「1人と愛し合いたい」「複数から思われたい」は両立する?:セルフイメージで人生を変える(3/3 ページ)
「1人の異性を愛を誓いたい」のに「複数の異性からも思われたい」。「世のため身を粉にしたい」けど「ハワイでのんびりもしたい」。1人の人間には複数の価値観が拮抗(きっこう)しています。あとは優先順位とバランスの問題なのです。
「いつもの」光景だ――初めての場面でも気後れしない
私は子供のころ、ずっとお風呂なしの家で育って、36歳まで貧乏でした。貧乏すぎて誕生日パーティを開いてもらっていなかったことに、最近気づきました。つまり、貧乏な家庭で育ったので、「自分はお金持ちにはなれない」という信念があった上に、「金なんかで人生は決まらない」という価値観があって、しかも「自分はお金持ちにはなれない」というセルフイメージがあるので、バチッと「貧乏」に固まっていたんですね。でも、渡米して変えました。私は最終的にセルフイメージ、信念、価値観の3つが大事だと考え、帰国しました。
帰国してもしばらく寝袋生活で貧乏だったんですが、「2年後に青山や表参道に住む」と決め、そのうちそこそこ収入が入るようになり、今の事務所を見つけたのですが、どうも落ち着かないんです。
というのも「オレにはこの場所はふさわしくない、表参道はふさわしくない」というセルフイメージがあったからです。「オレが表参道を歩いちゃダメだ」と。その時は歩いているだけで「何、あの人」と、白い目で見られるんじゃないかと思っていました。それはセルフイメージのせいなんです。確かに高い洋服は持っていなかったし、おしゃれではないけれど、「何、アイツ」といわれるほどひどくはなかった。何も意識されないくらいです。でも、みんなが後ろ指をさしているんじゃないかと思ってしまった。
初めて表参道を訪れた日は、すごくビクビク歩いていました。不動産屋さんでもビクビクしていましたが、そういう時は反対に虚勢を張るんですね。すごく不自然です(笑)。でも「なめられたらダメだ」と思って、すごく寒かったんですがジャケットを着ず、態度も横柄にしたりしました。どう見ても無理がある。
そこで、セルフイメージを変えなくちゃと思いました。裏通りにオープンカフェがあったんですが、そこのカフェに行って、「ここは毎日自分が来ている場所なんだ」と思い込みました。初めて飲むカフェラテなのに、心の中で「いつもの」を付けるんです。ウエイトレスさんも初めてなのに、「いつもの」ウエイトレスさんが、「いつものように」運んでくれる。そして、オープンカフェでカフェラテを飲みながら、「いつもの風景だよなあ」とセルフイメージを上げていきました。そうした数日後には、今の場所が決まりました。
今の生活を抜け出して、もう少し経済的に豊かになりたいと思っているのに、折り込みチラシを見ながら「あそこが5円安い!」とか「ここでポイントを貯めると500円引き!」ということに価値を置いてしまった瞬間、その人が豊かになるのはおそらく無理です。「これを貯めておかないと損だ」「バーゲンだからあそこに行かなきゃ」というのは信念です。「あそこはバーゲンだから混んている。行かないでおこう」という信念を持っている人は、経済的に成功します。
よく挙げられる例です。中世の時代、大きな城を立てている時に、そこで働いている職人に「あなたは何をしているの?」と聞くと、1人目の人は「言われた通りブロックを積んでいるんだよ」と答えました。2人目の人は「塀を立てているんだよ」と答え、3人目は「歴史的建造物を作っている」と答えました。どういうセルフイメージや信念を持っているかは非常に大切です。あなたは、自分はどういう人間だというセルフイメージを持っているでしょうか。
次回は最終回。信念やセルフイメージの変え方を解説します。
ピークパフォーマンス 代表取締役
平本あきお(ひらもと あきお)
1965年神戸生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了(専門は臨床心理)。アドラースクール・オブ・プロフェッショナルサイコロジー(シカゴ/米国)カウンセリング心理学修士課程修了。人の中に眠っている潜在能力を短時間で最大限に引き出す独自の方法論を平本メソッドとして体系化。人生を大きく変えるインパクトを持つとして、アスリート、アーチスト、エグゼクティブ、ビジネスパーソン、学生など幅広い層から圧倒的な支持を集めている。最新著書は、『すぐやる! すぐやめる!技術 ― 「先延ばし」と「プチ挫折」を100%撃退するメンタルトレーニング』。コミュニケーションやピークパフォーマンスに関するセミナーはこちらから。
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