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トークに「ブレーキ」をかける技を身につけようプロ講師に学ぶ、達人の技術を教えるためのトーク術(3/4 ページ)

「こんな面白い話なのに、もったいないよな……」。元ITエンジニアにして、「読解力・図解力」の研修講師である私は、あるセミナーを見学していました。そこで感じたことなのです――。

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 例えばTV局のアナウンサーがニュースを読み上げる速さは1分間に400字から600字程度ですが、それを参考にするわけにはいきません。というのは、人前で話をしているという点では同じでも、それ以外の諸条件がまったく違うからです。試しに、以下の2つの音声を聞いていただきましょう。どちらも20秒に満たない短い音声です。

音声のテキスト

 銀行預金と証券投資はどちらもお金を運用する手段ですが、この2つには大きな違いがあります。それは銀行預金は基本的に目減りすることはないのに対して、証券投資の場合はそれがある、ということです。


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「銀行預金と証券投資の違い」緩急をつけない版

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「銀行預金と証券投資の違い」緩急をつけた版

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 音声1は、緩急をつけずに最初から最後までほぼ同じスピードと口調で読んだもの。音声2は、要所要所でスピードを変え、声のトーンも変えて読んだものです。

吉見 そりゃあこの2つだったら、音声2のほうがいいですよ。

開米 ですよね。音声1みたいに平板な調子で語られると、人間どうしても眠くなるわけですよ。その点、音声2のようにきっちり緩急をつけて聞かされると、「目減りすることはない」「ある」という大事なフレーズがしっかり印象に残ります。

吉見 ペースを変えるんですね。

開米 そうです。音声1がだいたい15秒、音声2は18秒ぐらい。約3秒違いますが、平均的に遅くしているわけじゃなくて、ところどころ「間」を空けているわけです。画像にしてみるとこんな感じですよ。

吉見 うわっ……、なんかすごく極端ですけど、こんな思い切って差つけちゃっていいんですか?

開米 いいんです、いいんです。このぐらい思い切ってやらないと受講生には通じませんから。

吉見 そうなんですか! いや、これはいいことを聞きました。今度やってみます!

開米 私も楽しみにしてますね!

 結局のところ、プロ講師のトーク術の肝は「ブレーキ」にあります。つまり、

  • スピードに落とすこと
  • ボリュームを落とすこと

 この2つ。「スピードを落とす」は文字通り、ゆっくり喋ることですし、「ボリュームを落とす」というのは「いったん大きな声を出してから、一転してはっきりとボリューム「ゼロ」の沈黙タイムを入れることです。

 この2つの「ブレーキ」を効果的に使う技を身につけることが肝心です。

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