炎上コンサルタントが語る、企業TwitterよりもFacebookが有用なわけ:ソーシャルメディアガイドライン(2/2 ページ)
ソーシャルメディアの普及でビジネスはどう変わるのか。そして企業は、どのように利用すればいいのか。ネット炎上に詳しい伊地知晋一さんに話を聞いた。
情報の速さは、たとえそれが虚偽であったとしても無論、同様だ。東日本大震災ではコンビナート火災で有毒ガスが発生している被災地で窃盗団が暴れているというようなデマがツイッターを通じて瞬く間に拡散した。
匿名掲示板への誹謗中傷であれば、まずはスルー(無視)が推奨されるが、SNSでこのような勘違いによる攻撃を受けたり、自社にまつわるデマが出回った場合には、素早くきちんと反論し、誤解を解く必要がある。本気の意見には本気の対応が求められるわけだ。
もう1つ問題なのが、自社の従業員が個人的にSNSを利用することで発生するトラブルだ。
2012年1月、ホテルの従業員がタレントが宿泊したことをTwitterでつぶやいて騒動になったが、この手の問題は枚挙にいとまがない。
「当たり前ですが、業務内容について書いてはいけないと、企業側は従業員に徹底すべきです。そして、企業の公式アカウントについては、限られた人だけが使えるようにする。この二点は基本です」
情報のトランザクション、Facebookの可能性
このように、リスクマネジメントをしっかりしておく必要はあるが、その特性上、Facebookがビジネスに大いに役立つツールであることも確かだ。Facebook同様、多くのユーザーを持つSNSにTwitterがある。Twitterは情報が速いが、つぶやきはどんどん流れていってしまい、追いかけにくい。そして、それらの情報は最終的にFacebookに流れてくる。
Facebookは言ってみれば情報のトランザクション。企業がFacebookページを作っていれば、そこに情報が集まってくると伊地知さんはいう。つまり、Facebookページをチェックすることで、Twitterを含めたSNS上の危機管理を、かなりの程度行うことができる。
「週一回、月一回と決めて定期的に情報を出すのを怠らないこと。そして、ユーザーが間違った情報を出している場合はすぐに正すこと。Facebookページ上で放置してしまうと認めた、と受け取られる可能性が高いので注意が必要です」
今や、Facebookページを積極的に活用している企業も少なくない。
これまで企業はメールによって情報を発信することが多かったが、このように数撃ちゃ当たる式の配信では宣伝効果に疑問がある。広告メールなどは開きもしないという人は多いのではないだろうか。しかし、Facebookページであれば、自主的に登録した相手にのみ発信することができる。情報を受けた人が「いいね!」ボタンを押すと、その友人に情報が広がっていく。このように、ある種の偏りを持った集団に効率よくメッセージを伝えることができる。
「Facebookを上手に使いこなすことで、いずれはWebサイトも不要になるかもしれません。試験的にですが、既に佐賀県の武雄市役所のように、公式HPをFacebookに一本化したところも出ています」
今後、Facebookはさらに普及していくだろう。個人はもちろん、企業においてもその利用価値はまだまだ大きくなるに違いない。
『月刊総務』2012年3月号 「進化するSNSを上手に活用するための企業におけるソーシャルメディアガイドライン」より
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