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コラム

デジタル一眼レフ――ユーザーの裾野を広げるのはやはりキヤノンか?気紛れ映像論(2/3 ページ)

キヤノンのEOS Kissで物足りない点とされるのがソフトのユーザーインタフェースだ。各社のこのあたりの違いを見ていくと、そのメーカーがデジタル画像処理をどの方向へ引っ張っていきたいのか、浮かび上がってくる。

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 とは言え、いったんRAWから吐き出された画像は、たとえ16ビットのTIFFであっても、Photoshopでいじることによってデータが壊れていく。やはりRAW現像の段階で、ある程度まで画像を完成させておきたい。それができないのなら、最初からJPEGで撮った方がいいや――ということになってしまう。


コントラストや濃度など、ほとんどの項目が「リストから選ぶだけ」という、至ってシンプル(過ぎる)RAW現像ソフト“FileViewerUtility”のユーザーインタフェース

設定を変えるたびに、この「お待たせプログレッシブバー」が登場する。ええい、じれったいぃ!

ということで、FileViewerUtilityでは何も設定せずリニアでTIFFを吐き出させ、Photoshopで画像をいじってみた(こういう作業スタイルは嫌なのだが)

まず「レベル補正」メニューでヒストグラムを見ながら輝度域を設定して……

次にトーンカーブでコントラストを整える訳なんだが……。こんなことするならJPEGで撮りゃあよかった

DIGIC恐るべし。でもソフトが……

 実際、キヤノンはそういう姿勢のようだ。「JPEGでも十分きれいに撮れるんだから、大伸ばしで作品を作るプロでない限り、RAW現像なんてしなくていいですよ。『絵』にこだわるプロの方は、市販のRAW現像ソフトでしっかり絵作りしてください」と、言われているように思える。

 プロ用カメラメーカーのもう一方の雄、ニコンの場合も、D1付属のユーティリティはやはり機能不足だ。そして、その不足分を別売のNikonCaptureでフォローしている。RAWデータの扱いに関しては、この大手2社の発想は「基本はJPEG、やりたい人だけ別売ソフトで」という点で共通している。

 まして、超低価格のEOS Kiss Digitalは、最初からRAWモード撮影なんて考えなくていいんだよ、という雰囲気である。一応RAWも撮れるけれど、2L判程度ならJPEGで十分――ということだろうか。

 ところが、だ。このカメラ、エンドユーザー向けと侮ってはいけない。630万画素のCMOSセンサーと画像処理エンジンDIGICの作り出す画像は秀逸である。確かに、JPEGの最高画質(Large-Fine)で撮影すれば、わざわざRAW現像しなくてもそれなりのサイズに引き伸ばせるだけのクォリティを持っている。しかし、せっかくの高画質なのだ、もっときっちりと絵を作りたいと思うユーザーがいてもいいじゃないか。

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