1カ月半で2000万利用 「顔ちぇき!」流行、3つの理由
顔写真に似た有名人を判定する携帯サービス「顔ちぇき」が、1カ月半で2000万回以上利用されました。公式外の“勝手サイト”としては異例のヒット。携帯検索やSNSの口コミが、ヒットを支えています。
1カ月半で2000万回以上利用された携帯サービスがあります。4月26日にサービスインした「顔ちぇき 〜誰に似てる?〜」で、携帯カメラで自分の顔写真を撮って送ると、芸能人の誰に似てるかを返信してくれるというもの。6月8日までの累計利用数は2284万回にも上っています。
これまで、携帯サイトで最も効果がある集客手段は、公式メニューで目立つことだとされてきましたが、顔ちぇきは、公式サイトではない一般サイト。にも関わらず大ヒットした背景には、携帯検索サイトの普及、テレビなどマスコミの影響力、SNS・ブログによる口コミ――という3つの要素がありました。
珍しいサービスではなかったが……
携帯カメラで撮った顔が有名人に似ているかを調べるという「顔ちぇき」に似たサービスは、以前からありました。ですから、顔ちぇきがモバイル業界的に目新しさがあったというわけではありません。
わたし自身も、4月末に顔ちぇきを初めて見た時、玄人的な立場から「なんか新しいネタ系のサービスがオープンしたのかなあ」と思った程度でした。
きっかけはテレビ放映
世の中の反応は全く違っていました。起爆剤となったのは、5月8日の「めざましテレビ」(フジテレビ)での紹介でした。
めざましテレビで取り上げられた直後から、テレビで見た人が顔ちぇきを利用しようとしました。ところが顔ちぇきは公式サイトではないため、公式メニューをたどってもアクセスできません。
ですからユーザーは、公式メニューの検索窓や、PCの検索サイトから「顔ちぇき」をキーワード検索し、アクセスしようとしました。
5月8日時点で、Yahoo!モバイルやGoogleモバイルでは、顔ちぇきはヒットしませんでした。当社が運営する「froute.jp/エフルート」はかなり早い時点でヒットするようになっていました。Yahoo!モバイルでの検索結果がfroute.jpのページだったということもあり、froute.jpで顔ちぇきの検索数が急増しました。
顔ちぇきはiモード公式サイトでもないので、iモードトップページの検索でもヒットしません。このため、iモード検索の結果画面に表示される「その他の検索サイト」にアクセスし、最上位にあるエフルートで探す人も多かったようです。
当社のメルマガでも「顔ちぇき知ってる?」と、折に触れて検索をリコメンドをしてみました。すると、話題は知っていたけれどアクセス方法が分からず、利用できなかった人がいたのか、5月15日や22日、25日に検索が急増しました。
「顔ちぇき」という分かりやすいネーミングにも関わらず「顔チェケ」「顔チェック」「顔チェケラッチョ」「顔シャメ」など微妙に異なるキーワードも多数検索されていました。
ブログやSNSで広がる反響
携帯サイトがテレビで紹介されると、その瞬間は話題になりますが、急速に収束するものです。ところが「顔ちぇき」に関しては、当社検索サイトなどでもいまだに継続的に検索されています。これはどういうことなのだろうといろいろと調べてみました。
特徴的だったのはブログとSNSでした。顔ちぇきを利用した人が、SNSの日記やブログにその結果について書き、それを読んだ別の読者が、何だろうと思い、検索してサイトにアクセスする――といった形で継続的に顔ちぇきにユーザーが流れたようです。
めざましテレビで放映後、さまざまなメディアで継続的に取り上げられていることも息の長いヒットにつながっています。携帯サービスは一般にユーザー動向が分かりにくく、新メディアとして期待されている分野でもあるので、メディアが注目しているのだと思います。
携帯ヘビーユーザーの趣向に合ったサービスだったというのも、ヒットの理由の1つです。携帯の検索ランキング上位にも常に有名人の名前が入っており、携帯サイトユーザーの多くが有名人に興味を持っているようです。自分の顔がどの有名人に似ているかを判定するという顔ちぇきは、そうした利用動向にマッチしていました。
携帯サービス、新しい集客法
携帯SNSや携帯ブログでユーザー同士がコミュニケーションし、検索も積極的に利用されるようになった今、「公式メニューで目立つ」という従来の手法だけでなく、「いかに口コミされやすいか」という新しい視点で携帯サービスを考えていくことが求められているのかもしれません。
ちなみにfroute.jpでは5月末から、顔ちぇきの判定結果の有名人名で検索ができるようにしました(関連記事参照)。顔ちぇきを使った新しい携帯検索の形――例えば、自分が誰に似ているかを調べて有名人を探すのではなく、テレビで見知らぬ直接有名人を撮影し、そのまま顔ちぇきで検索してそれが誰なのか知るといったような使い方――がそろそろブレイクする兆しも、見えているような気がしています。
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