50年前と現在、背もたれとひじ置きに見るワーキングチェア今昔:オカムラ「いすの博物館」(4/4 ページ)
「ひじ置きはステータスだった」「リクライニングが作業姿勢に」――。岡村製作所の「いすの博物館」でワーキングチェアの変遷を見てきた。
多機能からカスタマイズへ
アーロンチェアやContessa以降、ハイエンドなワーキングチェアではひとまず機能面にほとんど差がなくなった。2000年代後半は多機能を競うよりも、機能を選択できたり、カスタマイズできたりすることで、用途に応じた製品が増えてくる。
2005年には、GIUGIARO DESIGNとのコラボ第2弾「Baron(バロン)」が発売。Contessaでは選択できなかったひじ置きやランバーサポートの有無を選択できる。また背もたれを支えるフレームも黒塗りになり、Contessaの派手さを押さえて「導入しやすくした」(浅田さん)という。
2007年には、細かくスリットが入った樹脂を背もたれにした「Visconte(ヴィスコンテ)」が登場。Visconteの特徴は背もたれの独特な形状だけではなく、背もたれを布張りクッションに代えたり、ひじ置きやランバーサポートの有無、座面の奥行き調整機能、リクライニングの固定機能など各種機能を選択可能にしたこと。ワーキングチェアも、使用目的や用途に合わせて選択できるようになってきたのだ。
1950年代から2000年代までに岡村製作所が製作したワーキングチェアをずらっと見てきた。当初、ステータスシンボルだったひじ置きだが、その後高さ調整機能を追加し、PCでの作業には欠かせないものに変わってきたり、単なる休憩用の機能として付いていたロッキング機構が、作業中の最適な角度を保持するための機構へと変わったり――。仕事のやり方が変わればイスも変わる。「歌は世につれ、世は歌につれ」というが、イスも世につれということなのかもしれない。
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