“昭和上司”にならないために、彼らから学ぶべき3つのこと:若手社員のうちに学びたい、「上司力」入門(3/3 ページ)
「社内でのコミュニケーションをどうすればいいのか」と悩んでいる人も少なくないだろう。今後、上司になっていく人に身につけてほしいのは「巻き込み対話力」である。
「昭和上司」のコミュニケーション
これからの時代の上司は、対話力を身につけていることが重要だ。「対話」とは、すぐに白黒をつけたり、結論付けたりすることなく、相手の考えの背景や感情を相互に理解しあうコミュニケーションである。対話ができなければ、時代に乗り遅れた古い「昭和上司」として、メンバーの信頼が得られない上司になる。最後に「昭和上司」の典型的なコミュニケーションを紹介しておく。
全てに「良い」「悪い」の判断を加える
部下が話をしてきたときに、全てにおいて「それは良い。それは悪い」と判断をする人がいる。人の話を聞いた瞬間に、改善点を見つけて指摘をしてしまう。これでは人は心を開かない。人がアイデアを話してくれた時、すぐに判断をせずに、最後までしっかりアイデアを聞くことが必要だ。そして「ありがとう。考えるヒントになったよ」「よく考えたじゃないか」と受け止める反応を示すことが大切だ。もちろん、判断が求められる時もあるが、全てに判断する上司には誰も本音を言わなくなるだろう。
自分が優秀であることをアピールする
部下からの尊敬を勝ち得たいと考える上司は、部下とのコミュニケーションにおいても、自分が優秀であることをアピールしようとする。人が情報を持ってきたときも「それは知っているよ」と反応をする。このような上司のもとでは、部下は上司の言葉や表情から侮辱されているように感じる。部下に対して謙虚になることが大切である。故・松下幸之助は自分が知っている話であっても「ほう、そうか。報告してくれてありがとう」と心からの感謝を伝えたことで有名である。
人の話を最後まで聞かない
人が話している最中に、人の話を遮って話始める人がいる。話の展開が分かってしまうからである。自分の意見が言いたくて仕方がない。また部下の報告を受けるときに、PCに向かいながら、報告を受ける人がいる。これでは対話は成り立たない。対話の基本は、まずは人の話を最後まで聞くことから始まる。会議においても上司ばかりが話している会議を仕切っている上司は要注意だ。最後まで人の話を聞く。人の話を尊重することから始めなければならない。
時代遅れの「昭和時代」の上司にならないためにも、ぜひ「巻き込み対話力」を磨いていただきたい。
関連記事
- 上司が部下に言ってはいけない、10のセリフ
会社の中で「課長」が与える影響力は大きい。現場におけるキーパーソンであり、課長次第で、業績も部下の成長も大きく左右される。今の時代、課長が身につけておくべき能力は何だろうか。本連載では、課長が身につけておくべき「上司力」について考えていきたい。 - 若手社員はなぜ“やる気”がなくなるのか 成長ブレーキを踏む人たち
「仕事をがんばらなければいけない。でも、どうもやる気がでない」。こんな思いをもっている人も多いのでは。やる気が出ない人を分析してみると、自身の“成長ブレーキ”を踏んでいる人が多いのだ。 - 会社が大きくなって、手にしたモノ、失ったモノ
企業が巨大化している――。背景には「グローバル化に対応するため」といった狙いがあるのだが、こうした流れは私たちの生活にどのような影響を及ぼすのか。ジャーナリストの佐々木俊尚氏とアップルで働いてきた松井博氏が語り合った。 - 大企業の正社員、3割は会社を辞める
東日本大震災の発生以降、「今後どのように働いていけばいいのか」と考えるビジネスパーソンも多いのでは。ポスト大震災の働き方について、人気ブロガーのちきりんさんと人事コンサルタントの城繁幸さんが語り合った。 - どうすればいいのか? 年収300万円時代がやって来る
景気低迷などの影響を受け、会社員の給料が下がり続けている。低年収時代に会社員はどのように生きていけばいいのだろうか。この問題について、人事コンサルタントの城繁幸さんとフリーライターの赤木智弘さんが語り合った。 - 35歳になった時に心得ていないと、ヤバイこと
仕事で成果を上げていくためには、「職務遂行能力」と「仕事への意識・考え方」の双方を身に付けることが大事だという筆者。特に仕事への意識は差が付きやすいということだが、それを高めるにはどのようにすればいいのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.