「Copilot+ PC」が“社員の可能性”を拡張する JBSの障がい者雇用、その現場に見る活用アイデア

PR/ITmedia
» 2025年07月22日 10時00分 公開
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 「優れたテクノロジーを、親しみやすく」をミッションに掲げ、マルチベンダーのシステムを提供する日本ビジネスシステムズ(JBS)は、Microsoft製品をはじめとしたクラウドサービスの導入から保守・運用を支援し、ライセンスや関連機器のリセール事業も展開するクラウドインテグレーターだ。

 同社は「Microsoft Partner of the Year」を12年連続で受賞し、7分野の「Specialization」(認定)を取得するなど、日本マイクロソフトにとって重要なパートナー企業の一社と言える。

 そんな同社が、障がいのある社員の業務を支援するために、AI利用に最適化された高性能デバイス「Copilot+ PC」を活用し、成果を上げている。本稿ではその背景とユースケースを紹介する。

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一人一人の特性に合わせた支援の在り方を模索していたJBS

 JBSは障がいのある人材を積極的に雇用しており、彼らはさまざまな職種で特性を生かしながら活躍している。

 高いスキルを持つものの、その特性によって彼らの働く環境について幾つかの課題を感じていたと語るのは、日本ビジネスシステムズの井上祥氏(HR 戦略本部 人事部 障がい者雇用推進課 課長)だ。

 「特にエンジニアやサポート担当として勤務する聴覚障がいや発達障がいのある社員は、お客さまとのビジネスに関わる業務が比較的に多いため、チームで協働したり、臨機応変な対応を迫られたりする場面も多くなります。そういった場合に、情報の取得や整理をしにくい傾向があり、十分に能力を発揮できないケースが生じていました」(井上氏)

 当然、会社としてサポートの必要性を議論していた。特性に沿った支援をどのように行うことが最善なのか模索していたという。「会社から提供する環境と、本人と合意した必要な配慮(合理的配慮)があっても、障がいの特性によって必要な情報を得にくく、コミュニケーションの壁による孤立や業務非効率、さらには身体面や精神面の不調につながり、社員の定着に影響が出ることは、以前からの課題でした」(井上氏)

 「『自分らしく、ありのままでいられる』環境をつくることで、誰もが活躍でき、持続的な成長とイノベーションを生み出しつづける企業へ」というDE&Iポリシーを持つ同社にとって、また2024年4月から義務化された「合理的配慮の提供」への対応という視点も含めて、障がいの特性に合わせた環境づくりは大きなテーマだった。

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Copilot+ PCを障がいのある社員の支援ツールとして活用

 そんな状況を解決するツールとして「Copilot+ PCを使ってはどうか」と提案したのは、同社でCopilot関連の利活用推進を担当している日本ビジネスシステムズの堤裕一氏(Data & AI 事業本部 ソリューション部 AI ソリューション 1 グループ シニア エバンジェリスト)だった。

 Microsoft製品のリセラーである同社は、製品をいち早く検証し、その効果を顧客への提案につなげる“リアルショーケース”を大切にしており、AI利用に最適化されたCopilot+ PCに関しても同様に有効性の検証を早期に進めようとしていた。Copilot+ PCを20台ほど試験導入して検証を行うことが決まっており、堤氏もそこに携わる一人だった。

 そんな中で「障がいのある社員を支援するツールとして活用できないか」というアイデアが生まれた背景には、同僚のふとした発言があったと堤氏は振り返える。

 「ある先輩社員と食事をしているとき、『ビジネスだけでなく、社会課題の解決にもCopilotを使えるのでは』という話が出ました。実は、JBSには社会課題の解決を考えられる土壌がもともとあり、2019年には関連法人である『社会システムデザインセンター (SSDC)』を設立しているんです。だからこそ、私たちならではのCopilotの利活用方法が見いだせるのではないかと思い、具体的にどんな課題に生かせるのか探していました」(堤氏)

 その先輩社員の言葉から「社会課題」というテーマについてアンテナを張るようになった堤氏の目にとまったのは、聴覚に障がいがある社員から寄せられた全社会議に関するアンケートだった。

 そこには「字幕がないので、ミーティングの内容をリアルタイムで追いかけることができませんでした。字幕を付けてもらうことはできないでしょうか」という要望が書かれていた。

 全社会議にはウェビナー配信専用のサービスを利用しており、リアルタイムの字幕生成機能もあった。しかし生配信という性質上、正しく文字起こしがされずに万が一にでも不適切な言葉が文字として記録されてしまうリスクを鑑みて、字幕機能はオフにすることが通例となっていたという。

 そこで堤氏はCopilot+ PCの「ライブキャプション」機能の活用を思い付く。同機能はユーザーのデバイスだけに字幕を表示でき、高精度な音声認識により、字幕の表示内容も非常に正確だ。堤氏は「これを使えば、聴覚に障がいがある社員でもリアルタイムで内容を理解できるのでは」と考えた。

