既存PC? 専用端末? 遠隔会議システムの2大主流:目的別に使いこなす「遠隔会議システム」、導入と活用ポイント
出張にかかる交通費や時間をカットできる遠隔会議システムには、2つの主流がある。手軽に始められるタイプとそうでないタイプ。タイプ別に特徴を見ていこう。
出張に行く代わりに遠隔会議で済ませる。前回は遠隔会議のそんなメリットについて見ていった。では遠隔会議システムには一体どんなものがあるのか。まず2大主流を見ていこう。
今のPCを活用? 専用端末を新しく購入?
現行の遠隔会議システムは大きく2種類に分けられる。
1つは、既存のPCとインターネット回線を使って通信するWebブラウザタイプ。初期投資があまりかからない点と、PCとの連携に優れており、会議中のデータ転送などが簡単に行える点が強みである。
もう1つは遠隔会議用の端末を設置する専用端末タイプだ。機器や回線の確保などに設備投資は必要だが、高い安定性を拡張性を持っている。特に拡張性に関しては、導入前に拠点の数や将来的な見通しを視野に入れてよく検討しておきたい。システムによっては同時に通話できる人数(拠点の数)に限界があるため、自社の拠点数が人数制限を越えてしまった場合、途中から別システムに乗り換える必要性が出てくるかもしれないからだ。
導入へのハードルが低い――ブラウザタイプ
ブロードバンドの普及とPCのスペック向上により脚光と浴びているのが、専用機器を必要としない、PCを介しての「Web会議システム」である。必要な機器は、市販のUSBカメラとマイクのみ。あとは遠隔会議システムを取り扱う会社から、使用ライセンスを購入するだけで遠隔会議が始められる。
1ライセンス当たりの初期費用は10万円を切るものが多く、月額使用料金も2000円程度から存在する。ライセンスは、基本的に使用する拠点の数だけ購入すればいいので、必要経費の算出も簡単だ。例えば東京、札幌、福岡の3拠点をつなぐのであれば、ライセンス料金と月額料金を3倍すればいい。
また、Webブラウザと使用感が似ているため、誰でも抵抗なく操作を覚えられる点も大きな魅力である。購入前にトライアル版で体験させてくれる会社も多いので、遠隔会議の導入が初めてという企業は問い合わせてみるといいだろう。
ただし、このタイプは各社ごとに仕様が定まった製品なので、カスタマイズ性を重視するユーザーには適していない。同時に通話できる人数にも制限があるため、将来的にいくつの拠点に導入するのか、あらかじめ検討しておこう。
スタイルによって幅広く選択できる――専用端末タイプ
遠隔会議用の専用端末を導入する「テレビ会議システム」は、Web会議システムと違い、形状はさまざま。製品ごとに価格やスペックが大きく異なるが、総じて高いレベルの映像、音質が実現できる。自社の規模や用途に合わせられる高いカスタマイズ性も魅力だ。
例えば本社に重役が集まって地方拠点とやり取りをする際など、1カ所から複数人が遠隔会議に参加するようであれば、大画面を備えた端末が必要になる。のタンバーグの「8000MXP」などは、そういったニーズに応えるべく開発された専用端末である。
50インチの大画面を2面備えているため、左画面に相手の顔を、右画面に必要資料を表示するといった使い方も可能だ。顔を見合わせながらプレゼンテーション資料を提示できるので、遠隔地を交えての企画会議などに力を発揮する。また、普及型としてカメラ、マイク、モニターなどがコンパクトにまとまった一体型も人気だ。
アエスラの「Theseus」は、従来の電話機と同じような設計になっており、直感的に操作法を理解できる。大勢が1カ所に集まる本社には大型機を、1〜2人で参加する地方拠点にはコンパクトタイプを設置するといったように使い分けよう。
テレビ会議システムは機能面では申し分ないが、遠隔会議用に新しく機器や回線などが必要となり、コストがかかる。求めている品質や自社の規模を考慮し、相応の製品を選びだそう。
『月刊総務』2006年2月号臨時増刊『オフィスのIT化で泣く会社、笑う会社』 「最先端のオフィステクノロジーに注目」を一部加筆修正
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