実験サービスは業務時間外に、でも「賞金あり」――ウノウラボ:日本全国ラボめぐり(2/2 ページ)
オンラインサービスを手がけるウノウによるウノウラボ。社員が持ち回りで毎日アウトプットをするブログと内容は自由だが「最後まで仕上げること」を学ぶ開発合宿が特徴だ。
ここで実際にウノウラボのエンジニアの方に聞くということで、山下さんに来ていただきました。
“ラボ活動”は意外と少ない?――エンジニアのある1日
秋元 平日の1日はどんな風に過ごしますか?
山下 通常は普通に会社の業務をしているので、ラボの活動はそんなに絡んでこないですね。開発合宿の近くになったら、時間外にほかのエンジニアと「開発合宿で何やる?」みたいなブレストをしたりはしますが。
僕の場合は朝10時頃に出社して、まずメールチェックをします。僕は「映画生活」の管理もしているので、その日に必要な仕事の指示出しもします。ミーティングが入ることもあって、午前はそんな感じで過ぎていきますね。
秋元 お昼は外へ食べに行きますか?
山下 そうですね。渋谷は食べるところが充実しています。いくつかよく行く店があって、ローテーションさせてる感じですね。
混んでいる時間を避けて13時ぐらいからみんなで行って、食べながらも技術の話をしたり、アイデア出しをしたりすることも多いです。
秋元 午後はどうですか?
山下 基本的にはずっと開発業務をやっています。19時から21時くらいに就職面接の対応をすることもあります。20時、21時ぐらいに退社ですかね。
時間 | 行動 |
---|---|
10:00 | 出社。メールチェックと指示出し |
11:00 | 映画生活のミーティング |
12:00 | 開発 |
13:00 | 他のエンジニアとランチ |
14:00 | 開発 |
15:00 | 勉強会 (コードレビューやサイトレビュー) |
16:30 | 開発 |
20:30 | 退社 |
仕事としてのラボブログ執筆や勉強会も
秋元 ラボブログを書く日はどんな感じですか。そのほかに特別な活動はありますか?
山下 調査と書くのを含めて2〜3時間はかかりますね。いくつか書こうかなというテーマは貯めてあって、まわりのエンジニアに聞いてみて評判が良さそうなものを選びます。それをさらに調べて文章をまとめるので、内容によってはもっとかかることもあります。
週に1回、2時間だけペアプログラミングをする時間があるんですよ。ランダムにペアを決めて、ほかのエンジニアと2人で仕事をします。1人がコードを書いて、もう1人はそれを見ながら突っ込みを入れたり。
勉強会も週に1回、「コードレビュー」と「サイトレビュー」というのをやっています。
コードレビューは、エンジニアが書いているコードをみんなに紹介するものです。サイトレビューは世の中にあるWebサイトを紹介するもので、ビデオで撮影してラボブログで公開したりもしてますね。ユーザー登録して使ってみて「ここのユーザーインタフェースがいいよ」とか「このサイトはこれぐらいユーザーがいるらしい」といった話をします。
これらは特別のイベントで、普段はエンジニアにはそんなに予定はないと思います。エンジニアには極力ほかの予定を入れないようにしています。ウノウでは電話もエンジニアには取らせないですし。ミーティングも必要最小限にしています。エンジニアには仕事に集中してもらうのが一番だと思っています。
オフィスにこだわり、フリーアドレスも導入
秋元 ウノウといえば、毎日好きな席に座るフリーアドレスやオフィスへのこだわりが有名ですね。
山田 僕は学生時代に楽天で働いていて、卒業してからはずっとフリーランスだったので「会社とはこういうもの」という固定観念はあまりありません。オフィスについてはいろいろな会社を参考に試しています。
秋元 フリーアドレス制はうまく機能していますか? よそでは結局毎日同じ席に座り、固定してしまうという話も聞きますが。
山田 ウノウの場合「前日とは必ず違う席に座ること」というルールがあって、これがよく効いてるようです。また、各自のPCはノート型なのですが、各テーブルにある程度液晶ディスプレイが置いてあって、それが空いていれば自由につなげてマルチディスプレイにすることもできます。これまでのところはうまくいっていますし、業務にもいい影響を与えています。
秋元 以前のオフィスも渋谷でしたが、オフィスを渋谷にされているのはどうしてでしょう。
山田 通勤に便利ですし、渋谷にあることで1人でも能力の高い人が来てくれればというのはあります。
秋元 能力の高い人を雇いたい、というのがいろいろなことに優先している感じですか。
山田 そうですね。とにかく人が重要で、できる人と一緒に仕事したいし、そのほうが仕事が楽しくなると思っているので、そういう意味もあって渋谷にいるのでしょうね。
会社の本業を持ちながら、個人のやりたいことを満たす仕組み
2回目の取材は新進気鋭のベンチャー企業ウノウのラボとなりました。ベンチャー出身ですが上場してグループ企業も多くなってきたサイボウズからみると、ずっと若くまだまだこれからという会社でしょう。
1人1人が本業のために全力をふるわないといけない状況で、それでも個々のエンジニアのやりたいことや勉強したいことはあるわけです。そこを本人のためにも、会社のためにもなるようにいろいろ工夫して仕組みを作られているのだな、という印象を受けました。
筆者:秋元裕樹
2002年、サイボウズの米国子会社Cybozu Corporation入社。2005年に帰国し、サイボウズの研究開発子会社サイボウズ・ラボの立ち上げに参加。現在はサイボウズ・ラボにて、主に海外オンラインサービスのリサーチを担当。社員ブログ「秋元@サイボウズラボ・プログラマー・ブログ」の運営者として「アルファブロガー2006」に選ばれる。著書に「PHP×WebサービスAPIコネクションズ」など。Webサイトマーケティングの技術面に関するコラムなども執筆している。英国・米国・ベトナムでの開発経験を持つトラベリング・エンジニア。
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