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なぜ重要なことが部下に伝わらないのか部下をやる気にさせて育てる指導術(3/3 ページ)

それはこの間言ったじゃないか! 重要なことは必ず会議で周知徹底しているし、部下もメモしている様子。質問も特にないので、部下にも伝わっているはずだが、現実には伝わっていない。どうして伝わらないのだろうか。

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重要なことを繰り返し伝える考え方とは

 ということで、私は先ほどのマネージャーの方に、

 「月1回の会議だけではなく、少なくとも、1日最低10回は、その大事なメッセージを部下達に伝えて下さい」

 と話しました。すると、その方は驚いて

「私は部下と四六時中一緒にいられないから、そんなにしつこくメッセージを発信できない」

 と答えました。確かに、いつも部下と一緒のマネージャーばかりではありません。でも、メールでや外出先からの電話で部下と接触することはあるはずです。そうした時の始めと終わりに、必ず伝えたいメッセージを伝えることで、とにかくこの人はことあるごとにこのメッセージを発信しているな、という印象を持ってもらうくらい、しつこく発信し続けて下さい。電話やメールでも、ほとんど部下と接触する機会がない、ということならば、意識的に接触頻度を上げる努力をすることも必要でしょう。

 そんなお話をしたら、今度は、

 「そんなに繰り返し話したら、しつこいと思われませんか?」

 とのお答え。ちょっと抵抗感があるようです。

 あまりに繰り返し過ぎて、しつこいと思われるのも確かにイヤですよね。しかし、まず前提条件として、最も大事なことは「あなたが部下にどう思われるかどうかではなく、部下に大切なことをきちんと伝えることだ」という点を忘れてはいけません。往々にして、多くの方が重要なことを伝えきれない理由が、この部下に対してどう思われるか、という変な気取りが邪魔をすることも多いようなのです。

 重要なことをきちんと理解することは、部下にとっても、会社にとってもいいことです。もちろんあなたにとってもいいことのはずですから、多少しつこいと思われたって気にすることはありません。遠慮せずにどんどんメッセージを繰り返し発信し続けていきましょう。

 それでもしつこいと思われたくない、というところが気になる人には、そのしつこさを和らげる方法があります。

 それは、「事前にしつこく繰り返し伝えることを部下に宣言しておく」というもの。私も、1回の研修で100回近く重要なメッセージを繰り返す訳ですから、受講生もしつこいと思うんですよね。だから当初は、アンケートなどに「くどすぎる」「しつこい」と書かれたものでした。

 そこで、「これは大事な話だから、何度でも繰り返し伝えますね」という前振りのトークを入れて伝えるようにしました。すると、その後のアンケートでは、「しつこいくらい繰り返してもらったおかげで心に残った」というように、好意的な受け止め方をしてくれる人が増えてきたのです。ですから、もし自分がしつこいくらいにメッセージを発信する時は、「しつこいと思うかもしれないが、大事なことだから言わせてくれ」と言って、許可を取りながら話してみるといいでしょう。

 自分がメッセージを伝える時に、何より一番大事なことは「なりふり構わず本気で伝えようとする姿勢を部下に見せる」ことです。その姿勢を見せるための、最も分かりやすく、すぐにでもできる方法が、今回お話しした「メッセージの発信頻度を極端に高める」ことなのです。

 「部下に伝わらない」と嘆いていらっしゃる方は、是非、明日からしつこいくらいの頻度で、自分のメッセージを伝えてみて下さい。

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著者紹介 水野浩志(みずの・ひろし)

 マイルストーン代表取締役。「社会に活き活きと働く大人たちを生み出す」をスローガンに掲げ、リーダーシップ・モチベーション創造・自己表現力養成をテーマにした企業研修や公開セミナーを実施。また、研修・セミナー講師向けに、具体的な成果を生み出す効果的なカリキュラムの構築手法や、講師としてのマインド・人間力創りの指導も行っている。現在、日刊(平日)で、メールマガジン「1回3分でレベルアップ! 相手の心を掴むトーク術」を発行中。


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