仕事の中断をうまく活かすには?【問題編】:シゴトハック研究所
新入社員カホコさんの教育担当に指名されたタカフミ君ですが、それまでの担当業務に加えてカホコさんのフォローという新たなタスクを抱えて四苦八苦しているようです。
タカフミ君 えーと、ここに過去の取引実績のファイルがあるから、これを元にして見込み客一覧を作ってください。
カホコさん はい、わかりましたー。
それから10分後……。
カホコさん タカフミさん、質問があるんですけど、今いいですか?
タカフミ君 はいはーい、いいですよ!
カホコさん 見込み客一覧のフォーマットなんですが、こんな感じでいいですか? 項目は足りてますか?
タカフミ君 そうだね、うん、これでいいと思うよ。
カホコさん 了解でーす。
それから5分後……。
カホコさん タカフミさん、たびたびすいません! 取引実績のファイルなんですが…。
タカフミ君 はい。
カホコさん 一部未記入の項目があるんですけど、例えば、電話番号がなかったり、WebサイトのURLがなかったり、あと、WebサイトのURLはつながるかどうかのチェックもした方がいいですか?
タカフミ君 うーん。とりあえず未記入のところはそのままにして、進めちゃってください。
カホコさん わかりましたー。
その後も、断続的にカホコさんからの質問で作業を中断させられたタカフミ君は、ほとんど自分の仕事を進めることができませんでした。そこで、夜になってからマサヨシ課長に相談します。
タカフミ君 課長、今日の仕事なんですけど、日中はカホコさんの対応でほとんど進められませんでした。
マサヨシ課長 ウム、それはいかんな。私も時折様子を見ていたが、あんなに頻繁に質問に来られたら確かに大変だよな。
タカフミ君 まぁ、僕の指示の出し方があいまいだったというのもあると思うんですけど、ある程度は自分で判断したり、質問があっても都度じゃなくて、まとめて聞くようにするとか、もうちょっと工夫してほしいんですよね。
マサヨシ課長 確かにそれはそうだが、思っているだけではカホコさんには伝わらないだろう。
タカフミ君 ええ、そうなんです。分かってはいるんですが、うまく言えなくて……。
マサヨシ課長 カホコさんに早く一人前になってもらう、というのも大事なんだが、だからといってタカフミ君の仕事が滞ってしまうのは困るよな。もちろん、そうでなくとも忙しい中だから、申し訳ないとは思うが、もう少し工夫の余地はあると思うんだが、どうだろう?
タカフミ君 うーん……。
マサヨシ課長 じゃあ、タカフミ君が自分の仕事をきちんとこなすためには何が必要かな?
タカフミ君 やはり時間ですね。しかも、1つの仕事に集中できる時間です。
マサヨシ課長 そうだな。そういう時間を作れればいいわけだ。それでいて、カホコさんの質問にはきちんと答えて、カホコさんの仕事が滞らないようにもする。この2つを両立する方法を考えてみよう。ヒントとしては、カホコさんの質問によって生じる「中断」をうまく活かすことだ。
筆者:大橋悦夫
仕事を楽しくする研究日誌「シゴタノ!」管理人。日々の仕事を楽しくするためのヒントやアイデアを毎日紹介するほか「言葉にこだわるエンジニア」をモットーに、Webサイト構築・運営、システム企画・開発、各種執筆・セミナーなど幅広く活動中。近著に『スピードハックス 仕事のスピードをいきなり3倍にする技術』『「手帳ブログ」のススメ』がある。
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