タカフミ君 うーん、段取りを作って進めてはみたものの、なかなか思い通りにはいかないなぁ……。
ヒロシ主任 そもそも段取りに無理があったりするんじゃない?
タカフミ君 まぁ確かに、タスクの量がハンパじゃないんで、ところどころあり得ない時間で終わらせることになってはいますけどね。
ヒロシ主任 必要な時間というより終わらせないといけない時間にしているわけだ。
タカフミ君 いや、でもこれは僕の中ではちゃんと計算があって、たとえば「報告書作成:15分」とあっても、実際にはランチを30分で食べ終えて、浮いた30分を充てることになってるんです。
ヒロシ主任 なるほど。でも、それだと一切遅れが許されないことになるね。
タカフミ君 そうなんです。実際、ほかのタスクがずるずると遅れて、結局ランチを食べながら仕事を進めても取り戻せない状況に追い込まれて……。
ヒロシ主任 うーん、典型的なダメパターン。
ノリオ課長 なかなか苦労しているようだね。
タカフミ君 はい……。そもそも見かけの段取りと実際の段取りが違うのが問題ですし、さらにフタを開けてみるとさらに異なる展開が待ち受けているという三段落ちなんです。
ノリオ課長 少なくとも、段取りは一本化したいね。段取りにある通りに手を動かせば済むようにしないと、段取りを作る意味が薄くなっちゃうしね。
タカフミ君 例えば、「報告書作成:45分」みたいにってことですか?
ノリオ課長 そうそう。そうしないと、後で困ることになる。例えば、15分の見積もりに対して、実は終えるのに45分かかる場合、実際には見積もり通りなのに、時間がたってから振り返ると遅れていたように見えてしまうよね。
タカフミ君 確かにそうですね。それに、見積もり時間よりも多くかかるとイヤな気分になりますし。
ノリオ課長 それから、見積もりに加えて、実際にかかった時間も正確に記録しておく必要があるよね。そうしないと、見積もった時間が妥当だったのかどうかがわからなくなるから、毎回「えいやっ」で見積もらないといけなくなる。
タカフミ君 はい、毎回「えいやっ」で見積もってます……。
ノリオ課長 まずは、作業記録をきちんとつけるところから始めようか。記録があれば、何にどれぐらいの時間がかかるのか、そして段取りの段階では気づかなかった想定外なことがどれだけ起こるのかがわかるし、それを教訓として明日に活かすこともできるよね。
筆者:大橋悦夫
仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。
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