ファイリングのコツ――インデックスは、常に「仮」:文具王の「B-Hacks!」
書類のファイリングに便利なインデックス用シール。書類を分類するための見出しをつけるためにチョウチョ型のシールを使った人も多いはず。しかし、この習慣はすぐにでも変えるべきだ――。
インデックスや見出しと言えば、チョウチョ型のシール。両方の羽にあたる部分を折りたたんで貼り付けるシールを思い浮かべる人は多いのではないだろうか。しかし、この習慣はすぐにでも変えるべきだ、と筆者は思う。
筆者が使っているのは住友スリーエムの「ポスト・イット」。しかも「フラッグ インデックス」と呼ばれるシリーズだ。半透明のフィルム状の付せんで、ケースから1枚ずつ取り出せるようになっている。
二つ折りにする必要もなく簡単に貼れるし、普通の付せんと同様にはがせるので、ずれたり傾いたりしても貼り直せるから気楽だ。また、紙に比べて丈夫で、インデックスとして突出する部分以外は透明のため、貼っても書類の文字などを隠すことが無く、そのままコピーを取ってもほとんど写り込まない。それだけでも充分、従来型のインデックスよりも使いやすいが、インデックスを自由に貼り直せるということは、それ以上に重要な意味を持つ。
少し分類学の話をしよう。たとえば、生物を植物と動物に、そしてさらに動物をほ乳類や爬虫類、鳥類――と、分類することに何の違和感も感じないが、しかしその分類は最初っから存在したわけではなく、「現在の」地球上の動物を「現時点で最も主流な」方法で分類したにすぎない。
時代が変われば、そこにはまた別の分類が必要になってくる。当然だが生物は、分類のために進化の枝を広げたわけではなく、生存のために進化した。その結果起こった多様化を整理するためにラベリングし、分類しているだけなのだ。さまざまな特徴を持つ集合が先にあって、分類はその後で発生する。分類が確定した時点で、「現在まで」の物として固定化されるわけだ。あくまで現在までのことだから、これから先、生物を分類するのにどんな分類項目が必要になってくるのかは、筆者たちにはまだ予測もつかないのである。
これは、生物に限ったことではない。30年もさかのぼれば、そこには現在のような「PC」も「携帯電話」も存在しなかった。分類項目が用意されていたはずがない。分類項目は、整理したい事柄のダイナミズムに応じて変化していく。
多くのビジネスも“進化”の過程にある。エキサイティングに変化する分野ほどその傾向は大きいのではないだろうか。であれば、そんな業務で使うファイルのインデックスを固定化するのは、非効率なだけでなく、危険ですらある。分類が固定化されると、せっかくの「新種」を、すでに時代遅れの既存の分類に押し込んでしまいがちだ。分類は常に変化に対応できるしなやかさが必要なのだ。だからインデックスは、常に「仮」の状態である方がいいと筆者は考えている。
そんなわけなので、インデックスにはポスト・イットのような付せんタイプを強くオススメするのである。
ちょっと大げさに書いたが、インデックスに付せんを使用するメリットは、あまり深く悩まなくても始められるところにもある。貼り直せるのだから、とりあえず頻繁に検索する項目から貼っていけばいいのだ。わざわざAからZまで全ての項目に見出しをつける必要なんてない。ほとんど用のない項目に、等間隔にインデックスを立てるのは時間の無駄だし、必要な項目から優先的にインデックスを立てることで、分厚い資料でも、一番活性度の高い部分がひと目で分かり、検索スピードも速くなる。
付せんだからいつだって貼り替えられる。その気楽さが貼る作業の心理的なハードルを下げ、実業務を加速する。そうしているうちに、自分にとって重要なカテゴリが分類された効率的なファイルができあがるはずだ。
文具 | 発売元 | 価格 |
---|---|---|
ポスト・イット フラッグ インデックス | 住友スリーエム | 304円〜 |
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