第6回 毎日マイエコ自己申告――ブラザー工業の植樹活動:みんなで作る地球のあした、企業発“巻き込みエコ”最前線(2/2 ページ)
ブラザー工業では、従業員やその家族が毎日のエコ活動を自己申告し、貯めたエコポイントで植樹する「エコポイント活動」を展開中だ。6月16日からは新たに、顧客から回収した使用済み消耗品もポイント対象に加えた。同社のエコ活動に迫る。
まるで緑の針山? 大きな地球儀に植樹して「エコ宣言」
また同社では、「エコプロダクツ」や同社ブースを訪れた人に「水を大切に」など、その場で1人1つ「エコ宣言」をしてもらっている。この宣言もポイントとし、比較的植樹につながりやすく設定した。直近では、6月19日から札幌ドームで始まる「総合環境展2008」での「エコ宣言」もポイント換算する予定だ。
きっかけは2005年の「愛・地球博」
「ブラザーエコポイント活動」の発端は、3年前の2005年の「愛・地球博」参加にさかのぼる。同博覧会では、例えばレジ袋を辞退したときなどにポイントを付与し、ポイントを貯めた人が景品に交換するか、植樹への寄付に使うかを選べる「EXPOエコマネー」という独自通貨を使っていた。
博覧会終了後に「EXPOエコマネー」の考え方を取り入れよう、という意見がすぐ出たが、開始までの道のりは長かった。いざ実践となると、「社内への導入の仕方や、貯まったポイントの活用方法、個人への還元の有無など、実際に取り組むまでには各々の調整に時間がかかった」。そのため着想から3年を経て、ようやくエコポイント活動を始動するに至ったのだ。
植林するのは「ブラザーの森 郡上(ぐじょう)」と名づけた岐阜県内の土地。候補地には同社の拠点である愛知と、近場の岐阜、三重の3つが挙がった。これらを土壌や通いやすさなど多角的に検討した結果、最終的に岐阜県郡上市内の24ヘクタールの土地を使うことに決めたという。「ブラザーの森 郡上(ぐじょう)」への植樹は、岐阜県との協働事業。「今後10年間で4000本植樹」する計画を立てた。
従業員とその家族やイベント来場者、そして顧客まで。同社は今後、あらゆる人たちを巻き込む「ブラザーエコポイント活動」を通じて環境保全意識を啓発し、循環型社会の実現を目指す。積極的に参加したからといって景品がもらえるわけでもない。見返りは植樹だけ。どこまで巻き込んでいけるか――。
「春と秋の年2回、植樹していきます。今年は最低600本の植樹をする見込みです」。この本数よりも実際に植えた本数が多ければ、活動成功の証しになる。答えが出るのは今秋だ。
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