感情的な議論を防ぐには?【解決編】:シゴトハック研究所
ミスをしたことを責める。責められて感情的になり、議論がエスカレートする──。こうしたことが起きないよう、双方が気をつけるべきポイントがあります。
今回の課題
感情的な議論を防ぐには?
コツ:未来志向で議論する
人が集まって一緒に仕事をする職場においては、感情的な口論が発生してしまうことも時にはあるでしょう。あるいは、自分が犯してしまったミスや、自分がし損じたことが、相手の目にはひどく怠慢に映り、「なぜそんなことをしたんだ?」「どうしてやっておいてくれなかったの?」などと責め立てられれば、黙っていられなくなるのが人情というものです。
とはいえ、過去の出来事についてどんなに議論を尽くしても、得られるところはあまり多くありません。むしろ今後の関係を悪化させる「しこり」を残すことになりかねません。そうではなく、感情的になりそうなところを、いったんは黙って受け止めて、今後の改善策を考えるのが建設的かつ賢明なアプローチといえます。
今回はそんな、感情的な議論の対処法について考えてみます。
過去よりも未来にフォーカスする
問題編における、マサヨシ課長のいう「もっと建設的な議論ができる方法」について、まずヒロシ主任にできるところから考えてみます。
ヒロシ主任は、タカフミ君に向かって「今のタカフミ君の進め方ではこういうことが間違いなく再発する」といっています。しかし、よく考えてみるとこの言い方では十分ではありません。「問題が再発する」ことを「予言」されてもどうしようもないからです。
過去にしでかしてしまったことをただ指摘し、責め立てても、相手にとってはあまり得るものはないでしょう。そんなことをしても、今回の例のように議論がエスカレートするだけです。
もちろん、この場合のヒロシ主任にしてみれば、タカフミ君の方法がうまくいかなかったことがはっきりしたわけですから、まずはそのことをタカフミ君に認識してほしい──そう考えるのは自然なことです。でも、認識を改めるためには、そうするだけのメリットがはっきりしていなければなりません。今回の例でいえば、タカフミ君が認識を改めることによって、その時に被る一時的な痛みや悔しさを補って余りある「学び」、あるいは、してしまったことに対する「赦し」です。
「学び」としては、ヒロシ主任はタカフミ君に今後に活かすべき教訓として、あるべき方針を伝えるべきでしょう。タカフミ君を巻き込んで、将来の改善策へと意識をフォーカスさせるのです。より具体的には、「今後仕事を進める上で、どうすればコミュニケーションにまつわるトラブルが起こらないか」について議論するようにします。
今回のタカフミ君の行動についても、本人も薄々自覚している「すべきでなかったこと」も、今後に活かせるのであれば、無駄にはならないということを伝えることが「赦し」になります。意地を張って主張を曲げない姿勢の裏には、この「すべきでなかったこと」を何とかして正当化したいという思いがあることが少なくありませんから、この縛りをほどいてあげるわけです。
「怒りは受け止める」と決めておく
一方、タカフミ君の対応にも問題があったようです。
何もかもを「スマートな方法」で統一しようとすることもさることながら、それ以上に問題なのは、自分のやり方をヒロシ主任に否定されたからといって、ムキになって議論をエスカレートさせてしまったことです。
このような場合には、自分の立場を守ろうとするよりも、初めから「怒りを受け止めておく」と決めて行動することです。その方が、気持ちも楽になります。自分のとるべき方向性が、初めからはっきりするからです。
特に、長く一緒に仕事をしている間柄であれば、怒りをどこまでもぶつけ続けられるものではありません。ですから、「怒りを受け止める」といってもそれほど長い時間にならないのが普通です。
まずは、相手の怒りに対して冷静に応じるようにします。そうすれば、相手もクールダウンし始めるでしょう。その結果、議論をエスカレートさせずに済み、もっと前向きなことにエネルギーを振り向けられるようになるはずです。
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