて生成AIを切り替えて利用できるのもメリットです」(福泊氏)
HULFT Squareは多くのユーザーを獲得している。その原動力の一つが、豊富に用意されているデータ連携用コンポーネントの「コネクター」による「つながりやすさ」だ。
「データ活用の高度化に向けて、クラウドベースのモダンなデータ分析基盤の利用が広がっています。新旧の技術の違いによってオンプレミス環境からのデータ移行に苦労しがちですが、コネクターの利用でそうした問題も抑えられます」(川田氏)
ドラッグ&ドロップによる直感的な操作性など、非IT部門でも開発が可能なほど扱いやすい点も、データの民主化に向けて評価すべきポイントだ。
データ活用における課題の一つであるセキュリティ対策もHULFT Squareなら心強い。ユーザーグループごとの利用制限が可能で、IT統制を維持しつつユーザー部門に展開できる。個人情報やプライバシー保護の法律であるGDPRやCCPA、セキュリティ管理体制の監査レポートのSOC2にも準拠しており、ユーザー情報を含む機微な情報に対してベストプラクティスに沿った開発と運用を実現する。セゾンテクノロジーは欧米や東南アジアでもサービスを提供しており、各拠点のガバナンスを順守しながらデータ連携できる。
データと生成AIを組み合わせてインサイトをクイックに取得するユースケースは、冒頭で紹介した売り上げ分析以外にも、プロジェクト要員のアサインメントやSalesforceと社内システムのデータを使ったアカウントプランの作成など枚挙にいとまがない。セゾンテクノロジーはHULFT Squareを武器に、生成AI活用を含めたデータ活用支援、伴走に注力する考えだ。
「DXの本質は紙を廃止することによる業務効率化だけでなく、そこから生まれるデータを経営に生かすことです。セゾンテクノロジーはツールの提供のみならず、データ連携ひいてはデータ活用の高度化に向けた仕組みの構築にさまざまなお客さまと取り組んできました。その知見やノウハウを基にした『評価検証支援サービス』や『運用相談サービス』といったプロフェッショナルサービスの展開も強化しています。データの連携や活用、生成AIの活用に課題を抱えている方はぜひ一度ご相談ください」(川田氏)
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2025年5月13日