路頭に迷いそうな人にお金を貸すべきか?:トップ1%の人だけが実践している思考の法則(1/3 ページ)
バングラデシュのグラミン銀行は、貧困層を対象にした低金利の無担保融資をしていることで知られています。この銀行をビジネス面で着目すると「意外に貸し倒れリスクは少ない」ことが見えてきます。
成功する一握りの人々だけが実践する、共通の「思考の法則」を知るには、いったん私たちが常識だと考えてきたルールをリセットする必要があります。そして、彼らの行動や考え方に注目し、そのエッセンスを吸収して、その根底にある思考のサイクルを身に付けることが重要です。
成功者はみな、次にあげる5つのビジネスプロセスを何度も、高速回転で循環させています。私は、キーワードとなった5つの英単語の頭文字をとって「5Aサイクル」と呼んでいます。
- 顧客の抱える問題の「認知」(Awareness)
- 問題解決のための従来と異なる「アプローチ」(Approach)
- アイデアのスピーディな「実行」(Action)
- 仮説と実行結果の差異に対する「分析」(Analysis)
- マーケットニーズに合わせた柔軟な「適応」(Adjustment)
さて、ここで問題です。
【問題】解答例にならって自分なりに考えてみましょう。
- あなたは融資を担当する銀行マン。会社からは「貸し倒れの心配のない大企業に融資しろ」と言われている。しかし、その手の会社はどこも堅実で「うちは借入の必要はない」と断られる始末。一方で「今日借りられなければ、来月は路頭に迷う」という零細企業の社長たちが、店舗に大勢押し寄せている。どちらに融資をすべきだろうか?
解答例A
- 貸し出したらこげつくかもしれない。やはり、リスクの少ない安定した大手の会社に融資をしよう。
解答例B
- 資金ニーズが高い企業に貸して、そこから利益を得るのが融資の本質。零細企業に融資をしよう。
銀行融資の矛盾は、なぜ生じるか?
銀行のビジネスモデルってどのようなものでしょうか? それは個人預金などで低利で資金を集め、より高い金利を払っても資金を手当したい企業に対して融資をし、利ざや(※売値と買値の差額で得られる利益)を稼ぐというものです。だから本来は、企業の成長と銀行融資はビジネスの両輪のはずです。
しかし銀行が貸し倒れを恐れるあまり、融資先のビジネス成長性よりも現在の財務状況や返済能力ばかりに目を向けてしまうと、そもそも資金需要のない企業に融資する「矛盾」が生じます。このように「大人の事情」によってビジネスが本質からはずれてしまう例は少なくありません。
中小零細企業の経営者なら骨身にしみていると思いますが、必要なときにはなかなか借りられず、要らないときに「借りてくれないか」と営業に来るのが銀行というものです(もちろん、銀行によりますが……)。つまり資金需要よりも、信用余力がどれくらい残っているかが審査のポイントになりがちなのです。
しかし、それでは本当に必要としているところにお金が回りません。
本来、借り手の「借入金をどのように投資し、ビジネスを大きくしようとしているのか(未来の計画)」を見なければ、融資ビジネスは成立しないはずです。しかしリスク回避が先行してしまうと、未来ではなく財務諸表など「過去の成績」ばかりを気にするようになります。その結果、前述のような矛盾が生じるわけです。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.