2つの合宿・OBII編:シリーズ「ゆるやかにつながる」(2)(2/2 ページ)
松の内も明けやらぬ2007年正月、再び伊豆半島に向かった。伊東市の山喜旅館では大手町ビジネスイノベーションインスティチュートが主催する合宿が始まりつつあった――。
22時ごろ:暫定的なグループ分け
参加者のやりたいことを軸に暫定的ではあるが「マッチング系」「認証・ID系」「モバイル系」「バーチャルサービス系」と、オンラインサービスの4グループに分かれた。各参加者が目指す方向性に沿う形で分かれたため、それぞれのグループには人数にばらつきがある。最も大所帯になったのが、仮想空間でのサービスを考えたバーチャルサービス系グループで7名。元々のアイデアは、参加者の河村智司さんが「SecondLifeに時間軸を足したようなサービス」と発表したのがきっかけだ。
このほか、決済システムまでを視野に入れた認証・ID系グループが4名。モバイル系とマッチング系はそれぞれ3名ずつ。若干「SecondLife」という言葉に引きずられて人数に偏りが出た感はあるが、そのまま企画案を練る作業に入った。
23時ごろ:最初の発表会
グループごとの発表が始まった。進捗があったのは認証・ID系、モバイル系、マッチング系の3グループ。特に、マッチング系はサービス名称も決まり、Webサイトもできつつあった。一方、バーチャルサービス系は具体的なサービスが見えてこない。発案では、SecondLifeに時間軸をプラスした「SecondEarth(仮称)」というもので、仮想空間で現実の地図にマッピングしていくという内容だった。発想自体は面白いが、「3Dの仮想空間である必要があるか」などの議論があり、この発表までにはグループでまとめ切れなかったようだ。
アイデアだけの議論になるので、どうしても煮詰まりがち。そこでOBIIでは、翌日の昼食前に、議論したサービスをProduct、Price、Place、Promotionの「マーケティングの4P」に落とし込むことを課題を出した。1泊2日という限られた時間しかないこともあり、翌日の6時ごろまで議論を続けていたグループもあった。
翌朝:バーチャルサービス系グループが方針転換
翌日は朝からグループごとのディスカッションが始まった。ここでバーチャルサービス系グループが方針転換。3Dの仮想空間を捨て、地図系の情報サービスを目指すことになった。実はこの時点までに、バーチャルサービス系グループから2人が別の企画へと移っている。グループに縛り付ける決まりはないが、筆者は「だとしてもこれまで議論してきた仲間を去るのは現実的には難しいのではないか」と思っていた。ところが、意外とダイナミックに動いているようだ。
14時ごろ:各グループのサービスが見えてきた!
最後の発表会では、具体的な課題を挙げるグループが目立った。進捗が目立った認証・ID系グループは開発環境を決定し、特許など法律関係も調査することになった。モバイル系グループも携帯メールを活用した具体的なサービスが見えた。マッチング系グループは名前も決まり、ドメインを取得。グループの一員として作業したOBIIの金子浩一さんは、「(携帯各社の)公式コンテンツを目指す」と自信満々だ。
途中、迷走したバーチャルサービス系グループは「リアルなマップとの融合」を方針にすえることにした。発案者である河村さんは「インスピレーションはSecondLifeだったが、最終的にはSecondLifeの部分を削り落とした」とちょっと複雑な表情をみせた。
開発は続く
田口さんの合宿は本人も語るようにゆるい雰囲気だった(1月19日の記事参照)。2泊3日ということもあってか、仕事人たちが淡々と開発し、いつのまにかすごいサービスできている――という印象だ。一方、OBIIの合宿は1泊2日と短かったためか、“駆け抜けた”感が強かった。ディスカッション中心ということもあり、みんなで盛り上がるノリの良さ――を感じた。
OBIIの合宿自体は、4グループともなんとか形になりひとまずは成功したように思う。1月19日には都内で合宿の発表会を開催し、フォローも忘れない。ブログやmixiのコミュニティを使いながら、日常の生活に戻った参加者たちをつなげている。OBIIがビジネスパーソンの架け橋になれるかどうか――これからも「開発」は続いていく。
サービス開発を目指した2つの合宿。その様子はいかがだったでしょうか。次回のシリーズ「ゆるやかにつながる」では、2つの合宿で感じた合宿のコツを、参加者や「リゾートイン今井浜」「山喜旅館」の女将さんや支配人のコメントを交えてご紹介します。
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現代ビジネスパーソンの横のつながりを追うシリーズ「ゆるやかにつながる」。第1回のテーマは「合宿」だ。2006年12月中旬、筆者は伊豆半島・今井浜海岸にいた――。
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