第20回「メールにファイルを添付するときの“作法”」:研修で教えてくれない!
「お客様からのメールによく分からない添付ファイルが付いてきたんですけど」――。PCの画面には、拡張子がない上に、ファイル名が文字化けした添付ファイルが表示されていた。
大手総合商社・メデア商事の新人・小林ケンタは今日もPCを前にして、何かに悩んでいる様子だ。そこに同じ営業部3課の先輩・高柳ワタルがやってきた。
高柳 小林、今日はどうした?
小林 お客様からのメールなんですけど、よく分からない添付ファイルが送られてきて。
高柳が小林のPCの画面をのぞき込むと、拡張子がない上にファイル名が文字化けしたファイルが添付されていた。
高柳 う〜ん、先方のメールソフトのバグかな? 何のファイルかメールに書いてないのか?
小林 ただ「送ります」としかないので確実ではないんですけど、たぶんWord文書ではないかと……。
高柳 じゃあ、それで試してみろよ。
小林は添付ファイルに「不明ファイル.doc」と名前を付けて保存し、ウイルス検知ソフトでチェックした上で、開いてみた。
小林 あっ、無事開けました。
高柳 これでひと安心だな。
小林 はい。ありがとうございました。
高柳 俺は何もしてないよ。それよりも、これって自分の問題として考えてみてもいいかも知れないな。
今回は送信元のメールクライアントソフトのバグのために、添付ファイルのファイル名が文字化けし、拡張子がなくなってしまったようだが、これは必ずしもメールクライアントだけの問題とは限らない。配送経路にあるメールサーバの設定や、さまざまなフィルタリングソフトの影響で同様の「障害」が発生しないとも限らない。
そこでファイルを添付する場合には、添付したファイルがどのようなファイルであるかをメール本文に明記しておくのが望ましい。そうすれば、万が一、今回のような障害が発生しても、添付ファイルが何であるのか、またどんなアプリケーションで開けばよいのか、送信先の相手を悩ませずに済む。
例えば、明記すべき内容としては以下のものが考えられる。
項目 | 内容 |
---|---|
ファイル形式 | 拡張子を含んだファイル名 特殊な形式の場合はアプリケーション名も明記する |
ファイルの内容 | 概要を書く(細かく書く必要はない) 複数のファイルを添付する場合は、それぞれの概要 |
このほか、複数のファイルをアーカイブしたファイルを添付する場合は、アーカイブ内にどのような内容のファイルが含まれているかを明記するといい。
拡張子を含んだファイル名をメール本文に自動的に書き込む方法
OutlookやThunderbirdの場合、添付したいファイルを右クリックして、「送る」−「メール受信者」を選ぶと、自動的に拡張子を含んだファイル名をメール本文に転記する。サブジェクトにもファイル名が書き込まれるので、書き忘れを防ぐことも可能だ。
小林 まさに「人のふり見てわがふり直せ」――ですね。
著者紹介 山賀正人(やまが・まさひと)
セキュリティ関連の話題を中心に執筆中のフリーライター。翻訳(英語、韓国語)やプログラミング、システム構築等コンサルなど活動は多岐に渡る。JPCERT/CC専門委員。Webサイトはこちら。
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