Windows 7の「Windowsエクスペリエンスインデックス」評価に混乱した(2/2 ページ)
わたしの新しいVAIOノートPCのWEIスコアは、Vistaでは3.8なのに、Windows 7 βでは2.0となっている。しかも、よりスペックの低いHPのノートPCのスコアは4.1だ。
このHPのノートPCは900ドル程度で販売されている。「安いコンピュータの方が高いスコアだ」と友人はおどけて言ったが、明らかに痛烈な皮肉が込められていた。それがわたしに対してなのか、Microsoftに対してなのか、両方に対してなのかは分からなかった。だが、わたしにはそれほどこたえなかった。VAIOの方がスペックがいいことは知っているし、2.0というスコアは暫定的なものだろうと思うからだ。
VAIOはHPのマシンと比べて画面解像度が高く、グラフィックスメモリが2倍で、HDD容量が大きい一方、サイズは小さく重さも軽い。約1.42キロだ。しかし、WEIのスコアを見ると、HP Artist Editionの方が2倍も高い。
E7ブログの19日付の投稿で、MicrosoftのWindows & Windows Liveエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント、スティーブン・シノフスキー氏は、以下のような的確な注釈を加えている。
WEIは相対的な尺度として利用するのが最適であり、そのスコアでシステム同士を比較するべきではない。ほかの多くの尺度とは異なり、WEIはコンポーネントの相対的な性能を測定して表したものにすぎない。WEIの測定は短時間で行われる。その際はソフトをロードした状態でコンポーネントの相互作用が測定されるのではなく、ハードウェアの特性が測定される。つまり、ユーザーの利用シナリオにおけるシステムのパフォーマンスは測定されない(測定が不可能)。したがって、WEIはシステムのパフォーマンスを示すのではなく、Windows 7の実行時の相対的なハードウェア性能を示すにすぎない。
WEIがそのように非常に相対的なものだとしたら、一体何の役に立つのか。実際、WEIのスコアでVAIOとHPのマシンを比べると、安いノートPCの方が良い製品ということになってしまう。これでは、PC購入者にメリットより混乱を与える可能性が大きいだろう。もちろん、厳密に言えば、Microsoftは一部のHDDのスコアを人為的に抑制している。そこが肝心だ。つまり、測定基準が一貫しているとは限らないわけだ。にもかかわらず、WEIは新しいコンピュータに対する人々の評価に影響を与えてしまう。
わたしはWEIが優れた尺度だと思ったことはなく、以前アナリストの仕事をしていたころにMicrosoftにそう言ったこともある。ノートPCの方がデスクトップPCよりスコアが低いだろうとは思っていたが、実際そうだ。1000ドルとか2000ドルを払って、WEIが2.0のマシンを誰が買おうとするだろう。
ほかにもWEIをよく思わない人々がいる。それがOEMか小売店か断言はできない。だが、次のことは言える。わたしの場合、店頭でWindows VistaノートPCのWEIをチェックするのは珍しいことではない。そのスコアはウェルカムセンターに表示されていないが、気になるからだ。WEIはこんなふうに注目されるだけに、メーカーや小売店はおそらく両者とも、購入検討者にWEIをチェックされたくないだろう。
では、WEIの測定機能はなぜWindows 7に残されていて、しかも拡張されているのか。WEIのスコアの範囲はVistaでは0〜5.9だが、Windows 7では0〜7.9となっている。
わたしのノートPCは低スコアだが、わたしは気にしなくなるだろう。パフォーマンスに満足しているし、VistaよりWindows 7を動かしている方が快適だからだ。フォーティン氏はこう述べている。
ディスクのスコアが低いが、それ以外のパフォーマンスに満足しているユーザーに対しては、われわれからアップグレードを勧めることはない(もちろん、WEIは何らかのハードウェア変更を勧めるツールではないのだが)。一般的なワークロードのためにI/Oシーケンスが発行されても、アプリケーションがわれわれの指摘している問題にぶつからない可能性も大いにある。前述したように、WEIは測定指標だが、この指標はあなたのコンピューティングニーズにしか当てはまらない。
WEIは「あなたのコンピューティングニーズの指標」なのだろうか。新しいコンピュータを買うとき、WEIを1つの目安にする人が大勢いる(そのため、一部の展示モデルでは、WEIの測定機能は無効にされている)。わたしのマシンのスコアが2だったことでいろいろ書いてきたが、強調しておきたいのは、WEIは相対的過ぎるため、多くの人にとって目安にならないということだ。
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