第4回 教える仕事は「構造・シナリオ・アクション」で完結する:新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(2/5 ページ)
「退屈な、あまりに退屈な……」。いくつかの講義ビデオを見た筆者の感想です。これらビデオに共通した問題点と、それらの解決方法を考えてみましょう。
構造・シナリオ・アクションの3本柱
教える仕事の成功方程式、といっても見方によって何種類もありますが、今回この記事で扱うのは1つだけです。それが下記の式。
「教える仕事」=「構造」×「シナリオ」×「アクション」
意味は「教える仕事の成果は、構造・シナリオ・アクションのかけ算で得られる」というものです。厳密に言うと方程式ではないのですがまあ細かいことは気にしないでください 要するに、かけ算ですから
- 構造・シナリオ・アクションのどれか1つでも極端に低いと全体の点が下がる
ということが問題です。冒頭で話題にした「音声読み上げロボットのような講義」というのは、ちょうど「アクション」がダメな例にあたります。これ1つの失敗でそれ以外のすべての努力をぶちこわしにしてしまう――。そういう怖さがあることをぜひ覚えておいてください。
さて、ここまで「アクション」のほうから話をしてきましたが、このへんで順を追ってこの「教える仕事の成功方程式」を見ていきましょう。
「構造」=「専門知識そのものの構造化」
まず1つ目の「構造」というのは、「専門知識そのものの構造化」のことを指します。第2回の「中央構造線」、第3回の「ロジックツリー」および「機能ブロック・モデル」は、いずれも「専門知識を構造化」した例です。この「構造化」の段階では実は、
- 教える相手が誰かであるか、はあまり関係ない
ことに注意が必要です。なぜなら、この「構造化」の作業は「自分自身がその専門知識をよりよく理解するための工程」であって、あくまで自分のために必要なものだからです。
プレゼンテーションの本を読んだり研修に行ったりすると、
- プレゼンをする相手は誰で、どんな成果を挙げたいのか?
をまず考えて、それに合わせて流れを組み立てろ、とよく言われますが、それはあくまでも「プレゼンテーション」の場合であって、「教える(ティーチング)仕事」の時には少々事情が違います。その違いは第1回で書いた
- プレゼンテーションは「私がやります」
- ティーチングは「お前がやれ」
という根本的な性格の差によるものです。実際のところ、この「構造化」を十分にやった上で教えているケースというのは非常に少ないので、まずは自分自身の理解をしっかり固めるために「知識の構造化」をとことんやっておきましょう。もう一度言いますが、知識の構造化をする段階では、
- 教える相手が誰であるかは関係ありません
逆に、これをしっかりやっておけば、誰に教えるときにでも対応できるものです。
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