新入社員のためのメール術〜ビジネス編 第2回:電子メールの新リテラシーを学ぶ
前回のアンケートで、「複数の人にメールするとき、誰をtoにしますか?」、そして「複数の人にメールするときアドレスの順番は気にしますか?」を聞きました。意外なその結果は?
前回はビジネスメールの基本的な決まりについておさらいしました。今回は、アンケートの内容を中心に進めていきたいと思います。
アンケートは、
- 「複数の人に一斉にメールをする時、1人をto、残りをcc」
- それとも「全員をto」にしますか?
- 「複数の人に一斉にメールをする時、to内の順番は大切」
- それとも「気にしない」ですか?
という2つのお題でした。多少意外な結果になったようです。さて、皆さんの使い方と比べてどうでしょうか?
toとccの本来の使い分け
基本的には、toが“宛先”という意味です。ccは、この覧に記入したアドレスに同じメールが送信され、本来の受信者(to内の人)には同内容のメールが転送されたことが通知されるというもの。つまり、本来の宛先以外にもコピーを送っておきたい場合に使用するのが「cc」です。だから、「宛先」であれば「to」で送るのが語義的には正しいと言えます。
しかし、実際の使われ方はさまざまなようです。
toとccの使い方に関する質問では、1と2の回答は、それぞれ2:3くらいの割合に分かれました。若干「全員にto」派が多く見られました。
実際のto、ccの使われ方は?
toには、「(確実に)見ておいてほしい人を入れる」「コミュニケーションしている中心の人を入れる」「当事者を入れる」という人が多かったようです。
一方ccには、「(一応参考までに)見ておいてほしい人を入れる」「関係者を入れる」という意識があるようです。実際、「ccに入れてあると見過ごされる」「(自分にきても)あまり真剣に見ない」という意見が多数寄せられました。
to、ccには、差出人の意識が反映されているんですね。
「自分をto、残りの人をcc」という使い方をしている人たちも約1割いました。自分に送るのは履歴として保存するためだと思われます。
そのほか、こんなコメントがありました。(前の数字は回答を表す)
- 1 「等しく全員に対して知らせたい事柄の場合は、全員をto」
- 1 「toには自分のアドレス、bccに送り先をすべて入れ、ccはビジネスでは使いません。まったく知らない相手にメールアドレスを知られるのは問題があると思います」
- 2 「ccに自社内の別の人を指定しておけば、私が不在のときは私の代わりにその人を呼び出すことができる」
- 2 「ccには「知らせた(送信した)ということを知らせたい人」(例:同じ仕事を担当している同僚、上司)を入れる場合が多い」
その場その場での使い分けがされていることがよく分かります。自分の会社で既にある使い方が慣習化していて、それでうまくいっているならば、柔軟に取り入れてみるといいのではないでしょうか。
to内の宛先の順番は大切?
2番目の「to内の順番は気にするかどうか」との質問では、若干「気にしない」派が多かったものの、ほぼ半々に分かれました。
1の気にする派は、「自分は気にしないけれど(人によっては)気にしそうなので」「気を悪くされたことがある」「上司に注意されたことがある」というのが理由です。
一方、2の気にしない派は、「並べてもメールソフトによって順番が変わってしまうから」「慣習的なものはトラフィックの無駄と考えメールでは排除している」との回答が多く見られました。
ちなみに、to内の順番は、「偉い順」「役職順」「お客様が前で身内は後」「連絡するべき順番」という人が多かったようです。明らかに順番が分かっているのではない時には、「五十音順」にしたり、「役職が同じ人がいたらあえて毎回並び順を変えて送る」という、細やかな人もいました。
そのほかには、こんなコメントがありました。(前の数字は回答を表す)
- 1 「少人数で行う会議について知らせるときは、順番を敢えて無作為にすることで『全員同じ立場で積極的に意見を出そう』というメッセージを暗に込めています」
- 2 「そういった細かいことを気にされる人がいたら、または気にしていそうな人であるなら、あえて一斉に送らず、手間はかかりますが、別々にして送ります」
- 2 「体裁を気にするくらいなら、きちんと礼儀に則って手紙や封書を使うべき」
その場その場での臨機応変な対応が必要なようです。
手紙文化の名残?──しかしメールソフトによっては……
本文に入る前の「○○社 △△様、□□様、××様」という宛名は、役職順番にすることが多いはず。メールの宛名の順番も、これに準じるという人が多いようです。手紙文化での礼儀作法の名残と言えるでしょう。そう考えている人が約半数いることを考えると、ビジネスメールでは、お客様が前で身内は後ろ、役職順とするのが無難かもしれません。
ところが、メーラーによっては、宛先を複数選んだ場合の順番が変わってしまうようです。たとえば「Outlook Express」の場合、アドレス帳内で複数の宛先を選ぶと、宛先の順番が逆になります。再度受信者の選択ウインドウを開いて[OK]をクリックすると、宛先の順番が元に戻るので、気になる人は実行してみてください。
また、「Microsoft Mail for PC Networks 3.5」の場合、アドレス帳内で宛先を複数選択し、OK ボタンを押して画面の宛先に入れると、並んでいた順番はバラバラになってしまいます。ここでの並べ替えの順番に法則はなく、受信したメールの宛先は、ポストオフィスごとにシフトJISコード順に並べかえられるそうです。
このように、自動的に並び替えてしまうシステムのメールソフトもあるようなので、注意が必要です。もし順番を気にする相手なら、コメントにあったように、その人だけに向けたメールを書くか、手紙にする、あるいは一切気にしないという方法もありだと思わされる結果でした。
アンケートにご協力くださった皆様、ありがとうございました。
投票──「相手のメールは引用する?」
今回は「相手のメールは引用する?」というお題で意見を募集します。
- 「全文引用していく」
- それとも「引用せず新しく書く」?
- 「相手の文章にレスをつけるのは失礼」
- それとも「相手の文章にレスをつけるのはあり」ですか?
のそれぞれの項目についてご意見をお寄せください。「相手の文章にレス」とは、下記のような書き方を指します。
>お世話になっております。○○社××です。
こちらこそお世話になります。
>早速ですが、先日会議に出ました▲▲の実例について教えていただければと思い
ます。
▲▲の実例についてお答えします。
弊社の場合ですが、・・・
さて、どちらが多いでしょう。皆さんは多数派か、それとも少数派でしょうか。
投票の際には、なぜそう思うのかという理由や、皆さんの年齢、性別、仕事の種類も書いていただけるとありがたいです(20代前半、男性、営業職のように)。次回も、投票結果をお知らせするのでお楽しみに!
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