検索
ニュース

全文公開! Ustream初出演、池上彰さんの仕事術(後編)Real Time Webな働き方(2/4 ページ)

10月28日に生放送した「my Workstyle on Real Time Web powered by Lotus」の第5回、ゲストはジャーナリストの池上彰さん。後編では会場からの質疑応答の内容を全文公開! 話の引き出し方や話し下手の克服といったハックに加え、池上さんがNHKを辞めた理由、日本のメディアに対する問題点の指摘など盛りだくさんの内容になりました。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

池上バブルはいつはじけるか?【1時間10分49秒前後】

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

質問2 アイティメディアの堀内です。以前書店員の方が池上バブルがいつはじけるかというエントリーを書かれたのですが。露出がたくさん増えるとお客さんに飽きられ、1つ1つの内容が薄くなりがちになると。結果として池上さんの本も買われなくなるという非難もあったのですが、それについてどうお思いでしょうか?

津田 シュートな質問をしますね。

池上 ブックファーストルミネ川越店長のご発言ですね(笑)。書店界の話題は、池上バブルはいつはじけるかということ。茂木(健一郎)さんや勝間(和代)さんがあったけど、次は池上さんじゃないかという記事が出て、「へえー」と思って。そうしたら内田(樹)さんが反応してきて。内田バブルはいつはじけるかというブログがあって。彼が「その通りだ」と言って本をいっぱい作るのをやめようと、(出版を)塩漬けにしてストップしました。

 これを見て「なるほど、そうだよなあ」と思いました。書店員さんは本がたくさん売れたほうがいいのに、そんなことをやっていいのかと疑問を投げ掛けてくれた。ああ、ありがたいことだと。内田さんの反応を見て、全部ストップしました。それで泣いている編集者が会場にいます(笑)。

 とりあえずストップしたのですが、既に走っていてゲラになっていたものもありますから、年内にも若干は本が出ますが、その後は当分本はでません。今じっくり時間をかけていいものを作ろうねということになっていると。

津田 ブックファーストの人がグッジョブだったのか、編集者としてはすごい殺してやりたいくらいの気持ちになっているのかもしれませんけど今(笑)。

池上 いくつかの出版社から嘆きのメールをいただいております(笑)。多数の出版社にご迷惑をおかけしていますが、私の目がさめたというべきでしょうかね。じっくり時間を掛けて良いものを出していった方がいいよねということです。

津田 本来だったら絶対届かなかった声が、インターネットを通じて池上さんに届いたことで、池上さんのやることが変わった。凄い時代ですね。

池上 そこで私が何を言いたいかというと当分の間、新しい本は出ませんから、今出ている本を買ってくださいねということです(会場爆笑)。

津田 すごい。素晴らしいですねえ。ほかの質問はありますか?

池上さんが解説者であり続ける理由【1時間13分39秒前後】

*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***

質問3 ブログを書いている小林と申します。素朴な質問をさせていただきたいと思います。池上さんはいろんな知識もおありで、坂本龍馬ではないんですけど、「日本をこう変えていきたい」という説得力のある言葉を受ければ、多くの人が賛同するのではと思うのですが、池上さんは解説者でありたいとおっしゃっている。どうして解説者でありつづけようと考えていらっしゃるのでしょうか。

池上 「良い質問」といいたいところですが、難しい質問ですね。私ごときが言っても仕方がないなという思いがあるのです。フジテレビの番組で本屋さんを回って、子どものころ読んだ本で、岩波文庫の吉野源三郎さんの「きみたちはどう生きるか」を紹介したんですよ。戦前の書籍ですから、普通は売れないですよね。ですが、言った瞬間にAmazonで3位になったのですよ。今も続いているとのことです。

 (それを受けて)怖いなと思ったのです。何気なくこれをいいと言ったことで思わぬ影響が出てしまう。私はそれをやるべきじゃないだろうと。つまり、世の中を自分の力で動かそうという気はありません。そうではなくて、民主主義の世の中なんですから、みんなで世の中を動かしていかなければいけないわけですよ。個人がその人なりの意見を持って動かしていかないといけない。

 そのための材料を提供するのが私の仕事であって、それ以上のことは、私はやるべきではない。禁欲的であるべきと思っています。テレビやUstreamでうっかりしたことはいえないなあという思いを持っているということです。

 そういう意味では、日本を動かしてやろうというつもりはまったくありませんし、東京都知事選挙に出ることはまったくありません。

津田 でも、間違いなく出馬しませんかという依頼はきますよね。

池上 「今回の」都知事選挙ではそんな話はまったくございません。今微妙な言い方をしましたね。「今回の」という言い方です。今回はどこからもありませんでしたし、万が一あったからといって、出るつもりはまったくないですよと。

津田 池上さんが何かしらの価値判断をすることが影響力が大きくなっている。このことを自覚されていると。

池上 ますます怖くなって、うっかりしたことはいえないなというようになっています。

津田 そろそろ時間ですかね。お時間大丈夫でしょうか?

池上 次の打ち合わせがありますが、まだいいですよ。すいませんねえ。汐留の放送局の人を待たせているのですが、まあいいでしょう(笑)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る