FileMakerとiPadでここまでできる――中小企業向けの安価なソリューション、あれこれ:スマートフォン&モバイル EXPO春 2013(2/2 ページ)
ゲーム感覚の在庫管理システム、これまで使っていた紙の伝票を反映させる経費精算システム、リアルタイムで経営分析できる電子カタログ、年配の営業スタッフでも使える受発注システム――。こんなiPad向け業務ソリューションが展示されていた。
リアルタイムで経営分析できる電子カタログ、POSレジ機能も
店頭の販売支援ツールとして使えるだけでなく、リアルタイムの経営分析が可能で、POSレジにもなる――。ジェネコムの「Switch」は、こんなiPad対応の多機能電子カタログだ。
「来店したお客さんに、今、店にある商品以上の情報を提供できる」(説明員)のが特徴。洋服なら、気に入った服のカラーバリエーションやサイズを確認でき、展示会のムービーも視聴できる。気に入った服をお気に入りに登録すれば、あとでまとめて服の品定めができる。
来店者が買う服を決めたらカートに入れ、処理完了を押せばそれが販売実績として売上日報に送られる。こうした実績はリアルタイムで集計され、グラフ化された状態で分析することが可能だ。レシートプリンタやキャッシュドロワ、バーコードリーダーとの連携にも対応しており、POSレジとしても利用できる。
商品カタログは、既存のデジタルデータを取り込むことができ、基幹システムとの連携にも対応。各種販売データの入り口として、操作が分かりやすいiPadを使いたいというケースでも引きがあるという。
受発注の書類、紙からiPadへ――60歳のスタッフも使いこなせる
1日100件を超える紙の商談データ、転記の手間をなくしたい――。こんな営業現場の要望に応えるのが、ジュッポーワークスのiPad対応受注管理システムだ。紙の受発注書類をiPadに置き換えることで、業務の効率化とペーパーレス化を図れるという。
このシステムを導入した金属部品の表面処理加工メーカーは、iPadの導入前には営業スタッフが営業先で受注内容を紙に書き、デジタルカメラで撮った写真と合わせて会社に持ち帰ってPCに手入力していたという。この受発注書類をiPadで使える形にデジタル化し、写真もiPadで撮影したものを書類の中に張り込めるようにした。
帰社後の作業は、iPadを本部システムに接続してデータを送信するだけですみ、これまで1時間半かかっていた作業時間が10〜15分くらいに短縮された。また、年間約3万6000枚分の受発注書類の印刷コストも削減できたという。また、確定した請求データをCSV形式で書き出せば会計管理システムに取り込めるなど、すでにある社内システムとの連携が図れる点も好評だったという。
なお、この会社の営業スタッフは60歳を超える人もいるが、iPadの受発注システムを楽々と使いこなしているそうだ。
“種類が多くて決められない”――迷える人をiPadで救う「ORDER NAVI」
種類が多すぎて、どれに決めたらいいのか分からない――。ワインやコーヒー、日本酒など、品種が多い製品を買う際に起こりがちな、こんな悩みを解決するのがバンザイクリエイティブのiPad向けオーダーシステム「ORDER NAVI」だ。
画面上に表示される質問にタップ操作で答えていくと、その人の好みを診断して最適な商品を提示する。例えばコーヒーの場合は、「ロースト」「フレーバーの強さ」「フレーバーの種類」「アフターテイスト」「マウスフィール」の好みを選ぶと、その人にあった豆の種類が表示される。
このシステムを使った「COFFEE NAVI」は、名古屋と関東のカフェで導入実績があり、ほかにもタイヤショップやエステショップ、酒屋、DVDレンタルショップなどで採用された。説明員によると、ショップ開店時の話題作りの一環として採用されることが多いという。
価格は、3万9800円(カスタマイズは別料金)だが、無料iOSアプリのFileMaker Goだけで利用でき、導入にあたってFileMaker Proを買う必要がない。オプションでレジ処理システムも用意され、ORDER NAVIで選んだ商品をそのままレジ処理することも可能だ。
バンザイクリエイティブは、UIデザインにこだわった業務システムの開発で定評があり、iPad対応も含むフルカスタマイズのシステム開発も請け負っている。最近では映像技術サービスで知られるIMAGICAの映像情報管理システムを開発。劇場のデジタル化に伴って複雑化した上、項目の変化が頻繁に起こる映像情報を、PCやiPadを使って管理するシステムを構築したという。
専門外の病気の診断、iPadで問診内容を呼び出し――「Smart Monsin」
医師が専門外の病気についても問診できれば、早期発見に役立つのでは――。三栄メディシスがこんな思いから開発したのが、キーワードや病名から問診に必要な質問事項を呼び出せるiPad向けサービス「Smart Monsin」(スマート・モンシン)だ。
例えば眼科の医師が患者を診断中に糖尿病の疑いがあると思った場合、このシステムで「糖尿病」を検索すると、糖尿病患者に聞くべき質問を呼び出せる。その質問の結果が糖尿病であることを示していたら、内科にかかるよう指示できるというわけだ。結果がほかの病気を示した場合には、その病気に対する質問事項を呼び出すことが可能。めまい、頭痛、肩といったキーワードからの検索にも対応しており、あいまいな症状から病名を予測できるのも便利な点だ。
データベースは自社で持っており、クラウド上で管理。更新したデータはリアルタイムでサービスに反映され、利用者は常に最新データを利用できるという。
なお、このサービスは開発途上にあり、医療従事者のニーズを図ることを目的に12月末までモニターを募集中だ。
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