ガイガーカウンター比較――中国製「RAY-2000」と米国製「CD V717」 そして自作のメリット、デメリット:ガイガーカウンターガイド(2/2 ページ)
ガイガーカウンターの性能や使い勝手などを比較するガイガーカウンターガイド。第4回の今回は、中国製「RAY-2000」と米国製「CD V717」を紹介。さらに自作のメリット、デメリットを考えてみよう。
自作のメリット、デメリット
ガイガーカウンター本体も品不足だが、自分で電子工作してつくる自作キットもまた、品不足が続いている(5月末現在)。なかでもUSBでPCと接続できるキットは人気が高く、今回は残念なことに入手がかなわなかった。そこでここでは、かろうじて入手できたアメリカ製の2つのガイガーカウンターキットを紹介、自作してみる。
自作キットは学習&趣味的要素が強いが、液晶LEDに放射線数回数が表示でき、iPhoneやiPadに接続して使える「C6981キット」などであれば、それなりに実用に耐えるはずだ。警告ランプや警告音が鳴るだけのガイガーカウンターと比較すると、放射線量が目で見て分かるぶん、危険をいち早く察知できるメリットがある。
逆にデメリットとしては、自作に失敗し、費用がムダになる可能性がある。このため購入予算が少ないからといって、安易に手をだすのだけは避けたい。それでも一度つくってみたいと思う方は、まず入門用の電子工作キットを購入し(種類はなんでもよい)、ハンダづけや回路の見方などに慣れてからチャレンジしてみるとよいだろう。なお日本で入手可能なガイガーカウンターキットはかぎられているので、ネットオークションや自作している人のブログなどをマメにチェックして探すしかない。
電子工作のスキルがあれば、ガイガーカウンターの自作はきっと楽しいはず。ただ、学校の授業でしか電子工作をやったことがない人には、ちょっとムリかもしれない。書籍で自作したキットはどちらも、米国のCHANEY Electronicsのもの。やはりいまガイガーカウンターキットは人気のようで、同社Webサイトのトップページでも強く宣伝している。
連載「ガイガーカウンターガイド」について
本連載は6月9日に発売した「ガイガーカウンターGuideBook」を基にした連載です。
ガイガーカウンターGuideBookを読む前に
本書の目的は、福島第一原発事故を受け、ガイガーカウンターの仕組みの理解と製品選びの知識を高めることだ。このため本書を読んだあと、実際に製品を購入し、放射性鉱物などを使った動作確認を考える人もでてくるだろう。
しかし本書ではこれをすすめない。なにも知らない家族が触って被ばくするかもしれないし、子供やペットが誤って放射性物質を飲み込んでしまう可能性だってある。本書を読めば放射性物質の知識は少なからずつくだろうし、それ以上のテストは不要であろう。動作確認なら環境測定だけで十分なはずだ。
放射線の影響は、大人より子供のほうが受けやすい。そして放射線の影響は、いつでるのか分からない。数年後、自分の子供の被ばくが判明し、後悔しても遅いのだ。もちろん、以前から鉱物採集やウランガラスのコレクションを趣味としている人に、いまさら入手するなとはいえない。こういう人は取り扱いや管理に関しては十分な知識をもっているだろうから、そこはもう自己責任の世界である。とにかく放射線は目に見えない危険な存在なのだ。興味半分で手をだすことだけは、絶対にやめてほしい。
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