iPadはアップルが持つ「したたかさ」の結晶――元トリンプ社長の吉越浩一郎氏:iPad on Businessperson
「実に簡単に使える! アップルの製品には説明書なんか付いてないし、そもそも要らないよね!」――。開口一番そう語ったのは、元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の吉越浩一郎氏だ。
編集部からのお知らせ
iPadを仕事道具へと変える――。ビジネスパーソンや企業経営者向けに、iPadの概要とビジネスにおける活用術や、iPadそのものが持つビジネスチャンスの可能性などを紹介する書籍『iPad on Business』。この連載は、同書を抜粋、再編集したものです。
本日17時からUSTREAM
7月30日17時から著者の大木豊成さんらによる出版記念USTREAMを中継します。iPadのビジネスにおける位置づけや活用術、その可能性について、ビジネスパーソンの視点で語ります。※本記事末でもご覧になれます。
出演者
- 大木豊成さん(「iPad on Business」著者)
- 池田美樹さん(マガジンハウス「Age」編集長)
- サカタカツミさん(「会社のオキテ」「就職のオキテ」著者)
- 藤村厚夫(アイティメディア代表取締役会長)
「実に簡単に使える! アップルの製品には説明書なんか付いてないし、そもそも要らないよね!」――。開口一番そう語ったのは、元トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長の吉越浩一郎氏だ。実はこのインタビューを行ったのは、吉越氏がiPadを使い始めた当日。それでも、すでに操作が簡単だといい切る。
PCの起動時間を待つなんて無駄だ
もともとWindows使いだった吉越氏がMacに切り替えた理由は、起動時間だった。吉越氏がトリンプ・インターナショナル・ジャパンにいたころ、社員がプレゼンテーション資料を投影するために、プロジェクタに接続してPCを起動させる時間を無駄とし、資料は紙で配布していた。Macであれば、起動時間はWindowsのそれに比べて速い。これが吉越氏の目に留まったのだ。
日本では、企業体質によって時間の扱い方が大きく違う。残業を厭わない人たちがいる企業がある一方で残業をよしとしない企業もある。一般的にPCは起動までに1分を超すが、iPadなら20秒程度だ。さらにスリープ状態にしておけば1秒もかからない。吉越氏のように、時間を大切にするビジネスパーソンにとってこの差は大きいはずだ。
吉越氏とアップルの接点は、Macだけにとどまらない。吉越氏はGoogleのクラウドメールサービスのGmailを以前から利用しているが、このGmailとiPhoneとの親和性も高く評価している。現在はiPhoneと、GoogleカレンダーやGoogleDocsなどと同期させて使用しており、今後はiPadからもそれらのサービスを使うだろうと語る。
MacやiPhoneを手にするまで、手触りの良い手帳をずっと使っていた吉越氏だが、これらのツールとサービスを活用するようになってから紙の手帳は必要なくなったという。データになっていれば検索できるし、何より環境にも優しい。Gmailには日時のタグを付け、全ての作業をデッドラインで管理してる。いつまでにやると決めたものを、その日のタグを付けて保存することで、どの作業をどの日に終わらせないといけないのかが分かり、管理もシンプルになったということだ。
ボトルネックはWi-Fiにあり
一方でiPadにボトルネックがあるとすれば何だろうか。吉越氏はWi-Fi(無線LANサービス)を指摘し、「Wi-Fiはもっと普及させてほしい。例えば月額一律の料金で、どのサービスも使えるようになるぐらいが理想」。日本でWi-Fiというと数々の事業者があるが、それらに互換性はない。吉越氏はこの現状に不満を感じており、「Wi-Fiのアクセスポイントを、政府主導のもとで設置すべき」とも語る。
最後に、吉越氏にとってアップル製品が持つ魅力を聞いてみた。それは、日本の製品にはない「したたかさ」だという。「日本にはもともと技術力の高い企業がそろっているのに、現代においてなぜこういったものが作れないのだろうか。日本の製品は機能が多すぎて、機械に弱い人には使いこなすのが難しい。その点iPadは非常にシンプルにできている。機能を削ったためにできないこともあるが、それでいいという割り切りをうまく製品化しており、日本もそれを見習うべきだ」。
アップルは、製品の生産を海外に委託しても、本質的なデザインやコアなところは自社の中にかならず置いておく。傲慢と言われようともこれらを外に出さないしたたかさが、吉越氏をも魅了しているのだろう。
iPad on Businessperson:吉越浩一郎(よしこし・こういちろう)
元トリンプ・インターナショナル・ジャパン代表取締役社長。1947年千葉県生まれ。1992年トリンプ・インターナショナル・ジャパン社長に就任後、毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に、19期連続で増収増益という伝説的な実績を残し2006年に退任。現在は吉越事務所を設立、国内各地での講演活動や執筆を幅広く行っている。
本日17時から著者・大木さんらによる出版記念USTREAM
7月30日17時から著者の大木豊成さんらによる出版記念USTREAMを中継します。iPadのビジネスにおける位置づけや活用術、その可能性について、ビジネスパーソンの視点で語ります。※本記事末でもご覧になれます。
出演者
- 大木豊成さん(「iPad on Business」著者)
- 池田美樹さん(マガジンハウス「Age」編集長)
- サカタカツミさん(「会社のオキテ」「就職のオキテ」著者)
- 藤村厚夫(アイティメディア代表取締役会長)
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