第3回 負けるが勝ち、あえて白旗を振れ:目的を達成する説得法(2/2 ページ)
前回は具体的な説得法を解説しました。その通りに相手を説得したつもりでも、「無理です」と断られる場合があります。なぜでしょう?
あえて白旗を振り、相手を気持ちよく泳がす
相手を説得したいときには、「なんで自分たちの気持ちを分かってくれないんだ」などとは思わずに、まず、その人がどういうときに大変なのかを考えてほしいのです。相手が経理なら次のようになります。
経理は月末や決算の時期は大変だろうな、途中で数字が変わったら大変だろうな、というように考えられますね。
次に、「今の時期は大変でしょう。こういうときも大変だろうね。自分たちのせいで、計算が変わると大変だよね」と、相手の立場に立って、実際に経理の人に言ってあげてください。「そこまで大変じゃないですよ」と相手が恐縮するくらい言っていい(笑)。
その上で、「自分たちにできること、これだけはやめてほしいことは?」と聞きます。すると、いろいろ出てくるでしょう。まずは相手の立場に立って、相手のニーズを満たします。
最後に、「営業としても、こういうときは経理の人にがんばってもらえると、すごく助かる」と自分たちの要求を伝えます。相手の立場に立って、相手のニーズを満たしてから、自分の要求を伝える、という手順の方が気持ちが伝わります。
ところが、大抵は順番が逆なんですね。おまけに、相手の不満を聞いていると腹立たしい気持ちにもなります。
そんなときこそ、「いや、本当にそうだ。本当に申し訳ない。本当に自分たちが悪いよ」と、徹底的に相手の立場になってください。
くれぐれも逆切れはしないでください。ここで、「そうは言っても、キミたちもさ……」となると、要求が通らないまま喧嘩になってしまいます。
腹が立ったときは目的を思い出してほしいのです。目的は、自分たちにとって都合のいいことを、相手に気持ちよくやってもらうことで、相手に報復することではありません。目的を達成するためだったら、白旗を振ってあげてほしいですね。
これはビジネスでゲームではありません。相手が気持ちよく、しかも永続的にこちらの意図することをやってくれて、それによって利益が上がることが目的ですから、メンツを気にする必要はないのです。
相手の立場に立って共感してあげると、相手が生まれ変わったように協力的になることもあります。例えば、20人の営業マンみんなが文句を言っているのに、たった1人でも経理の気持ちを分かってあげたら、すべての経理は、その営業の人を全力でサポートしてくれるでしょう。
次回は最終回。説得の仕上げに必要なプラスアルファなどを見ていきます。
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