第7回 潜在能力、使えてますか?:新入社員がやってくる──専門知識を教える技術(1/4 ページ)
人は通常、脳の潜在能力の10%くらいしか使っていない――。どうしたら100%の能力を発揮できるのでしょうか。筆者の個人的に体験した“コツ”を紹介します。
“専門知識の教育”をテーマにとことん解説する本連載。今回はちょっと異なる視点からアプローチしてみます。
「人は通常、脳の潜在能力の10%しか使っていない」……といった話を聞いたことのある方も多いことでしょう。数字の部分が20%になったり5%になったりすることもありますが、どのみち100%に比べれば大した差ではないですね。こんなに使っていないのであれば、なんとか使うようにしたいところです。でも、どうすればそれができるのでしょうか?
そこで今回は誰でも脳の力を100%使えるとってもカンタンな方法をお教えしましょう!
……と言いたいところですが、残念ながらそんなウマイ話はありません。この手の話題は科学と疑似科学と精神世界的議論の交錯する空間で、もともと私はあまり好きでもないのです。
とはいえ、「人は脳の潜在能力を使い切れていない」というのは事実であろう、と個人的には感じていますし、それを「使い切ること」は何を学習する上でも重要だとも思っています。当然、「教える」側はそれを意識して教育方法を考える必要があります。今回はこの件に関して、
- あくまでも私が自分で体験し、実感したこと
に限定してお話しします。単に「自分がそう感じた」というだけのことですから、科学的に検証された話ではまったくありませんので念のため。
できるのか? と聞かれた時に感じた不安
以前、私が会社員として働いていた時のこと。ある仕事について社長に「そいつはお前にまかせるからお前がやれ」、と言われたことがありました。「了解しました。やります」と答えてから私はそれをどうやって成功させるかあれこれと考えました。そして1カ月ぐらいたった時のこと、今度は社長は
- あの仕事、できるのか?
と聞いてきました。そう聞かれて私は思わず答えに詰まったものです。できる自信はまったくありませんでした。なぜ自信がないのか、その時感じた不安を一言で言うとこうなります。
- 自分の頭が100%フルパワーで働いていないことを自覚していた
それが、答えに詰まった理由でした。
実は、私はそれ以前に「自分の頭が100%フルパワーで働いている状態」を何度か経験していました。
- その2年前に別な仕事の企画を考えていた時
- 高校時代に数学の勉強をしていた時
- 同じく高校時代、演劇部のシナリオを書いていた時
- 小中学校時代に将棋に熱中していた時
など何回かありますが、そういう時を車に例えるなら
- アクセル全開でメインストレートをブッちぎるレーシングカーのエンジン
のように頭が働いているのを感じたものです。それに比べると、社長に「あの仕事、できるのか?」と聞かれた時の状態は明らかに低レベルで、せいぜい「50ccの原付でやっと時速20キロ出している」程度でした。法定速度の30キロにさえ全然届かない、一般車に迷惑かけまくりの状態です。それが分かっていたので「できるのか?」という問いに答えられなかったし、実際その仕事はうまく行きませんでした。
と、こういう話を書くのはなぜかというと、
- 自分の頭の働き具合をモニタリングする意識
を持とう、と訴えたいからです。
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