「電子化」か「紙のまま」か――を決める2つの基準:紙、時間、空間――3つの無駄をなくす文書管理
電子化による文書管理には多くのメリットがある。かといってすべて電子化すれば業務パフォーマンスが上がるわけでもない。電子化するか紙のままでいくか。決めるには2つの基準があるのだ。
オフィス移転に伴い、紙文書をペーパーレス化したゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO)。前回はそのメリットとして、空間の有効活用があることを紹介した。社長室の曽我一郎さんは、そのほかのメリットとして情報共有が促進できた、アクセス制限を設けることで情報管理しやすくなった、環境に配慮できた、などを挙げる。
このようにオフィスのペーパーレス化は多くのメリットがある。GDOではペーパーレスの運用から3年経過した現在も、「ペーパーレス化がうまくいかなかった。紙文書の運用に戻そう」といった部署は見当たらないという。
ただ今特集の初回にあるように、電子化は必須ではない。紙文書が必要な場合もある。電子化するか紙のまま行くか――。この境界線となる基準は何だろう。
営業や経理部門は、紙の管理の方が有利?
最も明確なのが法的基準だ。経理では、領収書など保存しておくべき紙文書を多く抱えている。部署の業務内容も基準になる。広報や営業などクライアントと接する機会の多い部署では、請求書や領収書、発注書や受領書、申込書、契約書など紙文書を多く使う。
また、全社員への告知文書は、場合によっては電子化して情報共有するより有効だ。このケースでは、オフィス内の目に付きやすい場所に設置した掲示板に紙の告知文書を貼っておくという。
曽我さんはまた、紙文書の運用に戻すまでではないが、電子化での運用を改善すべき部署に経理を挙げる。経理では、複数の文書を見比べながら経理作業する機会が多くあるのだ。
もし電子化した文書がディスプレイ画面内に収まらない場合は、見たい個所までいちいちカーソルを移動させる必要があり効率が悪い。かといって文書サイズを小さくしたら、今度は数字やセルのサイズも小さくなり、入力や精査がしづらくなる。
このため「業務パフォーマンスが落ちる可能性がある」として、経理部門に大画面ディスプレイやデュアルディスプレイを導入し、パフォーマンス向上を図る改善策を考えているのだ。とはいえ、これらを導入したとしても作業のワークフロー自体は変わらない。そのため経理システム自体を一新するのが最も効果的だと考え、新システムの導入も同時に検討しているという。
電子化するか否かは、部署の特性や業務内容基準にパフォーマンスが上がる方を選ぶのがいいだろう。
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