「同じ席には2時間まで」「疲れたらプラネタリウムで休憩」――コクヨの新オフィスとは:コクヨ「RESONANCE FIELD 2.0」
同じ席には2時間まで、会議室の使用も2時間まで――。時間を区切って集中する。こんなオフィスだったら仕事の生産性は上がるかもしれない。生産性が上がるとエコも実現できるという。
同じ席には2時間まで、会議室の使用も2時間まで――。時間を区切って集中する。こんなオフィスだったら仕事の生産性は上がるかもしれない。コクヨオフィスシステム(KOS)が提案する「RESONANCE FIELD 2.0」である。
RESONANCE FIELDの環境対策、ポイントはタイムマネジメント
RESONANCE FIELDとは、2007年からKOSがオフィス構築のテーマとして掲げているもの。RESONANCEとは共鳴することを意味し、従業員同士が共鳴し合い、よい影響を及ぼし合うようなオフィス環境の構築を目指すという。実際にKOSのオフィスもRESONANCE FIELDのショールームとなっており、希望者には公開もしている。
2008年版RESONANCE FIELDでは「2.0」と題して、環境対策も取り入れた。照明に低消費電力のLEDライトを採用したり、芯材をダンボールで作ったソファを応接間に設置したりした。7月15日、16日には「KOS Fair RESONANCE FIELD 2.0」として一般公開する。
さて、環境対策というと、やはりCO2排出量の削減。RESONANCE FIELD 2.0では、1.0と比較して約25%CO2を削減できる見込みだ。CO2削減というと、低消費電力の製品を使うなど設備面での対策になりがち。実際、RESONANCE FIELD 2.0でも25%のうちLEDライトの採用で12%、PC用の省エネソフトの導入で3%の削減を果たした。
だが、コクヨではオフィスの使い方、つまり運用方法も重要だという。実際、コンサルティングなどで運用方法を変えることで10%のCO2を削減できたのだ。
運用方法のポイントはタイムマネジメント。会社にいる時間が長ければ長いほど、消費電力は増える。仕事を早く終えて早く帰れば、消費電力を削減できるはずで、結果としてCO2の排出量も減らせる。残業を減らすことが環境対策になる――というわけだ。
2時間までしか同じ席に座れない
KOSでは1997年に席を固定しないフリーアドレスを導入。RESONANCE FIELD 2.0ではさらに、同じ席には2時間までしか座れないようにした。フロアの入り口で予約システムに席の予約を入力すると、最大で2時間先までしか予約できない。「1つの仕事を2時間以内で終わらせる意識を持たせる」(KOS)のである。
だらだらと長い会議も問題だ。予約システムでは会議室を押さえられるのも最大2時間まで。ホワイトボードに罫線やPowerPointのようなスライドの枠を付けたりして、書き込んだ内容がそのまま議事録や資料として利用できるような工夫もある。また、立ちながら短い時間でブレインストーミングが行えるような椅子のない会議室も用意した。
短い時間に集中することを考えると、外からの電話も横やり仕事になってしまう。「シッター」と呼ばれる内勤チームには、時間帯によって電話を一切取り次がなくてもいいようにした。電話を取らない席には緑のランプが点灯する。
集中できない時は、プラネタリウムでリフレッシュ
それでもどうしても集中できないときは、ヘッドフォンを掛けて1人きりになれるスペースも用意。ただしこのスペースは1時間しか利用できず、また11時から16時まではシッターだけが利用できると制限も厳しい。「1時間で結果を出すなら、1人きりになってもいい」という集中ゾーンである。
外勤のスタッフが社内に帰って来やすい仕組みも備える。入り口には冷房が効いた「クールダウンルーム」を設置。真夏の外回りでかいた汗も、14度前後の冷風を浴びればすっきり――というわけだ。「あまり長く浴びると体調を崩す。2分前後が効果的」(KOS)という。
会社にいる時間は長いから、いつも最高に集中できているわけではない。疲れている時は集中力も途切れがちだし、最悪居眠りしてしまうこともあるはずだ。KOSの尾崎司社長は「眠いのに無理やり働かせることはない」という。RESONANCE FIELD 2.0では、フロアの一角に照明を暗めに落とした部屋をレイアウト。その中にプラネタリウムを設置して、“眠れる部屋”を作った。
CO2排出量の削減など、生産工場では早くからエコ意識が高かった。そのためか、CO2の削減率は生産工場では「ほぼ横ばい」(コクヨ黒田章裕社長)の状況。つまり工場では対策済みでさらにCO2を削減するのであれば、都心部のオフィスがターゲットになるわけだ。
オフィスでは「冷房の温度を1度上げると生産性が10%低くなる」(KOS)と言われており、どうしてもエコと生産性を天秤にかけてしまう。エコと生産性の向上は一致するというように、経営陣や社員のマインドをどう変えるか――それが、オフィスのエコを推進するポイントになりそうだ。
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