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第3回 ロジックツリーは「現実」を反映しない新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(4/5 ページ)

ロジックツリーは、文字通り「ロジック」を枝分かれする「ツリー」状に組み立てる論理構成法で、いわゆる「ロジカルシンキング」の基本中の基本です。徹底的に使うと絶大な威力を発揮しますが、専門知識を教えるためには「ロジックツリー」だけでは間に合わないのです――。

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 さて、もう一度図2のロジックツリーを見てみましょう。

もし図2を見ながら上記の「船舶運航時の機能ブロックモデル」を説明されたら、理解できますか?

 相当に難しいはずですね。なぜ難しいかというと、ロジックツリーでは、A〜Fの各項の間にある相互の関連性を分断してバラバラにしてしまうからです。

  • 各項の間の関連性を分断してバラバラにしてしまう

 これはロジックツリーを作るときは避けて通ることはできません。こういう仕組みだからこそ、ロジックツリーは「論理思考の最強兵器」なんです。しかしその同じ特徴が、「現実をありのままに把握しよう」としたときには弱点になります。ロジックツリーは、「現実の関連性」を分断してしまうため、「現実の世界の把握」には向いていません。結局、

  • ロジックツリーは「現実」を表さない

 のです。さらに言えば「現実を表さないように単純化してある」からこそ、プレゼンテーションに使えます。しかしそれは

  • 「現実をありのままに把握できる専門家を育てよう」

 とするときには不都合になります。専門知識を教えようとするときには、ロジックツリー「だけ」ではうまくいかないわけです。

「専門知識」を分析すると、頻繁に出てくるひとつのカタチとは?

 さて、もう一度図2と図3を見比べてください。実は、図3には「専門知識」をよお〜く整理分析したときに頻繁に見受けられる、あるカタチが現れています。そのカタチとは何でしょうか?


 答えはこれです。

  • 一直線の方向性

 図3をみると、左から右へ「一直線の方向性」があることが見て取れますね。一部に双方向の矢印もありますが、大きな流れとしては一貫して左から右へ向かっています。実は、専門知識を分析していくとこの種の「一直線の方向性」を発見できることが非常に多いのです。

 ですから、専門知識を教えるための教材を作る場合は、いったいどのような「一直線の方向性」を使って説明するか、それを発見することが非常に大きな課題になります。

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