社内で“ため息”をつく人がいて、困っている……止めさせる方法を紹介:田中淳子の人間関係に効く“サプリ”(1/3 ページ)
社内で、頻繁にため息をつく人はいないだろうか。その人が上司や先輩だと、なかなか指摘しにくいもの。それでも気になる人は、ある方法を試してみてはいかがだろうか。その方法とは……。
田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:
職場のコミュニケーションに悩んでいる人も多いのではないでしょうか。「上司にこんなことを言ったら怒られるかもしれない」「部下には気をつかってしまうし」――。
本コラムでは、職場で役立つコミュニケーション術をご紹介します。具体例を挙げながら「なるほど! こういうやり方があるのか」「これなら自分でもできるかもしれない」と感じてもらえるよう、筆者が見聞きした出来事をちりばめています。
明日から……ではなく、いますぐに試すことができる「コミュニケーションのヒント」をご紹介しましょう。
20〜30代のビジネスパーソンに「モチベーションが上がる時/下がる時」を挙げていただくと「上司のため息が聞こえた時」という項目が入ることがよくある。なるほど、職場で誰かの「はあ〜」とため息が耳に入ると、少しだけ心がざわつく感じにはなるものだ。
もう10年ほど前のことだ。ため息をよくつく同僚がいた。例えば、電話を終えて受話器を置くとともに「はあ〜」。会議が終わり、自席に腰かけるとともに「はあ〜」。席が近かったためものすごく気になってしまい、ある日とうとう指摘してみることにした。
「○○さん、深いため息ですねえ」。軽い調子で言ってみた。
すると、彼は目を真ん丸にして「え、私、ため息、ついていました?」と心底驚いたという表情をした。どうやら無意識のうちにため息をつき、それが習慣化していたらしい。
「ええ、今日だけじゃなくて、日頃から、結構な回数、ため息ついてますよ。自覚してなかったんですか?(笑)」
「うわ、ほんと? ごめんなさい。まったく意識してなかった。気を付けないといけませんね」
人間の癖というのは、意識していないからこそ癖なわけで、これ以降も彼はよくため息をついていた。席も歳も近い私くらいしか言う人もいないだろうと思い、毎回「また、ため息つきましたよ(笑)」と言っていたら、数カ月もするとだいぶ回数が減った。
この例のように、ため息をつく側は、案外無意識であることが多いのかもしれない。一方で耳にする側は気になって仕方がない。しかも、ため息は、楽しい気持ちの表われではないので、結果的には部下や後輩のやる気を削ぐことになる。
楽しいことも楽しくないことも職場にはある。褒められて嬉しいことも、叱られて落ち込むこともある。がんばった結果が成果に結びつくこともあれば、エネルギーを注いだ割に成果が出ず、むなしさに襲われることもある。だからネガティブな感情を抱えた時、思わず、口からため息がこぼれてしまうようなこともあるだろう。その時、自覚できていれば「あ、ごめん。ついため息をついてしまった。いかん、いかん」などと謝っておくことで、周囲も「たまにはそういうこともありますよねえ」と聞き流してくれる。だが、先に挙げた同僚のように、無意識にため息をつき、それが癖になってしまっているケースは要注意だ。
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