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口調やボディランゲージの影響をマスターする(2)コミュニケーションをワンランクアップ!(3/3 ページ)

コミュニケーションを科学的に見た場合に重要な、「ボディランゲージ」と「声のトーン」。バックトラッキング・ミラリング・ペーシングという考え方をマスターして、コミュニケーションの質をアップしましょう。

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声の調子や呼吸で信頼関係を築く──ペーシング

 次に、声の調子や呼吸の影響度を見ていきましょう。

部下 (座っている状態、ゆっくりした口調で)「あの……この件なんですが……」

上司 (座った状態、早口で声は大きめ)「どうした、なにかある?」

部下 「これを……」

上司 「どうした? どれ、どれ? これ?」

部下 「なんとかしようと……」

上司 「ああ、ああ、なんとかしようとしてるんだ、どれを? どれ? どれをなんとかしようとしてるの?」

部下 「この部分を……」

上司 「ああ、この部分を? どうにかしようかとしてるんだ、どうやって?」

部下 「A社は、いいと……」

上司 「ああ、A社はいいって言ってるんだ!」

部下 「でもB社がちょっと……」

上司 「ああ、B社がちょっと別のことを言っているんだ、どう言ってるの!?」


 かなり極端な例ですが、よくあるシーンです。部下はちゃんと聞いてもらった気になれないし、忙しい上司はイライラして、「ちゃんと聞いたのに、あいつまた同じこと言ってくるよ」なんてことになるんですね。この例では、姿勢が合っているし、バックトラッキングもしています。ただ口調が合っていません。

 では、今度は口調が同じ例を見てください。

部下 (ゆっくりした口調で)「A社とB社が違うことを言ってくるので……」

上司 (ゆっくりした口調で)「ああ……」

部下 「どっちにしたらいいか、私の中ではわからなくなって……」

上司 「そうか、どっちにしたらいいか……」

部下 「私では決められなくなって……」

上司 「どうしたらいいか、わからないんだね」

部下 「ええ、つじつまがあうのは、こっちなんですが……」

上司 「なるほどね」


 このように、口調や話すスピードを合わせることを「ペーシング」といいます。二人の口調や声のトーンが違っていると、信頼関係が築けている気がしませんね。皆さんの周りにもいませんか? 口調や声の調子が違っていて、「あの二人、全然ペースが合ってないよね」という人。まさに息(ペーシング)が合ってないということです。

 こんな例もあります。大企業の社長で、声が大きく、話し方も非常に威圧的な方がいます。部下は畏まってばかり。それで社長はますます威圧的になる、という状態です。それが、あるとき──。

社長 (大声で勢いよく)「ウチの会社は○○なんだよ!」

相手 (同じように大声で勢いよく)「社長! そうなんですかっ!」

社長 「それでっ! 俺が大声でどなっても、部下が全然聞かない!」

相手 「社長! そんな大声で言うだけじゃ、聞きませんよっ!」


 という感じで同じ口調で話すと意気投合してしまって、社長も「なんか、君、俺の気持ちがよくわかるねえ!」となったのです(笑)

 このように、怒っている人に対して、小さくなって「あぁ、すみません……」「申し訳ございません……」「わかりました……」みたいな感じで対応してもダメで、同じ口調がいい場合もあります。もちろん、コミュニケーションにはさまざまなファクターが絡んできますので、一概にこれだけすればいい、というものではありません。下手すると相手の気分を害することもあるので、状況に合わせて気をつけてみてください。

相手と共有したいという気持ちが大事

 実際のコミュニケーションでは、バックトラッキング、ミラリング、ペーシングの3つを駆使していきます。

 ただ、ここで絶対に忘れてほしくないことがあります。これらのスキルは真似ることが大事なのではありません。本当に相手の立場に立って、相手のものの見え方、聞こえ方、感じ方を一緒に体験するつもりで聞くことが大事なのです。真似をしていると、相手にはすぐ分かります。相手の立場や気持ちを理解したいという気持ちで、姿勢や口調を合わせないと効果がありません

 「この人の気持ちを理解したい」と思いながら話を聞いていると、自然に足の形や姿勢、口調が合っていて、バックトラッキング、ミラリング、ペーシングは自然に行われているのです。

 ただ、ビジネスシーンでは、ちょっと付き合いにくい相手や、自分と合わないタイプの人もいるものです。親しくなるのに長い時間がかかったり、なかなか勘がつかめなかったりする場合には、意識的にこれらのスキルを使ってみてください。より早く効果的に早く信頼関係を築くことができます。

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