大量のメモをうまく整理できなくて困る(2)【理論編】:シゴトハック研究所
マインドマップツールを活用して、書き留めたメモを「マップ形式で整理する」──。その特徴と実際について考えてみましょう。
コツ:マップ形式での整理を実践する
前回は、マップ形式で整理すると以下のようなメリットが得られると書きました。
- 複数の情報項目の間にある関連性や構造が浮かび上がってくるため、考えが進む
逆に、デメリットとして考えられることは、リスト形式のツールのように思いついた時に手軽に取りかかるのが難しいことでしょう。もちろん慣れてくれば取っつきやすくなるとは思いますが、「さぁ、整理しよう」という思い切り、あるいは勢いのようなものが必要となります。
マップ形式の特徴
まとめると以下の表のようになります。
特徴 | リスト形式で収集される |
---|---|
メリット | 複数の情報項目の間にある関連性や構造が浮かび上がってくるため、考えが進む |
デメリット | 手軽にできない(手間と時間がかかる) |
マップ形式でメモを整理し始めると、あることに気づきます。それは、
- 「考える」のではなく「感じる」
という特徴です。例えば、メモの配置を変えたり、似たようなメモを1カ所に集めたりという作業をしている時は、どの位置に動かすかの基準や理由を言葉で説明できなくても支障はありません。
「何となく似ているから」
「この2つは仲間だから」
という論理的とはいい難い、感覚的な基準でも作業を進めることができ、整理し終えたマップを眺めると「しっくり来る!」と感じることが少なくありません。すべてのメモがあるべき場所に収まっていると「しっくり」が感じられるようです。
このように「どこに配置するか」という基準が言葉で説明できなくても済むのがマップ形式の最大の特徴であり、考えることに集中する上で重要なポイントとなります。
また、形式の違いによって生じる特徴もあります。
例えば、Wordのアウトライン機能を使って、箇条書きのリストを並び替えながらマップ形式と同じような整理を進めることもできますが、箇条書きの場合は、上か下かという“線”でしか配置をコントロールできないため、上下左右の“面”を活かせるマップ形式に比べると思考が限定されてしまいがちです。
- リスト形式 一覧を上下に直線的にしかたどることができない
- マップ形式 構造の上で視線を縦横無尽に走らせることができる
人は上下に並んでいる何かのリストを見た時に、自然と上のものが古く、下に行くほど新しい(あるいはその逆)という時系列を連想しがちです。あるいは、並んでいる順番に何か意味があるのではないか、と考えます。
一方、マップの場合は、どこから見始めてもよく、従ってマップの構造そのものに集中することができます。例えば、構造上の欠陥があれば、それに気づきやすくなります。
別の視点で考えると、箇条書きに並んだリストでは言葉が並んでいるために、言葉が持つ意味に引きずられやすくなります。つまり、並び替えをする際に、言葉で考えるようになります。その結果、全体の構造よりも1つ1つの文に注意が向くようになります。
マップ形式の場合は、先に書いたように「何となく」というあいまいなイメージで感覚的に並び替えをするため、常に全体の構造を俯瞰しながら作業を進められます。
ソーシャルブックマークではタグという“言葉”で情報を分類しますが、この特徴はリスト形式ならではといえます。一方、マップ形式では、イメージが基準になりますので、言葉にならない“メタタグ”とでも呼ぶべき基準で整理・分類をすることになります(HTMLにおける「メタタグ」とは違います)。
以下が今回の内容をまとめたマップです。
文章だけを読むよりも「しっくり」来るのではないでしょうか。
筆者:大橋悦夫
仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『「手帳ブログ」のススメ』(翔泳社)がある。
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