GTDで達成できるもの――タスクは減るの？ 増えるの？：今ならできるGTD

[田口元，ITmedia]

　「GTDを実践すれば、ToDoリストのタスクがどんどん片付くのですよね？」とよく聞かれます。これはある意味イエスであり、ある意味ノーでもあります。まず理解しなくてはいけないのは「あなたがやるべきことは決してなくならない」ということです。仕事が片付けば片付くほどもっと多くのことをやりたくなりますし、仕事を片付けられる人にはもっと多くの仕事が振ってくるものだからです。

　ただ、だからといって「GTDは役に立たない」というわけではありません。GTDによって、仕事の輪郭がはっきりして来るからです。どこまでやれば終わり、あとどれだけの仕事があって、今はこれをやるべき、ということをきっちり理解できるようになるのです。そうした境地に至れば、気が散ることなく、目の前の作業に没頭できるようになります。それによってすべての作業が終わるわけではないですが、最大効率で目の前の作業に取り組めるようになるのです。

　思い出してほしいのは子供の時に砂場や運動場で遊んでいた時の心境です。小さいころはやるべきことはそれほど多くありません（今の子は違うかもしれませんが）。今やるべきことだけやっていればいい、と知っている時には今やっていることに100％集中できていたはずです。ひょっとすると時間の感覚さえなくなって「もう夕方？」となっていたかもしれません。GTDはこうした「ほかのことが気にならなくなる境地」に、意図的に到達するための手法なのです。