 そこから、障がいのある社員にCopilot+ PCを配布して、特性に合った活用方法を検証するプロジェクトが始動。やがて幾つかのユースケースが生まれ、Copilot+ PCをユニバーサルな業務ツールとして使うメリットが明らかになってきた。以下にそのユースケースを紹介する。

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ユースケース1:S.M氏の場合

「ライブキャプションにより相手と自然なコミュニケーションができるようになり、ミーティングにより集中できるようになりました」


  • 業務内容:社内AIツールのUI(ユーザーインタフェース)開発、デリバリー作業など
  • バックグラウンド:感音性・混合性難聴の診断を受けており、音声認識はできないが発話に支障はない
  • 使用機能:Copilot+ PCのライブキャプション機能

 S.M氏は、普段はスマートフォンの音声認識アプリを使って、相手の発話を文字情報として認識しており、日常会話に不便を感じることはあまりないという。

 しかし客先でのミーティング時にアプリを使用する了承をあらかじめ得たとしても、「スマートフォンに目を落としながら会話をするのはあまり印象がよくないのではないか」という懸念を持っていた。

 そこでCopilot+ PCのライブキャプション機能を使ってみたところ、話し相手を視野に入れながらPC画面のキャプションを読めるので、安心して会話ができ、内容の理解もスムーズにできるようになったとS.M氏は話す。個人的な感覚ではあるものの、95%ほどの精度があり、会話はほぼリアルタイムで追いかけられるそうだ。

 「ライブキャプションを利用し始めてからは、アプリを使用する必要もなくなり、アプリ使用の了承を得る必要もなくなったので、より自然なコミュニケーションが取れるようになりました」(S.M氏)

 字幕が出ない動画でもライブキャプションは使えるため、eラーニングなどあらゆる動画サービスでも利用ができる上、インターネットを介さない対面での会話時にも使えるとのこと。そのため、あらゆるコミュニケーションで役立っているという。加えて、ミーティングの中で分からない単語が出てきた際に、「Copilot Chat」を利用して簡単にキャッチアップする作業が思いのほか役に立っているという。

 「『○○という単語を、50文字以内で初心者でも分かりやすく要約して』というプロンプトを打ち込むだけで、単語の意味がつかめるようになるのはとても便利です」とS.M氏。身体の特性上視覚情報に頼ることが多いため、ライブキャプションで表示される字幕情報に加えて「視覚のリソースを検索に割かなくて済むことで、ミーティングにより意識を向けられるようになりました」とその効果を実感している。

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ユースケース2:M.A氏の場合

「Copilot+ PCのおかげで、ストレスなく業務理解ができました」


  • 業務内容:ライセンスやプロダクトの見積もり作成、ライセンスマネジメント運用など
  • バックグラウンド:感音性難聴の診断を受けているが、読唇によって相手の口話はほぼ理解できる
  • 使用機能:Copilot+ PCのライブキャプション機能

 M.A氏は入社数カ月の新入社員だ。読唇や手話といったコミュニケーション手段を有していることや持ち前の積極的な性格から、物おじせずにコミュニケーションを取ることができているという。

 通常、新入社員は上司や同僚から業務に関するレクチャーを受ける機会が多くなるが、聴覚に障がいのある社員にとっては、読唇だけで相手の言葉を完全に理解することは難しく、業務理解の遅れにつながりかねない。

 しかしM.A氏の場合は、入社時からCopilot+ PCを貸与されており、ミーティング時にはライブキャプション機能を使って会話することが当たり前になっているため、字幕を通してストレスなく業務理解を深められていると感じているそうだ。

 ただし、入社間もないことから「知らない単語が会話に出てきたときに、それがIT用語なのか、JBS内の専門用語なのか戸惑うことはあります」とM.A氏。S.M氏同様にCopilot Chatを利用することでストレスなく業務理解ができているという。

 M.A氏からは「話者の滑舌によって変換の精度も変わるため、学習機能があると助かります」というリクエストが出た。現在はオンライン音声認識という改善機能があり、匿名化された形で音声データを提供することで音声認識の精度が改善される。提供したくない場合は提供しないよう設定可能だが、滑舌による精度の差を無くす一つの機能であるため、こちらの機能にも期待をしているという。

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ユースケース3:S.T氏の場合

「『リコール』機能でチャットでの過去のやりとりなどを検索できるため、やるべきことが整理でき、失念を懸念して細かくメモを取る必要もなくなりました」


  • 業務内容:セキュリティ製品の導入・運用支援など
  • バックグラウンド:発達障がいの傾向があり、自分の考えに固執してしまう、文章をまとめるのが苦手、ミスを恐れるなどの特性がある
  • 使用機能:Copilot+ PCのリコール機能

