東急ハンズ銀座店で“手帳総選挙”――30種類の手帳を試し書き:手帳2013(3/3 ページ)
東急ハンズ銀座店で行われた手帳のイベント「人気投票☆ 来年の手帳30冊!」。30冊の手帳に自由に触って試し書きまでできるユニークなイベントで、多くの来場者を集めた。もともとは市民団体の企画だったこのイベント。どういう経緯で、ハンズを舞台に開催したのだろうか。
OBがつないだ市民団体と店舗の縁
このイベントが東急ハンズで開催されるきっかけは、同社のOBによる。日本手帖の会のメンバーの1人がたまたまOBの知り合いだった。そして東大島会場での開催を知り、同社銀座店のマネージャー井上勇太氏に伝えたところ、急きょ同店でのイベントとしての開催が決まったという。
ハンズ開催の回では、過去2回の総選挙のスタイルを踏襲しつつ、独自にアレンジもされた。まず手帳は、同店で扱いのある30冊。これは開催スペースとの兼ね合いによる。また、来場者は1人1点の持ち点で投票する形になった。
「手帳は2年ほど前までは、放っておいても売れるものでした。ところがこの数年は、お客さまのニーズが多様化してきました。よほど商品力の高いものを除いては、そのままでは売れなくなっていることを感じていました」(前出・井上氏)
何とか他店と差別化し、自分たちの店舗で買ってもらうにはどうすればいいのか。井上氏が手帳総選挙の話を同社OBから聞いたのは、まさにそんなことを考えていた矢先だったという。
「エンドユーザーと一緒にイベントをやることで、利益だけでない視線で(手帳を)見ている人たちから良い情報が得られるのではないかと思いました」
ビジネスだけを優先するのではなく、ユーザーに楽しんでもらえるのではないか。また、日本手帖の会の面々からは、手帳が好きで好きでたまらない感じがムンムンと伝わってきたという。
「手帳は、説明が必要な商品になりつつあります。ニーズに分かりやすく対応することで売れるものになると考えています」
実際、手帖の会会員の説明で何冊もの売り上げにつながったとか。井上氏によれば、同イベントを再度開催することも検討しているという。
手帳は、商品としてもまた使われる実態としてもどんどん多様化している。またユーザー側の要求もシビアさを増す一方だ。そんな中で、レイアウトの比較や試し書きが気軽にできるこのイベントは、手帳売り場の現状に一石を投じ、ユーザーのニーズをくみ取りつつあるように思える。手帳総選挙が今後どうなっていくのか引き続き見守っていきたい。
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