エプソンのドキュメントスキャナ「ES-D200」はScanSnapのライバルに成り得るか(2/5 ページ)
ドキュメントスキャナ市場が元気だ。ScanSnapシリーズなどを発売するPFUの市場シェアは過去5年で5倍近くも伸びた。ここに攻勢をかけるのがフラットベッドスキャナメーカー。今回はエプソンのドキュメントスキャナをレビューする。
ScanSnap S1500と比較する
続いてES-D200のスペックを、ScanSnap S1500と比較してみよう。メーカーサイトに掲載されている仕様一覧から抜粋したもので(開いた状態のサイズのみ筆者実測)、変更しても差し支えないと思われる表現は比較のために一部を改めている。細かい注釈は省略している場合があるので、購入前に必ずメーカーサイトにて詳細を確認するようにしてほしい。
メーカー | PFU | エプソン |
---|---|---|
製品名 | ScanSnap S1500 | ES-D200 |
重量 | 約3キロ | 約5キロ |
サイズ(開いた状態) | 292×475×286ミリ | 300×495×385ミリ ※筆者実測 |
サイズ(閉じた状態) | 292×159×158ミリ | 303×202×213ミリ |
用紙サイズ | サイズ自動検出、A4、A5、A6、B5、B6、はがき、名刺、レター、リーガル、カスタムサイズ(最大:216×360ミリ、最小:50.8×50.8ミリ) 長尺は863ミリまで対応 A3キャリアシート使用時:A3、B4、11×17インチ、写真(E版、L版、LL版) |
エンボスカード、名刺、A4、USレターサイズ、リーガル、A5、A6、B5 キャリアシート使用時:A3、B4 |
厚さ制限 | 52〜127グラム毎平方メートル | 50〜130グラム毎平方メートル(複数枚セット時) 45〜200グラム/平方メートル(1枚セット時) |
出力フォーマット | PDF、JPG | PDF、JPG、TIF、Multi-TIFF、BMP(Windowsのみ)、PICT(Macのみ) |
読取速度 (カラー300dpi、A4タテ方向の場合) |
20枚/分 | 片面:10枚/分、両面:20面/分 |
最大給紙枚数 | 50枚(80グラム毎平方メートル) | 75枚(75グラム毎平方メートル) |
対応OS | Windows ※Mac OS向けには別モデルあり |
Windows、Macintosh |
実売価格 (7月31日現在、直販サイト価格) |
4万9800円 | 4万4980円 |
ざっと見て目につくのが出力フォーマットの違いだ。ScanSnap S1500はPDFとJPGのみとシンプルだが、ES-D200についてはさらにTIF、Multi-TIFF、BMP、PICTにも対応している(OSによって対応状況が異なる)。原本をなるべく高解像度で残しておきたいというニーズにはぴったりだ。
また、給紙トレイにセットできる原稿の枚数が多い点は、本製品の大きなメリットだ。ScanSnap S1500では50枚(80グラム毎平方メートル)が上限なのに対して、本製品は75枚(75グラム毎平方メートル)までセットできる。紙の厚みによっては100枚を同時にセットすることも可能で、例えば裁断済みの200ページ程度の新書本などは交換不要でいちどにセットできてしまう。いわゆる書籍の「自炊」などを行う場合は、これは大きなメリットになる。
次にユーティリティ「EPSON Scan」について見ていこう。ScanSnap S1500にはない設定項目がかなりある。目につくのは「明るさ」「コントラスト」という、画像処理ソフトではおなじみのスライダーだ。原稿の地肌の色は飛ばしつつ、かつ文字の色は濃く見せたい場合に便利。モアレ除去やパンチ穴除去といった機能も、原稿の種類によっては重宝する場面があるだろう。原稿を回転する向きをあらかじめ設定できるのも、なかなかの工夫だ。
その一方、ScanSnapにできて本製品にできないことがいくつもあるのに気付かされる。まず1つは、異なるサイズの原稿をまとめてセットできないことだ。ScanSnapやキヤノンのImageFORMURAシリーズでは、異なるサイズの原稿をまとめて給紙トレイにセットしてスキャンが行える。だが、本製品は説明書にも「サイズの異なる用紙を一緒にセットしないでください」とある。A4のコピー用紙で構成された会議資料や、裁断した本など、同じサイズの原稿の束であればなんら問題ないが、領収書などをまとめてスキャンするにはやや不向きだ。
また、重なりを検知する機能として、ScanSnapではおなじみの超音波センサーが搭載されていない点は要注意だ。ScanSnapシリーズの場合、この超音波センサーがあるおかげで、原稿の重なりをほぼ完璧に感知できるわけだが、本製品はこの機構がない。ScanSnapに慣れているユーザーにとってはオンにして利用するのが当然の機能だけに、気になるところではある。これについては最後でも触れる。
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