セカンドオピニオンって聞いてもいいんですか?:現役医師がズバリ回答
セカンドオピニオンって最初の医師が気を悪くしませんか? うまく切り出すコツは――? セカンドオピニオンに関する素朴な疑問に、仁科桜子医師がズバリお答えします。
こんにちは。ドクトル・ピノコこと女医の仁科桜子(にしな・さくらこ)です。医療崩壊が進む中、病院との向き合い方が分からない――なんて患者さんからのさまざまな疑問に、医師の立場でお答えしましようって連載「現役医師がズバリ回答」。「かかりつけ医を持つ3つのメリット」に続く、2つ目の質問にさっそく回答しちゃいます!
質問2:セカンドオピニオンは聞いてもいいんですか?
セカンドオピニオンって聞いてもいいんですか? ファーストオピニオンの先生に失礼になりませんか?
はい、ご質問ありがとうございます。たしかに、これは患者さんからするととても悩ましいところですよね。
最初に診察した医師に対して、「診てくれてどうもありがとうございました。そんじゃ、これからセカンドオピニオンもらって来まーす」なんてさわやかに言ったら、医師にムッとされるんじゃなかろうか、なんて心配になるでしょうね。ここでは、患者からではなく、現場の医師の立場から見た「セカンドオピニオン」について考えてみようと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、セカンドオピニオンとは「診断や治療などについて別の医師の意見をもらうこと」です。もともとは米国など海外で普及した考え方ですが、最近ようやく日本でも知られるようになってきました。
ですが、もともと礼儀正しく奥ゆかしいというかシャイな国民性のわが国では、「お医師さんがせっかくこう言っているのに、別の医師の意見を聞きますなんて言ったら失礼だろうな」という雰囲気があり、患者さんがセカンドオピニオンを受けることに遠慮してしまう風潮があります。
でも、はっきり言って医師の立場からすれば心配はご無用! だってそうでしょ? 医師だって、もし自分自身が大きな手術を受けることになったら複数の医師の意見を聞いてから決めたいと思うもの。だから患者さんがそのように考えるのも当然のこと。
ただし、医師も人間なので、「あんたの診断はウサンクサイからほかに行くわー」ってな言い方をされると「あー、なんか私の診断に納得いかなかったのねー」と正直ちょっと悲しくなったりします(こういう患者さんはあんまりいないけど)。
物は言いよう。「先生のご意見はよく分かりました。失礼かと思いますが、念のためほかの先生のご意見も聞いておきたいのでセカンドオピニオンをもらってこようと思います」なんて感じで言えば、たいていの医師は悪い気もせず「どうぞどうぞ」となるでしょう。
まあ、昔ながらの医師やちょっと変わったドクターなんかは「セカンドオピニオンなんて失礼な!」と怒りだしちゃうこともあるかもしれないけど、そんな医師ならはっきり言って治療してもらわない方がいいんじゃないかな。この程度で怒るようなら、その後の治療の過程でもちょっと深い質問をしただけで「この素人がー!」って、ちゃぶ台をひっくり返したりしそう。ただ、こんなご時世にここまで上から目線の医者はあまりいませんけど。
それに、自分の診断や治療に確固たる自信を持っている医師ほど、セカンドオピニオンに対してポジティブに考えている傾向にあると思います。だって自分の診断に自信があるんだもの。ぜひともほかの意見も聞いてみてちょうだい、って思うでしょ。逆に腹を立ててしまうようなドクターほど自分の診断に自信がなかったりする可能性もありますよ。
次の質問「正しい治療法って1つじゃないんですか?」に続く――。
本日の処方せん
- セカンドオピニオンとは診断や治療などについて別の医師の意見をもらうこと。
- セカンドオピニオンに遠慮は無用。
- 自信のある医師ほどセカンドオピニオンにポジティブな傾向あり。
仁科桜子(ドクトル・ピノコ)プロフィール
女医。 医大生時代には体育会に属しつつ、某社キャンペーンガールや大手塾講師など数々のバイトをこなす日々を過ごす。 現在は、酒と体力だけには自信アリの外科系ドクターとして病院勤務。
ドクトル・ピノコ名義で「週刊ビジスタニュース」などにコラムを執筆している。2009年1月、仁科桜子(にしな・さくらこ)名義で『病院はもうご臨終です』(ソフトバンク新書)を発売した。
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