第12回 リストを自分流にアレンジしよう:リストのチカラ
これまで先人の知恵が詰まった10本のリストを紹介してきました。今回から3回は「自分のリストを作る」にはどうしたらいいかを紹介していきます。
これまで10のリストを紹介してきました。今回から3回にわたって、「自分のリストを作る」をテーマにした記事を掲載します。
- リストを自分流にアレンジしよう
- リスト化とは「集めて、束ねて、固める」こと(リスト化の8ステップ)
- よいリストを作るための3つの力
リストを自分流にアレンジしよう
「守破離」をご存じのことと思います。武芸の道を究める、その道のりを表現した言葉で、現在では学びの段階を示す概念として広く使われています。
学びの「守破離」
- [守]教えを忠実に真似て、自分のものにする
- [破]教えを自分なりに深め、発展させる
- [離]教えを意識せず、自由に振る舞う(しかし、教えはその中に生かされている)
リスト道(?)についても、同じステップを考えてみましょう。
リストの「守破離」
- [守]よいリストから忠実に学び、自分のものにする
- [破]よいリストの精神を踏まえたうえで、自分なりにアレンジする
- [離]リストを自作する(しかし、よいリストから学んだことはその中に生かされている)
「破」の事例として、わたしの挑戦事例をお目に掛けます。
上手に話を聴くための5つのコツ
- 受容〜「うんうん」とうなずいたり、相づちを打つ。
- 支持〜「そうだね」「それはつらいね」と返す。批判しない。
- 繰り返し〜相手の言葉を繰り返す。「〜なんだね」
- 質問〜相手の気持ちに添って質問する。話を引き出す。
- 明確化〜「○○と感じているのですね」「要するに□□なんですね」
※キャリアガイダンス.net「5つのコツで上手に聴こう」より
ヒアリングのテクニック集としてはよいリストです。しかし、自分のためのリストとして使うには、すこし引っかかりを感じました。
このリストをフル活用したような聞き方、いや「聴き方」をされて、かえってしゃべりづらく感じたことはないでしょうか。相手が聞き役に徹してしまい、自分の思いや考えをあまり話さないと、こちらもしゃべりづらい。
それは当然の話で、相手が腹を割ってくれているという実感がなければ、こちらだって率直にはしゃべりづらいもの。「聴く技術」も相互の信頼があってこそです。実際、聴き方の本にはだいたいそう書いてあります。ただ、聴く技術を磨こうと一生懸命になってしまうと、つい前段がおろそかになってしまうのでしょう。
リストの内容を損なわず、上のような思いも込めたい。そう考えて「破」ったのが、下のリストです。具体的には、「支持」「質問」を削り(といっても、内容はほかのリスト項目にできるだけ重ね)、自分が重要と思っている項目を2つ加えました。
話を聴くための5つの心がけ
- 【受容】うなずく、相づちを打つ、先を促す。批判しない。「なるほど」
- 【反復】相手の言葉を繰り返す。「○○、ですか」
- 【具体化】言い換える、まとめる。「それは、〜ということですか」
- 【沈黙】相手のペースを重視。多少の沈黙を恐れない。
- 【応答】質問で話のリズムをつかむ人もいる。聞かれたことには素直に答える。
師匠の教えを「破」った(弟子なりに深化・発展させた)からといって、弟子の方が優れているとは限りません。同じように、引用元のリストよりもこのリストの方がよいとは限りません。しかしわたしにとっては、こちらの方がよいリストです。元のリストを理解した上で自分の考えを盛り込んでいるので、意味が濃いからです。
皆さんもぜひ、気に入ったリストをアレンジしながら、自分にとって役に立つリストを作ってみてください。
*ListFreakというサイトについて
本文中、*ListFreak(リストフリーク)というサイトに触れている部分があります。*ListFreakは2005年11月に開設したリスト収集・共有・活用サイトです。
*ListFreak - 世の中の知恵やコツを「リスト」で共有するサイト
筆者:堀内 浩二
株式会社アーキット代表、グロービス経営大学院客員准教授。「個が立つ社会」をキーワードに、個人の意志決定力を強化する研修・教育事業に注力している。起-動線など複数のサイトを運営。ネットメディアへの寄稿も多い。外資系コンサルティング企業時代にシリコンバレー勤務を経験。
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