 自分の考えにこだわりがあり、ものごとを客観的に捉えにくいと感じているというS.T氏は、業務でのやりとりが増えると、情報を整理できずに大切な情報を失念してしまうといったこともあったそうで、これまではメモを取るなどの対策をしていた。

 「Copilot+ PCのリコール機能でチャットによる過去のやりとりなどを検索できるため、やるべきことが整理でき、失念を懸念して細かくメモを取る必要もなくなりました」とS.T氏。リコール機能はファイルにも直接アクセスできるため、検索のスピードもかなり早くなったと感じているそうだ。

 オフィスにいればチームメンバーに聞けばすぐに分かるようなことであっても、リモートワークの際にはまずは自分で調べることも多く、リコール機能はかなり役立てられているという。

 また、文書作成においても、Copilotが文脈に沿った適切な表現やフレーズを提案してくれたり、長くなってしまった文章に見出しや箇条書きの提案などをしてくれたりするため、情報を整理しやすくなり、苦手だったレポート作成にも前向きに臨めるようになった。

 さらに、Microsoft 365 Copilotの機能については、将来的にPCローカルで動作することが期待されている。Copilot+ PCローカルでMicrosoft 365 Copilotが利用できれば処理速度向上やオフラインでの利用ができるなど、利用の幅がより広がることが期待される。

※本記事の公開時点では、リコール機能はインサイダープレビュー中です。

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ユースケース4:(M.H氏の場合

「リコール機能で情報を整理して、それを足掛かりにスムーズに作業できるようになりました」


  • 業務内容:Webアプリケーション開発および運用、ITサービスのツール選定、部内教育など
  • バックグラウンド:発達障がいの傾向があり、想定外の質問を受けると回答に詰まることや、情報を集約するときに困難を感じることがある
  • 使用機能:Copilot+ PCのリコール機能

 エンジニアとしての経験が豊富なM.H氏はさまざまな業務に携わっており、並行して案件が進行することも多いため、タスクが増えると情報の整理が困難になってしまう点を課題に感じていた。

 日々の勤怠登録においても、いつ、どのような作業をしたのか思い出せなかったり、記録を残せなかったりすることも多かったというM.H氏。これまではWebブラウザの履歴やファイルの更新日時をいちいち探したり、何かしらの調査でWeb検索を行う際にも、同じページを何度も行き来してしまったりといったことがしばしばあった。そこで、Copilot+ PCのリコール機能を活用。作業中に見ていた書類やWebサイトなどの情報を検索することで、作業の記録を簡単に整理できるようになったそうだ。

 「リコール機能は、簡単な情報だけでも検索できるので、『この言葉はどの業務で使われたんだっけ』と分からなくなってしまったときでも、その言葉を入力するだけで関連情報が出てくるのがとても便利です」とM.H氏。以前は情報が多くなり過ぎると作業効率が下がってしまうこともあったそうだが、「リコール機能で情報を整理して、それを足掛かりにやるべき作業を明確化することで、スムーズに作業できるようになりました」とその効果を喜んでいる。

※本記事の公開時点では、リコール機能はインサイダープレビュー中です。

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全ての人の業務を支援できるCopilot+ PCの可能性

 井上氏は今後の展望として「Copilot+ PCの機能で一人一人の特性をサポートすることで、皆さんが業務の精度や効率を高められ、活躍の幅を広げてもらえれば」と語ってくれた。

 井上氏によると、障がいのある社員も参加した社内親睦の交流イベントの際に、ライブキャプション機能を使ったコミュニケーションを取り入れたところ、とても盛り上がり、有用性のアピールにもつながったとのこと。ここからさらに活用アイデアが生まれるかもしれない。

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 「障がい者雇用に関して悩みや課題を抱えている企業も多いと思います。私たちが情報を共有することで、社会的な課題の解決につながることを期待しています」と堤氏。

 「『Surface』のタッチパネルを使えば、ピンチ操作で表示を拡大できるので、視覚に障がいのある社員にも便利に使ってもらえるはず」とデバイス側の可能性にも期待を寄せている。

 JBSは、障がい特性に合わせた環境づくりをテーマに、Copilot+ PCを導入して、活用を始めた。今後、一般的な業務全般で使用されるPCとして普及していくことが予想される。

 同社は、日本マイクロソフトのパートナーとしてCopilot+ PCの販売も担当している。今回の事例を機に、Copilot+ PCに興味を持った企業や、障がい者雇用に課題を持っている企業があれば、JBSに相談してみてはいかがだろうか

 JBSの取り組みは、障がいの有無に関わらずCopilot+ PCの機能が業務効率化やコミュニケーション円滑化の支援に役立つことを確信させてくれるものだった。こうした事例を踏まえて、日本マイクロソフトも、全ての人の能力を拡張するCopilot+ PCの可能性をさらに広げられるように一層努力するとしている。

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この記事は、日本マイクロソフトのWebサイトに掲載された記事を基に、一部更新、加筆したものです。


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