プロセッサの製造プロセスルールの微細度の先進性は、そのプロセッサの基本性能をある程度決定づける。しかし、最新のプロセスルールを使用すると歩留まりに影響(大抵の場合、歩留まりは悪くなる)し、引いてはそのプロセッサの単価を押し上げてしまうことがある。
かつてNVIDIAは、GeForce FX 5800 Ultraの製造に、当時最新のプロセスルールであった0.13マイクロプロセスを採用したが、歩留まりが芳しくなかったため十分ば数量を製造できず、立ち上がりでごく少量しか流通できなかったGeForce5800Ultraは、事実上離陸に失敗した経験をしている。
今回、プロセスルールの過渡期ということもあってATIとNVIDIAは共に0.13マイクロプロセスを採用しているが、ATIは改良版0.13μmともいえる「low-k版の0.13μm」を取り入れている。そこで、まずは製造プロセスルール周りの事情について聞いてみることにしよう。
──ATIはRADEON X800シリーズにlow-k版0.13マイクロプロセスを採用しました。これによりRADEON X800シリーズは省電力性能に優れ、高クロック動作が期待できるようです。
NVIDIAはGeForce FX 5800 Ultraを見ても分かるように最新プロセスルールが好きですし(笑)、なにしろGeForce 6800シリーズはトランジスタ数も2億2200万と大規模です。最新プロセスルールの90ナノプロセスを使うことは考えなかったのですか。
タマシ氏 NVIDIAのGPUはTSMC、IBMに製造を依頼していますが、こうした商業ファブで90ナノプロセスのソリューションを提供しているところはまだないですね。なお、GeForce 6800シリーズの製造にはIBMのファブを利用しています。
──TSMCであればlow-k版0.13μmが使えたのではないですか(編注:ATIはTSMCのファブで生産している)。
タマシ氏 TSMCのlow-k版0.13マイクロプロセスは8インチ(200ミリ)ファブでしか利用できません。我々はコスト重視で12インチ(300ミリ)ファブを採択しました。これはウェハあたり約2.5倍も多くチップが取れます。
我々はGeForce FX 5800Ultraのときには「やり過ぎた」と自覚しているんです。二度と同じミスはしたくないですからね。あれは痛かった(笑)。
──なるほど。とはいえ、世間ではGeForce 6800シリーズは生産性に問題が出ているのではないかという憶測が広がっているようですが、これについては?
タマシ氏 順調ですよ。何の問題も出ていません。
──価格についてはどうですか。
タマシ氏 ハイエンドGeForce 6800 Ultra(コア400MHz/メモリ1.1GHz)は499ドル、そして新たにスタンダードGeForce 6800の上位に設定したGeForce 6800GT(コア350MHz/メモリ1GHz)が399ドルです。GTは16パイプラインのままです。
タマシ氏のいうように、GeForce 6800GTは最初の発表時にはなかった製品で、5月上旬、RADEON X800シリーズが発表されたのと、ほぼ同時に追加発表された製品だ。
ATIのRADEON X800PROの価格は399ドル程度。その価格設定は、GeForce 6800GTが誰がどう見てもRADEON X800PROの対抗モデル、ということを表している。
RADEON X800PROの動作クロックは、コア475MHzにメモリ900MHz。コアクロックはGeForce 6800GTを大きく上回るが、パイプライン数は12本に減らされている。GeForce 6800GTとRADEON X800PROの勝負も面白いことになりそうだ。
GeForce 6800 GT | RADEON X800 Pro | |
Vertex Units | 6 | 6 |
Shader Units | 16-32 | 12 |
Texture Units | 16 | 12 |
SM 3.0 | Yes | No |
64-bit Floating Point Frame Buffer Blending | Yes | No |
64-bit Floating Point Texture Filtering | Yes | No |
On-Chip Video Processor | Yes | No |
UDA | Yes | No |
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