第2回 相手を説得する──「人の評判タイプ」と「自分の納得タイプ」:平本メソッド 行動の指針(2/2 ページ)
相手を説得する方法として、前回は「向かうタイプ」か「避けるタイプ」かを見極めて、説得方法を変えるやりかたを紹介しました。今回は、「人の評判タイプ/自分の納得タイプ」それぞれのタイプに合わせたアプローチを紹介します。
平本 「自分の納得タイプ」の人に対応するときのもうひとつのコツは、「イエス」を引き出していくことです。これを「Yes Set」といいます。人間はイエス、イエスと、肯定し続けると、そのまま全部イエスと答えてしまう傾向があります。例えば、これはお茶ですよね。
房野 はい。
平本 これは電子手帳ですね。
房野 はい。
平本 これは紙ですね。
房野 はい。
平本 これはホワイトボードですよね。
房野 はい。
平本 これは時計ですよね。
房野 はい。
平本 ちょっと1000円貸してもらえますか?
房野 は……危ない、危ない。
平本 (笑)これはちょっとテーマが違い過ぎますが、一瞬、はいと言いそうになるでしょう? モノを買う状況では、お客さんは、迷っているわけです。例えば、パソコンを見に来て、買おうかどうしようか迷っている人なのです。その人に、「バッテリーは8時間、持つので……ご存じですか、安心ですよね……CPUも、そう、速いですよね。メモリもこれだけあって……よくご存じですね。HDDは○Gバイトで、ああ、本当によくご存じですね。私がいろいろご説明しなくても、良さをご存知ですね。じゃあ、私にいろいろ言われなくても、買うって、もう決めてらっしゃいますよね」、と薦めると、自分の納得タイプの人は買う気になります。
房野 買わないとは、言いにくいですね。
斎藤 自分がセールスされる場合を思い出してみたんですが、「よく売れているんですよ」とかの「評判タイプ」で薦められると、大抵、「今日はいいや」って思っちゃいます。
平本 上手なセールスマンは、知らず知らずのうちに必ず、どちらかのアプローチをしているものです。「自分の納得タイプ」の人に対応するときは、自分が知っていたとしてもお客さんの方がよく知っている、という態度で接しているはずです。もちろん、このタイプのお客さんでも、スペックをよく知らない場合もありますよ。それでも、少なくとも「良さをご存じですね」とは言えますよね。「房野さんは、この良さをご存知ですよね」と言われたら、知っていなくても、知らないとはいえないでしょう?
房野 そうですね。
平本 そうすると、「Yes Set」を引き出せます。「じゃあ、私の意見なんか参考にならないですよね」「私に言われなくても、良さを知っていますよね」「じゃあ、私に言われることもなく、これをご購入されるというのは、決めてらっしゃいますよね」、という具合です。
房野 逃げ場がなくなるような感じですが……
平本 (笑)買おうと思っている人、迷っている人には有効です。ちなみに、斉藤さんはどちらのタイプですか?
斎藤 仕事とプライベートだと違いますね。仕事は「人の評判タイプ」で、周りの評判を気にします。プライベートのほうは、自分が納得するかどうかで決めます。
平本 今、買おうかな、と迷っているプライベートの商品はありますか?
斎藤 金融商品をちょっと考えています。でも、「これ、人気ですよ」って薦められても、「僕は結構です」となってしまうんですよね。
平本 例えば、金融商品がいっぱいあって、私がそのセールスマンだとしましょう。「私に言われなくても、斎藤さんは、この金融商品の中で、ご自身の判断で、これだ、というのはおありですよね?」
斎藤 「そうですね、この辺が気になっているんですよね」
平本 「この辺は、どんな点を魅力的だと感じられているんですか?」
斎藤 「リスクはあるけれど、ちゃんともうかると思うんですよ」
平本 「ちゃんと儲かる。さすがですね、よく勉強されていますね」……こう言われると、どうですか?
斎藤 買うつもりで来ているので、購入すると思います。
平本 では、「あ、それ、私もお薦めしますよ」と言われると、どうですか? 「実は、他のお客様もみんないいっておっしゃっているんですよ。ウチのスタッフも、プライベートで買っているくらいです。これ、お薦めですよ」って言われるとどうですか?
斎藤 あまり、背中を押されている感じがしないんですよね〜。
平本 そうでしょうね。
斎藤 逆に、仕事で参考になる本を買うという場合には、ベストセラーは必ず読むようにしているんです。人気のあるサイト、とかもチェックします。見逃して損することは避けたいですね。
平本 なるほど。では、斉藤さんは仕事面では「人の評判タイプ」で、先週の「向かうタイプ/避けるタイプ」では、避けるタイプなのですね。
おまけ 気になる人をデートに誘う場合(2)
「人の評判タイプ」と「自分の納得タイプ」で、デートに誘うアプローチは次のような感じです。
「人の評判タイプ」の人を誘う場合、「AちゃんもBちゃんも、みんなディズニーランドに行っているよ」「雑誌の○○でも、面白いって書いてあったよ」などの言い方が有効です。これは、比較的、簡単ですよね。
一方、「自分の納得タイプ」の人を誘うときには、こちらからはなく、彼女(彼氏)に自分でどんどん言わせてください。「ディズニーシーが面白いって……あ、そうなんだ、よく知っているね」「へえ〜、そういうアトラクションもあるんだ」「それが面白いんだ」「それ、いいね〜」「ディズニーシーって、本当に楽しいところなんだね」と受けていると、「Yes Set」が出てきます。そうすれば、「やっぱり行くしかないね」という流れに持っていけます。
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