サービス業が抱えるマニュアル主義の盲点とは?:トップ1%の人だけが実践している思考の法則(1/3 ページ)
例えばあなたがファミリーレストランの店長だったとする。接客マニュアルでは「大人にお子様ランチを売ってはいけない」となっているが、若い夫婦がやってきて、お子様ランチを3つオーダーしてきた。禁じられている行為をしてもよいだろうか?
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身に付けることが重要です。
成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させています。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼んでいます。
- 顧客の抱える問題の「認知」(Awareness)
- 問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)
- アイデアのスピーディな「実行」(Action)
- 仮説と実行結果の差異に対する「分析」(Analysis)
- マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)
さて、ここで問題です。
【問題】解答例にならって自分なりに考えてみましょう。
- あなたは、ファミリーレストランの店長。接客マニュアルでは「大人にお子様ランチを売ってはいけない」となっている。しかし、若い夫婦がやってきて、お子様ランチを3つオーダーしてきた。禁じられている行為をしてもよいだろうか?
解答例A
- マニュアルは、現場スタッフがいちいち判断しなくてよいようにルール化したもの。それは生産性を最適化するために作られたものであるはずだ。顧客には、きちんとルールを説明して納得してもらえば特に問題はないだろう。
解答例B
- なぜ、大人なのにお子様ランチが必要なのだろう? しかも、3つ? 何か特別な理由があるのかもしれないな。きちんとヒアリングして、可能な限り、お客さんの要望に答えてあげるべきだ。
マニュアル主義の盲点とは?
最近は、どこの企業もマニュアルが充実しています。業務マニュアル、運営マニュアル、手続きマニュアル……。もし、あなたが新しい会社に入れば「読んでおいて」、と山のようなマニュアルが渡されるかもしれません。社内サーバにはまともに管理されていない放置状態のマニュアルが散在していることでしょう。
一体、マニュアルは何のために、作ったものなのでしょうか?
マニュアル本来の目的は、「ミス」を減らすことです。経験の少ない人でも的確な判断、行動ができるように「指針」や「手続き方法」について書いてあるものです。
マニュアルがあれば、短時間で業務に慣れ、不用意なミスによって顧客に不快感をもたらしたり、会社に損失を与えたりせずに済むメリットがあります。それがマニュアル本来の価値です。
さて、問題のお子様ランチですが、マニュアルには、「大人には販売しないように……」と記載しているようです。しかし、それによって「どんなミス」を防げるのでしょうか? 何のためにその規則を設定しているのでしょうか? 目的が明確でないマニュアルは指針にも、チェックリストにもなりえません。
どのようなサービスでも顧客満足度を上げるのは最優先課題のはず。マニュアル通りにやった結果、顧客が嫌な気分になるとしたら、そんなものはマニュアルとは呼べません。
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