Microsoft Phoneはあり得ない? それでもわたしは信じている
Microsoftが自社ブランドの携帯電話を出すかどうかでブログ界にちょっとした論争が巻き起こっている。
マイケル・ガーテンバーグによると、Microsoft Phoneに関するわたしの見解は間違っているという。ちょっと待って、マイケル。
「わたしはMicrosoft Phoneの登場を信じている」――。11月24日、わたしはブログにそう書いた。この記事をめぐっては、Microsoft Watchの記者らの間で活発な議論が交わされ、一部には外部からも意見が寄せられた。
そして25日の夕方、わたしはマイケルからインスタントメッセージ(IM)を受け取った。彼はわたしが以前JupiterResearchに勤めていたときの上司で、その後、MobileDevicesTodayのアナリスト兼ブロガー兼編集者に転身している。マイケルは「Microsoftが近い将来、自社ブランドの携帯電話を投入することはないだろう」と題した記事を掲載している。彼の見解は以下の通りだ。
Windows MobileはコアプラットフォームでありOSだ。これまで技術プラットフォームを他社にライセンス供与し、その後、自社ブランドのデバイスを開発して競争に成功した企業は1社もない。Appleは失敗したし(しかも2回)、PalmとNokiaも挑戦したが、うまくいっていない。現在Microsoftは既に2000万件以上のライセンスを販売しており、消費者向けとビジネス向けの両方の分野の携帯端末でパートナーと強力な基盤を築いている。MicrosoftがZune携帯電話を投入したりすれば、そうしたものをすべて傷付けることになりかねない。
マイケルがMicrosoftとモバイル端末に関する専門家であることに疑問の余地はない。ということは、わたしの見解が間違っているということだろうか? 本当に? Silicon Alley Insiderでは、ダン・フロマーが「なぜMicrosoftは自社ブランドの携帯電話を開発すべきか?」について次のように説明している。
Windows Mobileは普通のWindowsとは違う。市場シェアの点においても、価格の点においてもだ。2000万件のライセンスを販売したとしても、Microsoftにとってそれほどの利益はもたらさない。調査会社Strategy Analyticsによると、Windows Mobileのライセンス料は携帯電話1台当たり8〜15ドルにすぎないという。上限値で計算したとしても、1年間にライセンスを2000万件販売してMicrosoftが得られる売上高は3億ドルにすぎない。来年度700億ドル近くの売上高を見込んでいる会社にとって、それではソファの糸くず程度だ。
ダンによると、Appleは今年7〜9月期に690万台のiPhoneを販売し、49億ドルの売り上げを記録しているが、それと同程度の売り上げを得るためには、MicrosoftはWindows Mobileライセンスを1件当たり15ドルで3億件販売しなければならないという。これは、毎年販売されている携帯電話全体の3分の1近くに相当する台数だ。自社ブランドの電話を販売する方が理にかなっており、その方が売上高も増やせる。ダンは次のように指摘している。
では支出は? たとえMicrosoftが来年、例えばiPhoneの半値の300ドルという非常に低い卸値でMicrosoftブランドの携帯電話を100万台しか販売できないとしても、それだけでWindows Mobileの売上高と推定される3億ドルに相当する。それに加えて、アプリケーション販売の手数料や内蔵のLive Search機能からの検索収益、Xboxとの抱き合わせ販売の可能性なども考えられる。そんなに悪いアイデアではないだろう。
この件に関するわたしの考えはシンプルだ。MicrosoftのモバイルOS戦略とブラウザ戦略は混乱している。それが経営の失策なのか、あるいは何か秘密のプロジェクト(例えば、Microsoft Phoneなど)のせいなのかは分からないが、わたしはMicrosoftが何もしていなかったのではなく、携帯電話に関して何かしていたのだと思いたい。マイケルが正しいのかもしれない。だが、何もしないのはMicrosoftにとって得策ではないはずだ。
年末商戦期が始まろうとしている。子供たちはサンタクロースを信じ、大人は善意を信じる季節だ。2003年の映画「ピーターパン」では、ティンカーベルを生き返らせようと子供たちが「わたしは妖精を信じます、信じます、本当に信じます!」 と繰り返し唱えていた。あなたはMicrosoft Phoneの存在を信じるだろうか? わたしは信じます、信じます! そうでなければ、Microsoftの携帯電話戦略は終わったも同然だ。
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