「ウメサオタダオ展」でアイドルたちが感じたものとは?:「未来の作り方」がそこにある(3/3 ページ)
名著『知的生産の技術』でおなじみ、2010年に90歳で亡くなった梅棹忠夫氏の神髄をのぞける展示「ウメサオタダオ展―未来を探検する知の道具―」に、アイドルユニット「Feam」と訪れたみた。
暗黒のかなたの光明
震災後、NHKの特集番組でも紹介した「暗黒のかなたの光明」という氏の未完の書のピックアップの1つが今回の展示を貫くテーマになっている。未完の書「人類の未来」は、文明学者でもある氏が、人類の未来がこの先どうなっていくのかを見据えようとして、あまりの希望のなさに途中で筆を置いてしまったといういわくつきの本だ。
書籍の構成案やこざねは残されており、この内容については論考集『梅棹忠夫の「人類の未来」暗黒のかなたの光明』で、氏の後継者の1人、小長谷有紀氏(小長谷氏は不定期に今回の展示ガイドもつとめ、好評を博している)はじめ識者が考えを寄せているのだ。
「人類は賢くなりすぎた。そのため人類の未来は暗い」と考えた氏の未来図は、震災後、原発事故による放射能に苦しめられる私たちにとって重い。だが、未完の本書の構成案の最後は「暗黒のかなたの光明」で結ばれている。梅棹氏がどんな光明を見いだしたのか、そこに至る道筋とは一体何なのか――。
2月20日までと残された開催期間は短いが、今週末1月20日(金)にはシンポジウム(申し込みは終了)を予定しており、翌21日(土)と併せて21時まで開館時間を延長する(通常は17時まで)。「初ウメサオ体験」だったFeamも大いに刺激を受け大満足だったこの「ウメサオタダオ展」。この機会に足を運んでみてはいかがだろうか?
著者紹介:まつもとあつし
ジャーナリスト・プロデューサー。ASCII.jpにて「メディア維新を行く」、ダ・ヴィンチ電子部にて「電子書籍最前線」連載中。著書に『スマート読書入門』(技術評論社)、『スマートデバイスが生む商機』(インプレスジャパン)『生き残るメディア死ぬメディア』(アスキー新書)など。
取材・執筆と並行して東京大学大学院博士課程でコンテンツやメディアの学際研究を進めている。DCM(デジタルコンテンツマネジメント)修士。Twitterのアカウントは@a_matsumoto。
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