もっと自分の知らない情報や人とつながっていきたい──fooo.name・高村さん田口元の「ひとりで作るネットサービス」探訪(2/2 ページ)

» 2007年11月29日 11時20分 公開
[田口元,ITmedia]
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Ustreamの映像にTwitterのコメントをニコニコ動画風に──から始まった「fooo.name」

 仕事は順調だが、やはりエンジニアとして一般公開できるサービスを自分で作りたかった。まずは勉強から……。高村さんはそう思い、始めたのがRubyの勉強だ。その流れでRuby On Rails(Rubyを使ったWebアプリケーションのフレームワーク)も自然にいじるようになった。「最初は『なんじゃ、これ?』と思いました(笑)。でも、慣れてくるとやっぱり速いですね。びっくりしました」

自分自身の“GTD実践用”として作成し、現在も使っているToDo管理ツール

 最初に作ったのはToDoリストをWeb上で管理するシステムだった。タスク管理にGTDを実践している高村さんは自分の仕事術に合うようにシステムを作りあげていった。ToDo項目をドラッグ&ドロップで移動させたり、画面遷移なくその場で項目を編集できたりといった機能を実装していった。Ruby On Railsのおかげで開発は順調だった。「Rubyの勉強も含めて全部で1カ月ちょっとくらいしかかかりませんでしたよ」

 最初に作ったこのサービスは一般公開こそしていないが、高村さんの毎日の習慣に完全に組み込まれているという。「毎朝このサイトでToDoをチェックします。メールで仕事が振ってきたらまずはここに入れ、今日やるべきものは『今日やること』リストに振り替えます。そのリストが空になった時点で気分よく帰宅することができます。本当はもうちょっと機能を充実させて一般公開したいのですけどね」

 次に作ったのはブログシステム。高村さんが今でも更新しているブログは自作のシステムで動いているという。「特に特徴的な機能はありませんが、将来機能を付け加えたいときに自分で作ったシステムだったら楽かな、と思いました」

 そうして勉強を積み重ね、次に作り上げたのが冒頭で紹介したfooo.nameだ。いまでこそ「自分が興味のある人についてもっと知りたいサービス」として活用しているが、そもそものきっかけは、複数のサービスをつなぎ合わせるAPIとして開発を始めたものだった。

 その当時、Ustreamが技術者の間で話題だった。自分のWebカメラ映像を淡々とストリーム放送してくれるサービスだ。ただ、このサービスのチャット機能の使い勝手がよくなかった。自然とユーザーはUstreamの中継を見ながらTwitterでコメントをしていく、という流れになった。それを見ていた高村さんは、「だったら一緒にしちゃえばいいかも」と思いつく。そこでUstreamの映像にTwitterのコメントをニコニコ動画風に表示していくツールを作ってみた。

 このツール自体は簡単に作れたが、あるユーザーのUstreamのIDと、TwitterのIDを紐付ける方法がないことに気が付いた。複数サービスで、どのIDとどのIDが同一人物かが分かればもっと面白いマッシュアップができるのではないか──。そう思いついたのがfooo.name開発の動機だった。だからfooo.nameではAPIも提供している。

 自分でもfooo.nameのAPIを使ってマッシュアップサービスを作ってみた。fooo.nameで気になる人の関連サイトを引っ張ってきたら、そのサイトのRSSをまとめてlivedoor Readerに登録してくれるというブックマークレットだ。このようにfooo.nameのAPIを使った、人をつなげていくマッシュアップサービスがどんどん出てくればいい、と高村さんは考えている。

 「ただ、データの精度についてはまだ改良の余地がありますね。自動で引っ張ってくる機能は便利ですが、たまに間違えてしまいます。そこで引っ張ってきたデータを手動で編集できるWiki的な機能も実装しました。ほかにもいくつかのやり方でなんとか精度を上げられないか考えています」

「情報はすべてフィードで1カ所に。livedoor Readerだけ見ていれば大丈夫」

 「情報はすべてフィードで1カ所にまとめ、livedoor Readerだけ見ていれば大丈夫、という状態を作っています」という高村さん。フィードを配信していないサイトは「なんでもRSS」を使うことで対応している。

 よく使うツールは「あとで読む」。気になる長文のブログ記事などは「あとで読む」でGmailに送り、iPod Touch上で読むという。こうしておけばiPod Touchの滑らかなインタフェースでどんどん読み進めていけるからだ(10月11日の記事参照)。「今はLISPが気になっているのですが、その関連のブログをまとめて送っておいて電車の中で読んでいます」

 コードを書くことが多い高村さんはGoogleデスクトップを愛用し、ローカルファイルを検索している。またEmacsを使い慣れているので、「Xkeymacs」をインストールしている。Xkeymacsを使うとEmacsと同じようなキーでWindowsを操作することができる。ほとんどマウスを使わずに作業ができるのが気に入っているという。

 やる気がないときにはプログラミングに関する読みものに手を伸ばす。好きなのは『ハッカーと画家』。読んでいるとどんどんやりたいことが浮かんでくるという。少し読むだけで「自分もがんばらなくちゃ」という気分になってくる。

 大学ではデジタルメディア論を専攻していた。そのときにインターネットに出会い、そこに膨大な世界が広がっていることを知った。「自分の知らなかったことをもっと知りたい。知らない人同士でも、興味が似通っている人ともっと出会えるようになるといい」。そう願う高村さんの次のサービスに期待したい。

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