Wi-FiモデルのiPadを業務に活用する方法:スマートデバイス導入のお悩み相談室
スマートフォンやタブレットを使っていて気になるのが月々発生する通信費の問題ですよね。今回のお悩みは、通信費を抑えながら会社支給のタブレットを活用する方法についてです。
本連載「スマートデバイス導入のお悩み相談室」について
スマートフォンやタブレットなどスマートデバイス端末を業務でも積極的に活用したいという現場からのニーズがある一方、管理負荷の問題やセキュリティの不安などから、企業側では導入に踏みとどまるなど、頭を悩ませています。本連載では、そうしたスマートデバイスの業務利用に関する悩みについて、複数社のスマートデバイス導入に携わってきた京セラコミュニケーションシステムの早田麻子(はやた・あさこ)事業部長に、アドバイスをもらいます。
スマートフォンやタブレット端末を利用する際、まず気になるのが月々発生する通信費の問題ではないでしょうか。通信方式は3Gや無線LAN、WiMAX、LTEなどから選択できますが、1台目の端末であれば、キャリアが提供している3Gの定額プランに登録する人が多いと思います。
ただ、2台目3台目となるとできるだけ通信費をかけずに固定コストを抑えたいところ。今回はそうした通信費に関する悩みを持ちつつ、タブレット端末を業務で活用したいメーカー勤務、総合職の20代男性からの質問です。
今回のお悩み:Wi-FiモデルのiPadを業務に活用する方法が知りたい
オフィスの移転を機に社内がフリーアドレス制となり、会社からは「まずは使ってみろ」とiPadが支給されました。3G+Wi-FiモデルかWi-Fiモデルから選択できましたが、3G+Wi-Fiの場合は月額の通信料が自己負担なので、Wi-Fiモデルを選択。ただ、自宅にWi-Fi環境がないので、結局インターネットに接続できるのは社内のみなんです。社内で使おうと思いましたが、業務用には別にノートPCもあるので、あえてiPadを使わなければという場面がなく、結局ロッカーに置いたままです。会社にはiPadを活用している姿勢を見せたいのですが……ぜひ知恵をかしてください!
早田さんの回答:客先訪問や、アプリや電子書籍で自己学習に役立てては?
フリーアドレス制ということは、業務に合わせて席を変えられる、つまり社内移動が多いということですよね? でしたら持ち運びの面でいえばノートPCよりもiPadの方が好都合だといえるでしょう。
一般的にタブレットの効果的な使い方としては、第3回「実際、iPadではどこまでの業務ができる?」でも紹介したコミュニケーションツール、プレゼンテーションツールとして活用することです。タブレットはPCと比べてスペースを取らず、起動時間が速い。そしてプロジェクターとの接続にもあまり手間が掛かりません。
タブレットはビュアーとして最適な端末です。よって、ノートPCで作成した資料をPDF化してタブレットに入れて保管したり、確認したりする際に使うのもよいでしょう。客先など社外に訪問をして資料を見せる機会があるのであれば、あらかじめiPadにデータを入れておけばネットワークに接続できなくても十分活用できます。ただし、取り扱うデータについては、会社の情報セキュリティに準拠するように注意してください。
私の周りでは、eラーニングなどの自己学習にタブレットを活用しているという人もいます。スマートフォンやタブレットには無料で役立つアプリや電子書籍がたくさんありますよね。自分の業界のことや語学勉強に役立つアプリをインストールしておいて、昼休みなどにiPadで勉強するのはいかがでしょう? オフラインでも使えるアプリであれば、通勤時や自宅でも利用できます。
最近TVでも放送され話題となっているプレゼンテーション動画のアーカイブサイト「TED」。これを視聴できる専用アプリ「TED」や「TEDiSUB」などは語学、プレゼンテーション、最新技術動向などいろいろと勉強になります。一粒で何度もおいしい。オススメです。
最後に通信費のことですが、もしスマートフォンを持っているのであればテザリング機能を活用するのも1つの手段です。対応機種かどうかの問題はありますが、テザリングを使えばiPadに3G機能がなくても自宅や外で安価にネットワークに接続できます。端末台数が増えて、通信費が気になるという場合にはテザリングはお勧めです。
早田麻子(はやた・あさこ)さん
京セラコミュニケーションシステム(KCCS)ICT第1営業本部ビジネスイノベーション営業統括部事業部長。京都市出身。1994年、同志社女子大学学芸学部日本語日本文学科卒業。同年、山一證券入社。1996年、KCCS入社。1997年、情報通信営業部東京営業部のグループ長に赴任。2001年、首都圏営業1課課長。2004年、IPサービス事業本部 IPイノベーション営業部 部長に就任。2007年、東日本ICT 営業本部 東日本ビジネスイノベーション営業部 事業部長。2011年、組織変更に伴い現在の役職に至る。1女児の母。
スマートデバイス導入に関しては、モバイル通信の普及当初からリモートアクセスサービス事業に携わり、その後MVNO事業の立ち上げに従事。最近は大手企業向けのスマートデバイス導入プロジェクトにもかかわり、その経験を基にスマートデバイス関連のセミナーで数多く講演。自身もモバイル環境を活用して積極的に仕事をこなす傍ら、母親としてのワークライフバランスを実践している。
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