“使われている”と思わせない、部下をその気にさせる「ゆさぶり力」:若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門(3/3 ページ)
「会社の組織に使われているなあ」と感じているビジネスパーソンも多いのでは。部下に「使われている」と思わせないようにするには、どうすればいいのか。部下をその気にさせる「ゆさぶり力」を紹介しよう。
多様性の時代の「ゆさぶり方」
人の多様性を認め、人の“強み”を見出した上で重要になってくるのは、その人らしさを最大化することである。その人らしさを最大化する際にポイントになるのが「感情」である。言われたことを淡々とこなすだけを求めるならば、感情を排除したほうが効率的かもしれない。しかしながら価値発揮の時代においては、その人らしさを発揮することが求められる。そこにおいて「感情」がキーワードになる。人は感情を持った生き物だ。
「嬉しい」「楽しい」「悔しい」「悲しい」といった感情の中にその人らしさが宿っており、感情がぶつかる中で、新たな価値が生み出される。人に対してむかつく感情を露わにすることを言いたいのではなく、その人らしさを発揮する感情が組み合わさることで、人が生かされ価値が発揮される組織になるのである。
CASE:私をゆさぶった上司の言葉
「最終的にはオレが責任を持つから、思いきってやってみろ」――。
部下にその人らしさを発揮する行動を期待しても、人は誰でも失敗することは怖い。そのような中で部下が自分の意志を持って行動することを促すには、背中を押してあげる必要がある。その際に有効な言葉がこの言葉だ。
もちろんこの言葉どおり、最終的な責任は上司が取らなければならない。その覚悟があってこそ言えるひと言なので、部下もその覚悟を感じて真剣に仕事に取り組むだろう。
「何を失ったら、自分が自分ではなくなると思う?」
他の人ではない。あなたがあなたである理由を問い直す言葉だ。自信を失っている部下に対し、自分の原点に立ち戻ることを促す意味を持つ。部下の強みを見つけ、強みを意識して働いてもらいたいという期待が込められている。部下自身の存在を認めるスタンスではないとかけられない言葉である。
「あなたの力はそんなものではないはず」
一見相手を否定しているひと言に思えるが、「あなたはもっと実力があるんだ」と期待を込めた言葉である。気持ちにゆさぶりをかける言葉であり、相手のことを見ていないとかけることができない一言である。自分を過小評価しがちな部下は、このようなひと言で発破をかけるとエンジンがかかる。自分が高く評価されていると気づき、普段以上に頑張ろうと100%の力を発揮するだろう。
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